20時間の釣り旅〜その3〜

  • ジャンル:釣行記
  • (青物)
太陽が昇り始め、一人また一人とアングラーが減り始めた。朝まずめのワンチャンス狙いの方々が帰り出す中、黙々とキャストを繰り返す。ここに案内してくれた釣友の気持ちを思うと、キャストを止める訳にはいかない。カメラを持ち込んだのだが、まだ一枚も撮ってない、とにかく釣り上げるまでは集中したかった。


余裕がないと言われればそうなのだが、手に残るあの強烈な引きが写真より釣師を優先させている。


まだチャンスはある。


海の様子は変わらず。ナブラが起こる訳でもなく、ベイトが逃げる訳でもなく、静かにゆっくり流れている。
べた凪、来る前に想像していた光景とはかけ離れていて、不思議な気分だ。
そんな気配もない海から突然現れる青物。集中してないとまたヤられる、そんなことを考えていた。




「来た!」
右隣の釣友のロッドが絞り込まれている。
巧みなロッド捌きで上手く寄せる。私はタモを持って走る。デカい、入るか?


頭からネットに収めることが出来た。
「よっしゃ!」
想像以上に大きい。

が、さっきバラしたヤツの方が絞り込まれていたような気がする…


「さぁ、投げて投げて!」

急かされながら元のポジションに戻り、キャスト再開。




終了時間が刻一刻と迫ってくる。今回は時間の制約がある釣り旅。残りはもうわずかだ。周りを見れば、残っているのは私達だけになっていた。


手間の根に入られる前にリフトするか、フリーにして離れるのを待つか。頭の中で何度もシュミレートしながらキャストを続ける。


ルアーが張り出した瀬に差し掛かる瞬間、白っぽい魚体が飛び出した。
一瞬の判断でリフトするを選んだ私は一気に止めに掛かる…







ルアーだけが水面から飛び出してきた。


タイムアップ。
未練を残し、帰路につく。降りてきた斜面を登る足が重く感じる。というか、運動不足だな。慣れない磯ゆえ、地に足がつかない感覚。体力が必要な釣りだと感じた。

息も絶え絶え車まで戻ってきた。あまりにギリギリまで粘ってしまった。
仕事の時間が迫る、そう20時間の旅の終了時間が迫っていた。


帰りに釣友の魚をお土産に頂いた。
本当にありがたい。この写真を見るたびにあの強烈な引きを思い出すだろう。

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また来る。絶対来る。次は仕留める。
釣友に感謝し、長崎を後にした。


忘れられない旅になった。





翌日、釣友から写メが送られてきた。
腕が引き攣りそうなほどの魚をにやけ顔で掲げる姿。


しばらく夢に出てきそうだな…

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登録ライター