珍記録達成 ~ある夏の夜の出来事~

  • ジャンル:釣行記
8/14(日)は木曽川に架かる濃尾大橋周辺で開催される花火大会の日でした。





この花火大会を毎年楽しみにしていて、この8年間、連続して見に来ていた。


そして今年もまた、夜空を焦がす大輪の花を満喫する順平と美佐子だったが・・・





14日の夕方、待ち合わせ場所に向う道中、美佐子から「行けられなくなった」との連絡が入る。

順平は、とても楽しみにしていただけに少なからずショックがあったが、それ以上に辛いのは美佐子だったはず・・・

「どうして?」と理由を聞いたところで、到底納得できる訳も無く、一緒に楽しむ事ができない事実に変わりはないので「そうか・・・大丈夫か?」と美佐子を気遣いながら電話を切った。

用意周到に計画を立て、想いは1つであっても、思い通りにならない時も受け入れざるを得ない関係。

我が儘を通してしまえば、二人の関係はたちまち崩れ去ってしまう。

しかし、いざ現実ともなると、その期待と失意の落差は大きく気持ちは否応無しに沈んでしまう。
 
順平は「仕方が無い」と自分に言い聞かせながら、養老山脈に消え行く夕陽を眺めていた。
 
徐々に花火渋滞が始まったので、不要な土地を立ち去ることにする。
 

沈んだ気持ちを紛らわすにはビッグフィッシュをモノにするしかない! そうココはランカーシーバスのメッカ木曽川じゃないか!そう鼓舞する順平
 

すかさずタイドグラフをチェックする。
満潮が18:50 255cm下げが効き始めるのが1時間半後のポイントへ車を走らせる。
 
反対側車線の花火渋滞を尻目に、堤防道路をかっ飛ばし、ゴロタ石が並ぶポイントに到着する。

下げの効く20:30頃まで待っていても仕方が無いので、薄暗れの中、藪こぎをしながら川へ入り竿を出す。
 
釣り始めて30分ほどしたところで美佐子から電話が入り、川音に邪魔されるので、一旦岸へ上がる。
 
電話の向こうで美佐子は、二人の想いが重なり合わなかったことを詫びながらすすり泣いている。

「仕方が無いじゃないか・・・来年があるじゃないか」と諭すが、気持ちは治まる様子はない。
 
かれこれ30分は話しているだろうか・・・黄昏時が終わり、夜空に1番星が輝き始めた頃、ドーン!という花火の音が木霊する。
 
花火会場の方へ目を向けると、漆黒の彼方に大輪の花火が浮かび上がる。
 
パッと開いた大輪の花が消え行く頃、ドーンという音だけが暗闇に響き渡る。
 
二人の逢瀬の時を演出してくれるはずの打ち上げ花火が、今年は哀しい響きとして二人を包む。

電話を切った後、虚しさだけが残り、順平は、とてもこの花火の音を聞きながら竿を振る気持ちにはなれず、花火の音から逃れるように南下し続け、呆然と堤防道路を走らせていると気付けば国道23号まで辿り着いていた。
 
さすがにココまで来ると周りの喧騒に花火の音も消されているだろうと車外に出て耳を澄ます。

未だかすかに聞こえてくる・・・気のしすぎなのかも知れないが、遮蔽物の無い木曽三川なら十分聞こえ得るはず。

ともかく再び音から逃れるように23号を走り、気付けばいつもの河口に車を停めていた。
 
順平は車外に出て息を殺しながら耳を澄ます。
 
聞こえないのか、花火が終了してしまったのか解からないが、浜辺に立つと聞こえるのは波の音だけ。
 
漣の音に気持ちは落ち着きを取り戻した順平は、美佐子に「俺は大丈夫だから気にするな! この穴埋めを期待しているよ」とメールすると、間髪いれず「穴埋めはあなたの役目よ」と、いかにも美佐子らしい返信が返ってくる。

どうやら気持ちを切り替えてくれたようで安堵する。
 
 


さて、この場所に辿り着いたは良いがどうしたものか・・・
 
 

日時:2011年8月14日(日) 22:00〜24:10  
天候:快晴/弱風(南東)  気温32度/水温:26度
潮周り:大潮3  干潮:24:34(74cm)
ポイント:中規模河川 河口
 
ここに今日、辿り着いたのも何かの縁を感じて、竿を出すことにするが、この潮位で浸かっていられる時間は2時間もない。 先日のデイゲームではマゴチとクロダイ釣上げたが、果たしてナイトゲームではどうだろうか?
 
