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▼ “解禁”~再戦~
- ジャンル:釣行記
この日の朝の気温は5℃。
比較的暖かく感じられ、解禁日初日の釣行としては最高の条件だった。
背後の山に陰っている陽が、辺りに差し込むにはまだ少し時間がかかるが、顔を出せば気温は一気に上昇する気配。
そんな時程、決まって鱒達の活性も上がる。
“水を得た魚”ならぬ、“陽を得た魚”。
厳寒期はこいつに的を絞る。
来たるべき時に備え、膝まで飲まれる深い残雪を注意深くラッセルし、ベストポジションを陣取って水辺に立つ。
昨年は低気温により、ラインやガイドが凍ってしまい、いくつかのスプーンを無くした挙げ句、魚とも渡り合えなかった。
今回はそれを踏まえて、3000番のリールに8lbのライン。
更に対櫻鱒用である、8g~22gまでのスプーンも用意した。
狙いは激流に潜む“清流の暴君”。
スピードと、暴力的とまで取れるパワーを兼ね備えたレインボーこと、虹鱒。
『これなら闘り合える。』
その自信が、攻めの気持ちを沸き立たせ、穫る釣りを可能にしてくれる。
AM8:10。
流れ、水色、共に抜群。
魚は間違いなく・・・いる。
まずは魚の様子を窺うべく、8gのスプーンで、表層から中層付近を探っていった。
開始から数分。
アップクロスに投げ、ダウンに差し掛かった所でバイトあり。
一瞬掛かったかと思ったが、どうやら魚が小さく、針に掛からなかった感じ。
その後、しばらくアタリも何もない時間が続く・・・。
解禁日、いくら気温が暖かいとは言え、やはり魚の活性は低い。
恐らくボトムにベッタリと張り付き、目の前に落ちてくるエサだけを待っているのだろう。
それでも少しずつ場所を移動しながら、ひたすら表層から中層のみ、活性の高い魚だけを探して行った。
聞こえるのは瀬音とキャストの音だけ。
たった五分がとても長く感じられ、やがてそこには『魚はいないのではないだろうか』という錯覚にまで陥る。
ジッと竿先とラインにのみ目を凝らし、耳を周囲に傾け、指先に感覚を集中させる。
この時初めて、途中で仮眠を取っておいて正解だったと思った。
恐らく、あのまま辿り着いていたならば、集中力は途切れ、感覚を研ぎ澄ます事は出来なかっただろう。
適度の睡眠と、魚への飢えた渇きが、感覚をより研ぎ澄ます結果となったのである。
そしてこの集中力が、次なる手を弾き出す。
AM8:45。
背後の山から、やっと陽が顔を出した。
一気に暖かく感じる空気。
水も草木も、それに張り付いた雫さえも、一斉にキラキラと輝き始める。
そうした途端に魚がルアーを追うのかと言えば、そうではない。
これまでに冷えた水に、溶け出した雪代水が入り、更に水温が下がれば魚達は途端に食い渋る。
しかし、とある条件が重なった時、最大のチャンスが訪れる瞬間がある・・・。
『陽光の一時』。
水面にただ陽が差すだけでなく、しっかりとした「流れと水深」がある場所。
溶け出した雪代水が入る前の一時、先の条件が揃う場所へ陽が差した瞬間に、魚の“スイッチ”が入る。
この時を待っていた。
AM8:50。
それまで中層を漂わせていたスプーンを、一旦ボトムまで沈める。
ボトムを転がす様に、強い流れにラインを乗せてスプーンを水流に引かせる。
リーリングは、ほぼラインスラッグを取るのみ。
ここで「ググッ」と竿先が絞り込まれた。
瞬時にアワセを入れてフッキング!
あまり抵抗を見せないが、紛れもない魚の引き。
これはたぶん岩魚。それも尺に満たないサイズ。
“たぶん”と言ったのは、流れを抜けた所でバレてしまった為。
しかし岩魚の引きはアマゴやレインボーのそれとは似て異なる為に、すぐわかる。
手前の流れに乗って出来るラインスラッグが、魚にダイレクトに繋がらず、甘いフッキングになってしまった。
未熟・・・。
(これがレインボーだったら・・・。)
しかしバレはしたものの、戦略は当たり、ミスに気付いた事に気を良くしたTOMMYは、ここでそれまで温めていた対岸にスプーンを届ける為、19gのスプーンにチェンジ。

(カラーは違うが、先月1日に櫻鱒を振り向かせた名スプーン、Olien19g(TJ))
AM9:00。
フルキャストで狙ったピンへOlienを送り、素早くボトムを取って、流れにラインを乗せて底を引く・・・。
「ドスッ」
ここで早合わせは禁物。
ボトムを転がしている為に、根掛かりの可能性がある事、
そして何より、
“しっかりと魚にスプーンをくわえ込ませる為”に。
そのまま竿でゆっくりと聞いてやると・・・
グググッ!
竿先に伝わる生命感・・・
先程の失敗を生かし、今度は仰け反る様にアワセをくれる!
「バシャッ!!!!」
ビシッ!と音を立ててラインが水面を切った先で、魚が跳ねた!
一瞬で目に焼きつく、斑点を散りばめたデカイ尾鰭・・・
「来たっ・・・レインボーだ!!」
何も出来ないまま、叩きのめされてから一年。
この時をずっと待っていた。
ジーッ!!
ジーッ!ジジーッ!!
激流をトルクフルに暴れ回る大型レインボー!
限界近くまで弧を描くロッドを右へ左へと魚の動きに合わせ、ドラグを調整しながら次第に距離を詰めて行く。
自分でも驚く程、冷静だった。
強靭なタックルがそうさせたのか、昨年のリベンジに燃える心がそうさせたのか・・・。
背中のネットに手を掛け、魚をゆっくりと誘導させる。
無事ネットイン。

そのままヘタッとその場に座り込んだ瞬間、右手の発電所の方から拍手と喝采を浴びた。
一部始終を見ていた、作業員の方々からの祝福だった。
TOMMYは小さく頭を下げた後、大きくガッツポーズを見せた。
“やっと会えたぜ”

(2012.3.1 “岐阜県宮川の虹” 45cm)
- 2012年3月16日
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