▼ 20時間の釣り旅〜その2〜
- ジャンル:釣行記
- (青物)
まだ夜が残る海沿いをクルマは走っている。am4:00、夜景の綺麗な長崎の街もこの時間は灯りも少ない。
案内してくれる釣友が運転する助手席から見える暗闇に目を凝らす。
クルマは小道へと入っていき、しばらくして停車。着いた、遠くに水が流れる音、木々がざわつく音、そこにはライトの光さえ吸い込まれてしまうような闇だけ。
さらにここから闇の中を歩く。獣道、木々の隙間をぬって進む。前を歩く釣友との差が開く。腐葉土の匂いの中、滑りそうになる足を堪えるように木を掴む。
ヘッドライトに照らされた木は白いペンキのようなもので塗られている。よく見ると歩くルートには所々に塗られた木がある。暗闇の中での道しるべ。
釣り人の情熱がこの場所を探し出し、通い詰めたおかげで、魚に出逢えるチャンスがある。そんな開拓者を思いながら森を抜けた。
遠くに街の灯り。風もなく穏やかな海がそこにはあった。ヒラスズキを狙いに来たのなら最悪の天候なのだろうけど、磯に慣れていない私にはありがたい。
先行者はいない。釣友の予定通りにベストな場所に入り、私に譲ってくれた。
タックルを準備し、まだ暗い海へ第一投を挨拶代わりに投げ込んだ。
静かな海に潜む相手を想像しつつ…
徐々に夜が明けて足元の磯が姿を見せはじめる、釣り人にとって待ちに待ったチャンスタイム『朝まずめ』
気がつけば右も左もアングラーで一杯になっていた。地元の方はよくご存知のようだ。チャンスタイムを逃すまいとキャストを繰り返す。ガイドしてくれた釣友からアドバイスが飛ぶ。
『釣って欲しい』という気持ちが伝わってくる。
餌となるベイトはイカ、14cmのミノーをスローに巻く。青物相手に早い釣りを想像していただけに、普段のナイトシーバスの様なスローな釣り。ロッドから伝わる振動に集中する。
辺りはまだ薄暗くルアーの位置を見失う。
コッ…
一瞬躊躇ったが、ロッドを振り上げる。
ギギギーー!!
ドラグが聞いたことない音を立てラインが出されていく。
くそっ!グリップエンドを腹に当て耐える体制に入る…
バチン!!
バイトから5秒程の出来事。一気に足元の根のえぐれに入り込まれてしまった。
「デカかったね、まだまだいけるよ!」
私を励ます釣友の声を聞きながら、何も出来なかった悔しさと、未知のパワーへの興奮で手が震えていた。
もう一度ラインシステムを組み直す。
なぜか笑いが出てくる。
クッククク…
大きく深呼吸してキャスト再開。
左隣のアングラーさんがヒット。隣との間隔がそれほど空いてないのでルアーを回収してしばし見守る。
長尺のロッドが弧を描いている。
無事キャッチされた魚体にさらに闘志が湧いてくる。
「来たよ!」
右隣の釣友がヒット。先ほどの方よりさらにロッドが絞り込まれている。ドラグ音は私にも聞こえる。
天を仰ぐ釣友。根に入られてラインブレイク。
手強い。
足元の地形を確認する。水深はわからないが立ち位置から少し張り出した瀬の先から一気に落ち込んでいる。
バイトしてくるのはその際、少しでも沖めで掛けれればいいのだが。
ヒットしてるのは私達の付近だけのようだ。ベストポジションに入らせて貰ったからには何としても仕留めたい想いがキャストを繰り返す。
朝日が顔を出し始めた。
鳥が私の目の前を旋回しだす。ルアーを無意識にチェンジ。ルアーサイズを落とした。
その一投目で来た!
