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▼ 生かされている感覚。
- ジャンル:日記/一般
ある日、今まで踏み入れた事の無い場所へ向かっていた。
明るい内に行った事はあったのだが、アクセスの悪さから断念していた。
しかし、残り少ないシーズンと言う事と、タイミングが良かった事もあり、私は足を進めた。
100メートル以上の藪コギを行い、ベストの半分まで浸かるほどのスリットを渡り、崩れかけたテトラを登り、また降りる。
そんなハードなアクセスを闇夜で一人でやり遂げなくてはそこまではたどり着かない。
そこを知っている仲間も、夜は一回も入った事が無いと言う。
道なき道を進み、ふと立ち止まる。
虫達の鳴き声の中、ガサガサと大きな音を立て数十メートル先を歩いている者が居る。
とっさにライトを消し、様子を伺う・・・・・・・・
足音と共に、時折聞こえる息使い。
私は月夜の中、恐怖に震えた。
ぼんやりと映し出されたススキの葉が、ザワザワと蠢いている。
そしてやっと気が付いた・・・・・・
私は森の住人達の縄張りに入っているのだと。
今歩いている道も、私だけでは無く彼らも使っている道なのだと。
しばらくすると、こちらに気づいたのか、音が消え、ゆっくりと音が遠ざかった行く・・・・・・・
自然の中に住み暮らしている動物達。
そこに入った人間などは、一番下等な生き物で一番弱い。
不要な戦いを挑むのは、それを知らないバカ者だけだ。
我々人間は自然の中に立たされると、無力。
只只、生かされているだけなのである。
私はそっと一番弱くライトを点け、なるべく静かに歩いた。
起こさぬ様に・・・・・・・・
驚かせぬ様に・・・・・
アクセスだけでどれほどの時間が掛ったのだろうか・・・・・・
着いた先は、明るい時間見ていた”そこ”とは違っていた。
ぼんやりと月が出始め、川を照らす。
そこには全く音の無い世界が広がっていた・・・・・・・・・
川のせせらぎの音、虫の鳴く音、サギや鵜等の鳴き声など一切無く、長く険しい道を歩いて来た私の息遣いと、心臓の鼓動だけが耳に入ってくる。
呼吸を整え、ルアーを結ぶ。
一歩進むごとに出る水面の波紋は、鱸達に知られてしまうのではないかと、心配であった。
ロッドを構えると、心臓の音が激しく聞こえる。
これは、生かされている恐怖なのか、狙いの所にやっと立てた興奮なのか・・・・・・・・
息を殺しキャストする。
水面に大きな水柱が上がった。
と同時に、ルアーが高らかと弾かれる。
次の1投で決める。
もう、私には時間が無かった。
いつ最後の魚となるかもしれない、そんな中、悠長なことはしていられない。
キチンと食わせにかかる。
1投だった。
強烈な衝撃と共に絞られるロッド。
障害物は無くとも、押しの強い流れは、鱸の強さを更に倍増させる。
”ヒューヒュー”とラインが水を切り裂く音が聞こえる。
下へ下へと突っ込み、流れの下へ入ろうとする賢い鱸に耐えていると、今度は”ドクンドクン”と心臓の音が聞こえてくる。
最近にしては長いファイトの末、月夜に照らされ上がって来たのは納得の魚体。
ゆっくりと浅瀬へ誘導しこの手に抱いた。
今年一番のコンディションの魚に思わず見とれてしまう・・・・・・・・
そしてこの鋭い眼光。
この魚に巡り合えて良かった。

