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▼ 水曜スペシャル オオスミン国サミットへ
- ジャンル:日記/一般
仕事を終え家に帰るとチケットが届いていた。

「オオスミン国サミット入場チケット」
申し込んだ事などとっくに忘れてしまっていた、、、。
物心ついた頃から当たり前に視界へ収まり、
ワタクシの認識する「自然」の中に同化していた不自然な山。
この地域にいくつも存在するその不自然な山を世間ではボタ山と呼ぶ。
炭鉱産業の遺跡だ。

それ以外に別段これといってウリとなる物などない、
すさんだ空気漂うショボクレた町。
ワタクシはそんなショボクレたボタ山の町で生まれ、そして育った。
誠に不名誉な形容ではあるが、
言ってみればワタクシは生粋の「ボタヤマン」だ。
通過儀礼のようなものかもしれない。
一般的な大人として見られるようになる頃には、
「こんなショボクレた町なんかとっとと出て行ってやる」
そんな思いばかりを募らせ、ほどなくして町を出た。
短い期間だったが他の地で生活し、
自分の人生に何の転換期も作る事が出来無いまま、
またこのショボクレた地に戻りショボクレた生活をしている。
都落ちと言われねばならぬほど立派な気概や野心などは無かった。
ただただ安易に華のある生活を求めていた。
そもそもから対価も支払わず、
望む物だけを手にしようなどとは虫が良すぎたのだ。
人生は、カード決済のように後払いなど通用しない。
ワタクシの望みは、ワタクシの身の丈に合ってはいなかった。
ただそれだけの事。
この町の生活にまた嫌気が差してきた時、
新聞の片隅に「オオスミン国サミット参加者募集」の記事を見つけ、応募した。
数か月前の事だ。
もう町を出ていけるほどワタクシの中の衝動は、
目の前の現実に対して反抗的ではなくなっていた。
ただ少しだけ、違う土地の空気を肌で感じたい、
そう思っていた矢先だった。
2014年1月8日、水曜日。
その日がやってきた。
車を飛ばし、一路オオスミン国へ。
無事入国を終え時間になり会場へ入った。
会場となっていたのはオオスミン国の風情感じる「ぐーた」という料理屋だった。
オオスミン国サミットについて事前に連絡のやり取りをしていた
たろう氏とK山氏が席についていた。
2人と軽く挨拶を交わしてワタクシも空いている席に座った。
運ばれてくる料理に舌鼓を打ち、
回りの空気にも慣れてきた頃、
入口から恰幅の良い男性2人がワタクシたちの席へ近づいてきた。
たろう氏が彼らを紹介した。
髭を蓄えた紳士がオオスミン国の国王、
赤いキャップを着用している紳士がオオスミン国の首相。

ワタクシもカメラを持ってきた。
写真をお願いすると国家のブレインらしく威厳ある姿勢をとり応じてくれた。


羽が施された赤いキャップに並ぶ A・R・A・L・E の文字の意味は解らないが、
首相程の人物が身に着ける物なので、たぶんこの地の崇拝の対象か何かだろう。
彼らは国民から「背油ラーメン隊」と呼ばれ親しまれていた。
「背油ラーメン隊」とは現地の言葉で「聖なる魂の伝道師」という意味らしい。
ここでK山氏がワタクシに一冊のパンフレットを差し出した。
オオスミン国のパンフレットだ。
中には国政に奔走する国王と首相の写真などが並んでいた。
自らのセレブっぷりを自慢げにアピールしてるかのような

私財を投げ打って公共事業に投資する国王の姿や、
ただ単に酒が入ってリミッターがトンでるだけだろって感じで、

幼い子がいる家庭を二人でまわり、
自ら園児になりきって子守りしている風景などなど。
このパンフレットを眺めれば、
この国で如何にこの二人が国民から愛されているのか一目瞭然だった。
首相は席につくなりナシゴレンというチャーハンのような食べ物をむさぼった。