やはり手間の際でのヒット。すぐに寄せずに走らせる。強めのドラグが悲鳴をあげラインがドンドン出される。
見えた。下から突き上げ反転していく魚体。
下には行かせないとロッドを立てる私。
余力があったのは魚の方だった。
張り出した瀬の奥に消えていく姿を最後にテンションが抜けた。
ククククッ…
楽しいぜ…
バイトしてくる姿が見えた。アワセだけ入れてフリーに泳がすのがいいのか…悪いのか…投げるコースを変えるべきか…
この後何度となくバイトはあるがヒットしない。ルアーを突かれるという感じだ。なにかがズレてる。
バイトの数は圧倒的に私の場所がいいようだ。なのに獲れない。悔しさと興奮でグチャグチャだ。でも楽しい、楽しすぎる。
とある釣友が言っていた。
『ショアからの釣りは、魚の方がアドバンテージは大きい』
なるほどねと、またシステム組み直しながらこの相手を攻略する糸口を探していた。
気がつけば朝日はさらに私達を強く照らしはじめている。
つづく
案内してくれる釣友が運転する助手席から見える暗闇に目を凝らす。
クルマは小道へと入っていき、しばらくして停車。着いた、遠くに水が流れる音、木々がざわつく音、そこにはライトの光さえ吸い込まれてしまうような闇だけ。
さらにここから闇の中を歩く。獣道、木々の隙間をぬって進む。前を歩く釣友との差が開く。腐葉土の匂いの中、滑りそうになる足を堪えるように木を掴む。
ヘッドライトに照らされた木は白いペンキのようなもので塗られている。よく見ると歩くルートには所々に塗られた木がある。暗闇の中での道しるべ。
釣り人の情熱がこの場所を探し出し、通い詰めたおかげで、魚に出逢えるチャンスがある。そんな開拓者を思いながら森を抜けた。
遠くに街の灯り。風もなく穏やかな海がそこにはあった。ヒラスズキを狙いに来たのなら最悪の天候なのだろうけど、磯に慣れていない私にはありがたい。
先行者はいない。釣友の予定通りにベストな場所に入り、私に譲ってくれた。
タックルを準備し、まだ暗い海へ第一投を挨拶代わりに投げ込んだ。
静かな海に潜む相手を想像しつつ…
徐々に夜が明けて足元の磯が姿を見せはじめる、釣り人にとって待ちに待ったチャンスタイム『朝まずめ』
気がつけば右も左もアングラーで一杯になっていた。地元の方はよくご存知のようだ。チャンスタイムを逃すまいとキャストを繰り返す。ガイドしてくれた釣友からアドバイスが飛ぶ。
『釣って欲しい』という気持ちが伝わってくる。
餌となるベイトはイカ、14cmのミノーをスローに巻く。青物相手に早い釣りを想像していただけに、普段のナイトシーバスの様なスローな釣り。ロッドから伝わる振動に集中する。
辺りはまだ薄暗くルアーの位置を見失う。
コッ…
一瞬躊躇ったが、ロッドを振り上げる。
ギギギーー!!
ドラグが聞いたことない音を立てラインが出されていく。
くそっ!グリップエンドを腹に当て耐える体制に入る…
バチン!!
バイトから5秒程の出来事。一気に足元の根のえぐれに入り込まれてしまった。
「デカかったね、まだまだいけるよ!」
私を励ます釣友の声を聞きながら、何も出来なかった悔しさと、未知のパワーへの興奮で手が震えていた。
もう一度ラインシステムを組み直す。
なぜか笑いが出てくる。
クッククク…
大きく深呼吸してキャスト再開。
左隣のアングラーさんがヒット。隣との間隔がそれほど空いてないのでルアーを回収してしばし見守る。
長尺のロッドが弧を描いている。
無事キャッチされた魚体にさらに闘志が湧いてくる。
「来たよ!」
右隣の釣友がヒット。先ほどの方よりさらにロッドが絞り込まれている。ドラグ音は私にも聞こえる。
天を仰ぐ釣友。根に入られてラインブレイク。
手強い。
足元の地形を確認する。水深はわからないが立ち位置から少し張り出した瀬の先から一気に落ち込んでいる。
バイトしてくるのはその際、少しでも沖めで掛けれればいいのだが。
ヒットしてるのは私達の付近だけのようだ。ベストポジションに入らせて貰ったからには何としても仕留めたい想いがキャストを繰り返す。
朝日が顔を出し始めた。
鳥が私の目の前を旋回しだす。ルアーを無意識にチェンジ。ルアーサイズを落とした。
その一投目で来た!
やはり手間の際でのヒット。すぐに寄せずに走らせる。強めのドラグが悲鳴をあげラインがドンドン出される。
見えた。下から突き上げ反転していく魚体。
下には行かせないとロッドを立てる私。
余力があったのは魚の方だった。
張り出した瀬の奥に消えていく姿を最後にテンションが抜けた。
ククククッ…
楽しいぜ…
バイトしてくる姿が見えた。アワセだけ入れてフリーに泳がすのがいいのか…悪いのか…投げるコースを変えるべきか…
この後何度となくバイトはあるがヒットしない。ルアーを突かれるという感じだ。なにかがズレてる。
バイトの数は圧倒的に私の場所がいいようだ。なのに獲れない。悔しさと興奮でグチャグチャだ。でも楽しい、楽しすぎる。
とある釣友が言っていた。
『ショアからの釣りは、魚の方がアドバンテージは大きい』
なるほどねと、またシステム組み直しながらこの相手を攻略する糸口を探していた。
気がつけば朝日はさらに私達を強く照らしはじめている。
つづく
- 2015年4月7日
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