いつもの中瀬のポジションへ渡り早速、先日会得したIP-26のリフト&フォールを開始する。
 

いきなり1投目でズズーン!という鈍い感触と共にドラグが鳴り響く・・・エイだよ・・・ったく
 
もうロッドは折りたくないと、無用なファイトを避けロッドを水平にしてラインを巻き続ける。
 
一進一退を繰返しながらなんとか引寄せ、海底にへばり付いたエイの背中に掛かっているルアーにエイ対策ストックの先端を絡ませ無事回収。 やれやれである。

気を取り直した途端、僅か数投目で再びズズーン!! 

時間と体力の無駄遣いを嫌い、ルアーロスト覚悟で強引な巻き上げをしていると、フッと軽くなる。IP-26殉職です。


暗闇で浸かりながらのリーダー結びは難儀です。


どうやら大量のエイが押し寄せているようなので、ポイントを50mほど移動することに・・・

ライトで海中を煌々と照らすと、昼間には見掛けなかったワタリガニやウナギが足元を泳ぎ回っている。

そして招かざる奴もいる‥ライトに照らされ砂煙を上げて逃げて行く奴もいれば、図々しくも微動だにしない奴はストックで蹴散らしながらポイント移動し、レンジを上に上げて攻めようと裂波をキャストすると、三度ズズーン!!! 


裂波のロストは避けたいので時間を掛けて引き寄せる。ルアー回収。リーダーも傷んでいない様子。

どれだけエイがおるねんって感じで、水深の浅い流れのある方なら大丈夫だろうと、裂波を投げ込むと4度目のズズーン!!!! 

回収しようと手繰りよせるとフッと手応えがなくなり裂波殉職
リーダーの中ほどからスパッと切れている。棘の仕業だろう・・・


こうなりゃ とことん戦ってやるわと思いながらも、ルアーはワンダーで表層攻め。

10投くらい無反応だったが5回目のズズーン!!!!! 
これは途中でバレテくれたので事なきを得た。


こんな時はどうすりゃいいのか?


ズーンと重みが乗った時にアワセを入れるからフッキングするんだと‥これからはアワセを入れずスルー戦法に出る。



表層よりやや下をマッスルショットで攻める。
イメージ的にはヨレヨレと泳がし、ストンとボトムに落とし、再びヨレヨレと泳がしてアピールさせるアクション。
沈降速度の早いマッスルショットが故に可能なアクション。

エイが掛かりませんように願ながらのヨタヨタと引いてくると、ガツッとした感触が伝わってくるが、エイかも知れないと思うとアワセを入れられない‥

恐る恐るロッドを立てるとエイとは違う魚信が伝わって来る。
すかさず鬼アワセを入れると明らかに魚の引きだ。

ドラグを緩め、ラインテンションを保つ事を意識し、時間を掛けて引寄せる。

足元まで引寄せ、ライトを照らすとクロダイだ!

しっかりと空気を吸わせ、弱ったところで無事キャッチ!


この頃になると、花火のことなど何処吹く風の如く、すっかり忘れて釣りに没頭していた。


同じようにマッスルショットで攻めるが、アタるのはエイばかり・・・

6回、7回、8回とズズーン! は続く。




下げ止まりとなり、かろうじて現れた浅瀬にエイをズリ上げられる状況になってきた。

そして撤退時刻を知らせるアラームが鳴る。


最後の1投・・・スピンテールチューンをフルキャスト



やっぱり、ズズーン!!!!!!!!!
 






2時間浸かっての釣果は・・・
エイ 9HIT 7キャッチ (ルアーロスト2個)
クロダイ 1匹

2時間でエイ7枚は、珍記録?

 



感覚的な話だが、正直キャストは5、60回位しかしていないと思う。
その時間のほとんどをエイのファイトとリーダーの結び直しに費やしていた感じ。
お陰で腕はパンパンとなり良い筋トレになりましたわ!

エイの生態は知らないけれど、産まれたばかりのエイの幼魚がウヨウヨいるって事は、産卵の為に群泳しているんでしょうね・・・



どうもこのルナミスにはエイを吸い寄せる不思議なパワーが宿っている感じがするなぁ~




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