その風貌から容易に想像できるところだが、
彼はその体内にウガンダ系DNAを備えている。
その証拠に、ナシゴレンは一噛みもされることなく喉を通過していた。
彼にとってはカレーだけではない、ナシゴレンさえも飲み物なのだ。
一通り皆の腹が満たされた頃、国王が口を開いた。
「私たちオオスミン国の国民は、このオオスミン国を心から愛している」
そして彼はワタクシに問うた。
あなたの町はどういったところかと。
「ただのショボクレた町ですよ」吐き捨てるように口から出てしまった。
郷土愛あふれる人々の前で言うセリフではなかったが、
気が付いた時には既に遅かった。

国王は射るような目でワタクシを見つめていた。
フォローの為に用意した言葉は、国王が放つ視線の重圧で
ワタクシの口からこぼれ出る前に奥歯で噛み砕かれ粉々となった。
プレッシャーに泳ぐ目で、空気を変える一手を探した。

早くこの視線から逃れたかった。
「明日、私は国内の視察に向かいます」 首相だった。
国王が視線を首相に移し、ワタクシは安堵した。
こんなところもう沢山だ。
機を見計らってとっとと抜け出し、
ショボクレた町にさっさと帰ろうと思っていた時、
国王が驚くべき言葉を口にした。
「せっかくなので、A吉田氏にもご同行していただくと良い」
国王の言葉に皆が賛同した。
その決定を機に会はお開き、明日に備える事となり解散した。
宿の手配などしておらずワタクシは車で寝る事にした。
眠りに付く前、サミットの名を語り遠方へ飲み友達を募っただけの
ただの飲み会じゃないかという思考は、
疲れと眠気により直ぐに闇へ霧散した。
翌朝、
首相とたろう氏と国王の弟とワタクシの4人で視察現場に向かった。
聞けばたろう氏はオオスミン国指折りのシェルパなのだそうだ。
オオスミン国へ訪れる有名登山家たちは、
こぞって彼にガイドを依頼するらしい。
今回の視察ではその彼がガイドを買って出たのだそうだ。
オオスミン国の険しい山々を踏破した彼なら頼もしい限りだ。
また彼は趣味としている魚釣りも、まーまーの腕前だという事だった。

何処かの集落へ伺うのかと思っていたら、延々と峰々を縫うように伸びる
細い林道をただただ走り、深い照葉樹の森を眺めるのにも飽き始めた頃に車は止まった。
そこは鬱蒼とした森の入り口。
「ここから歩きます」入口に立ったたろう氏が言った。
どこをどう視察するつもりなのかまったく分からぬまま、
ひたすら森の中を歩かされた。
歩き疲れた肉体が心の苛立ちを誘ったが、
それを表面に出せるほどワタクシの精神は豪胆ではなく、
黙って歩く事に専念した時、首相が「ここだ」と言った。
まさにその「ここだ」という地点に立った時の衝撃を、
ワタクシは一生忘れないだろう。
そこはオオスミン国の「フチ」となる崖の上だった。
ワタクシは言葉を失い、目だけを見開いて立ち尽くしていた。
言葉でこの衝撃を表現したかったのだが、
選ぶ言葉が持っている「意味」の容量では、
とてもじゃないが小さすぎた。
もはや「スケールがデカい」などの言葉は、
陳腐過ぎて吐く気さえしなかった。
原生林に覆われた峰が「ここ」で海に突き刺さり、
眼前には果てしなく広大な太平洋が広がる。
こんな言葉でも恥ずかしい限りだが、
まさに圧巻の景観を「ここ」はワタクシに浴びせていた。
「真理は美を纏う」

