雨上がりに赤い彗星が2つ

夜12時を過ぎ、日付が変わる。
タイリクスズキの回遊は消えた。

じゃあ、次の回遊までは別の事をやろう。

前回、バイブさんに解説してもらったエリアが気になっていた。
岸からソコソコ離れてるのに、その一帯は浅いらしい。
ミノーなんか投げたら速攻で根掛るって。

なにかあるな。
チョッくら調査せな。

まずはロッドに付いたままの【レンジバイブ45ES】で流す。
ロッドを立てて高速巻き。

ゴツ。
ヤバ、ヤッテしまった。

ハァ、大失敗。

ラスイチのレンジバイブが根掛りで殉職。
もう、今日はタイリクスズキが入ってきても捕れそうな気がしねぇ。

最初からクランク投げときゃ良かったのに。
改めてクランクで調査。

なるほど、ただ浅いって訳じゃない。
深い所もある。
点々と岩がその辺りにあるんだ。

岸から離れたゴロタ地帯だ。
こりゃ、エエじゃないか?

と思ってたら案の定ヒット。

お~、ドラグが滑る。
またもや予想外の外道フラグが立った。

でた、マングローブジャック!

この赤いタイが釣りたかったのよ。
和名はゴマフエダイ。

しかし、コイツも此処に居たんか。
聞いてねぇけどな。

クランクをガッツリ丸呑み。

コイツはナカナカのイケ面だろ?
パワーも抜群で、香港の隠れた名優なんだぜ。

連荘狙いの続投。

しかしだ、何故かさっきから頻繁に根掛る。
その度にルアーは回収できてるんだが、
効率も悪いし、なにより此処最近の立役者が旅立ちそうで怖い。

フロントフックも外すか?

そう思いルアーを手に取ると、
アレ、これは【ポケッツ ディープクランク F38DR】じゃん。

万が一の根掛りでルアーを失ったときの予備で
コレを持ってきてたのを忘れてた。
大きさも色も似てるし、暗かったから間違ったんだな。

では、主役の【管極 MGクランク 32】に登場してもらおう。

この2つ、形やスペックなど近いものはあるんだが、
根掛り回避の性能は雲泥の差がある。
交代後は岩に当てながらもスムーズにルアーを通せた。

そして、最後に残された気になるポイントに移動した。

此処も浅い。
だが、此処にカサゴはまず居ない。
そして、ヒットするならヤツだ。

正直なところ、空振りすると思っていた。
そんな想いの中、クランクが海底を進む。

コツ。

当たった。
小さいけど、確実に当たった。

ドキドキする。
ヤツなのか?

当然、続投。
ゆっくり静かにリトリーブ。

コツ。

一息おくと、ゆっくりラインが引っ張られた。
タイミング良くフッキングを決めたつもりが、スカった。

この感触はあの時と同じだ。
最後に深センで戦ったあの時と。

きたぞ、リベンジのチャンスが。
しかし、このルアーでは少々小さいかも知れない。
でも、コイツであの時の雪辱を果たしたい。

もう一回、食って来い。
3度目の正直をボクに。
そして最後のチャンスが。

コツ。

ゆっくり引っ張られるライン。
その距離は約20mだ。
強く、鋭く、フックまでパワーを送り込め!

ビシッ!

ノッたぜ、完全にフッキングが決まった。
前回はガルーパと思って勝負を急いだが、
その轍は踏まん。

ランナーの足をロッド裁きで鈍足に。
ジワジワと寄せ、隙を見つけて空気を吸わせる。

ボガで開いた口を挟みこんだ。
勝った!今日は勝ったぞ!

やっぱり釣れた、レッドドラムだ。

何処から見ても赤くないんだけど、何故かレッドドラム。
マングローブジャックに続き、赤い彗星をゲット。

コレも完全に丸呑み。

丸呑みだったが、幸い喉やエラを傷つける事なく、
針を外して、海へ返すことができた。

サイズは50チョッとで、大したモンじゃないが、
実釣の前にシミュレーションしていた事が綺麗にハマった。

時間や天候などの良い条件に恵まれたことが大きいが、
陸っぱりでは偶然の産物と思われたコイツを
狙って射止めた。

長く釣りをしてるとこんな日もある。
だから、ヤメられないよな。


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