熱い視線を太平洋に向けていた首相が急に口を開いた。
言葉もそうだが、発言の意図が解らずワタクシは首相を見つめた。
すると「ピカソのゲルニカはご存じか?」とワタクシに尋ねてきた。
「いいえ」
「ゲルニカは美しい」
1937年、スペイン北部の小都市ゲルニカは、
ナチスの無差別空爆を受ける。
衝動に駆られたピカソは、
その惨劇を「ゲルニカ」という作品として描き上げた。
ナチスの兵がアトリエへ乗り込み
「この絵を描いたのはおまえか!?」と激しく詰め寄ったが、
ピカソは静かに、しかし強く「あなた達だ」と答えたというエピソードを、
首相はワタクシに語って聞かせた。
「命と引き換えにしてまで世に知らしめたかった作品なのですか・・・」
首相は答えず、独りごちるように語り始めた。
もちろん、
後から理屈をくっつけなければいけないような芸術品は
芸術品としていかがなものかとは思うが、
空っぽの花瓶では感動が出来ない、私はそんな人間なのだ。
とてつもない崇高な義を用い、
高い高い温度で燃焼される命からこぼれ落ちた燃えカスは、
総じて美しい。
地球という偉大な生命は、際限なく内なるマグマを高温で燃やし続け、
遥かなる時間の元にこの自然を作り上げた。
そこまで聞いて、ハッとなった。
ワタクシの町にも作られた「自然」があった。
しかも「人の手によって」だ。
世間が一葉に貧しかった時代、
心の底から愛する人たちの幸せな未来を願い、
必死に働いて来た人々がいた。
彼らは坑道と呼ばれる穴蔵に潜り力の限り石炭を掘り続けた。
同時に出たズリと呼ばれる商品価値の無い石炭カスは、
石炭を掘り続けた分だけ坑道の脇にうず高く積み上げられ、
やがてボタ山と呼ばれる大きなカスの山を築いた。
山の高さは、
労働に込められた人々の素晴らしい祈りや願いをそのまま表していた。
すさんでいたのは町の空気ではなく、ワタクシの心だった。
すさんだ心では、あの山が持つ真の姿は見いだせなかったのだ。
ボタ山を幾つも有するワタクシの住む町は、、、
まぎれもなく美しい。
そこで「さあ、視察は終わった。引き揚げよう」と首相が言った。
ワタクシは皆を見回した。
彼らは、とても暖かい笑顔を湛えながらワタクシを見つめていた。
そこで初めて、
彼らの目的が視察ではなかった事に気が付き、目頭が熱くなった。
なんと暖かい人々なのだ。
ワタクシは心から感謝し、帰り道を行く彼らに続いた。
延々と下り降りてきた分、帰りの登り道は首相達を苦しめた。
ワタクシは日頃の鍛錬のたまもの、
こんな悪路も三段跳びとスキップで、彼らより遥かに早く登り切った。
首相は、登って

コケて

また登って、息も絶え絶えになりながら駐車していた車まで辿りついた。

しかしながらこのタフガイはカメラを向けると微塵もその疲れを見せずポーズを決めた。

さすが首相である。
ランチ済ませてから解散しようという話になった。
たろう氏おすすめの店へ立ち寄り、皆でランチを味わった。
この時間は何よりもこの旅で楽しい時間となった。


名残惜しいが、店の前で記念撮影を行い皆と別れた。


さあ、胸を張り誇り高いボタヤマンとして我が町へ帰ろう。
あの美しいボタ山が待っている。
首相、国王、K山氏、国王の弟、
濃密にして有意義な時間をありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
そしてガイドとしてその能力をいかんなく発揮してくれたたろう氏には、
格別のお礼を申し上げたい。
拝啓 たろう様

オンドリャーーー!!!
どんだけエグイ磯に案内しとんじゃー!!!
ちかっぱキツいっちゅーーーねん!!!
死ぬかオモタわーーー!!!
途中、ゴール地点となる自分の車の蜃気楼を2回も見たじゃねーか!!!
それってコト切れる寸前の現象だろがーーー!!!
ワタクシがもし死んでたら、ワタクシの事を心から愛している、
残された全国3000万女子高生ファンの皆様を
いったいどーする気じゃゴルルルルルルルアアアアアアッ!!!
このどSが!!
もうあったまきた。
オオスミン国め!!
またしつこく行ってやる!!
これからもヨロチクビ(●´∀`)ノ
- 2014年1月14日
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