この魚は豊かな自然の証。
丁寧に蘇生し、住処へ帰す。
ノットを組み換え、ルアーを付けるまでの間、ずっと心臓の激しい鼓動が聞こえていた・・・・・
しばらく経ってキャストを再開する。
すると、明らかにバイトがあるのだが、中々ヒットまでは持ち込めない。
こんな事は今までに経験が無かった。
何度もしつこく繰り返しバイトがある。
ティップが入るほどのバイトがあっても、フックには掛らない。
「何かある・・・・・・」
私はそう感じていたのだが、この時はまだ分からなかった。
そして、バイトがあった後、ティップを送り込み、鱸にルアーを持って行かせるまで送り込んだ。
すると、なんとかフッキングまで持ちこめた。
しかし、何かが変だ・・・・・・・
サイズはそこまで大きく無い事も分かっていた。
しかし、何かが違う。
上がって来た魚を見て、言葉を失った・・・・・・・・
上唇が無い。片目が無い。体には大きな傷。
奇形では無いと思う。
何か事故があったのか、漁師、釣師にやられたのかは確かではないが、ボロボロの体。
すまない・・・・・
すまない・・・・・・
私は何度も謝った。
シーズンの終わりが近いからと、欲を出した自分がいけなかった。
いつもなら、始めの魚を獲った時点で退散していた筈なのだが、欲に駆られ、ひどい事をしてしまった。
幸いなことに、私のフックは綺麗に口に掛っており、一滴の血も流す事無く即座に帰す事が出来た。
私に残ったのは後悔の念だった・・・・・・
しかし、こういった不幸があり傷ついてしまった魚もこうやって太り、元気に餌を追って生きて行っている。
生命とは物凄い力を持っているのだと感じると共に、この自然の豊かさを感じていた。
魚達もこの豊かな自然に生かされていのだと。
そして私はこの傷ついた魚にまた教えてもらった・・・・・・・・
自分の愚かさと醜さ・・・・・
後ろで響く激しい捕食音には見向きもせず、只只私は肩を落とし、また自然の中へと溶け込み帰路に就くのであった 。
アングラーズデザインホームページ
明るい内に行った事はあったのだが、アクセスの悪さから断念していた。
しかし、残り少ないシーズンと言う事と、タイミングが良かった事もあり、私は足を進めた。

100メートル以上の藪コギを行い、ベストの半分まで浸かるほどのスリットを渡り、崩れかけたテトラを登り、また降りる。
そんなハードなアクセスを闇夜で一人でやり遂げなくてはそこまではたどり着かない。
そこを知っている仲間も、夜は一回も入った事が無いと言う。
道なき道を進み、ふと立ち止まる。
虫達の鳴き声の中、ガサガサと大きな音を立て数十メートル先を歩いている者が居る。
とっさにライトを消し、様子を伺う・・・・・・・・
足音と共に、時折聞こえる息使い。
私は月夜の中、恐怖に震えた。

ぼんやりと映し出されたススキの葉が、ザワザワと蠢いている。
そしてやっと気が付いた・・・・・・
私は森の住人達の縄張りに入っているのだと。
今歩いている道も、私だけでは無く彼らも使っている道なのだと。
しばらくすると、こちらに気づいたのか、音が消え、ゆっくりと音が遠ざかった行く・・・・・・・
自然の中に住み暮らしている動物達。
そこに入った人間などは、一番下等な生き物で一番弱い。
不要な戦いを挑むのは、それを知らないバカ者だけだ。
我々人間は自然の中に立たされると、無力。
只只、生かされているだけなのである。
私はそっと一番弱くライトを点け、なるべく静かに歩いた。
起こさぬ様に・・・・・・・・
驚かせぬ様に・・・・・
アクセスだけでどれほどの時間が掛ったのだろうか・・・・・・
着いた先は、明るい時間見ていた”そこ”とは違っていた。

ぼんやりと月が出始め、川を照らす。
そこには全く音の無い世界が広がっていた・・・・・・・・・
川のせせらぎの音、虫の鳴く音、サギや鵜等の鳴き声など一切無く、長く険しい道を歩いて来た私の息遣いと、心臓の鼓動だけが耳に入ってくる。
呼吸を整え、ルアーを結ぶ。
一歩進むごとに出る水面の波紋は、鱸達に知られてしまうのではないかと、心配であった。
ロッドを構えると、心臓の音が激しく聞こえる。
これは、生かされている恐怖なのか、狙いの所にやっと立てた興奮なのか・・・・・・・・
息を殺しキャストする。
水面に大きな水柱が上がった。
と同時に、ルアーが高らかと弾かれる。
次の1投で決める。
もう、私には時間が無かった。
いつ最後の魚となるかもしれない、そんな中、悠長なことはしていられない。
キチンと食わせにかかる。

1投だった。
強烈な衝撃と共に絞られるロッド。
障害物は無くとも、押しの強い流れは、鱸の強さを更に倍増させる。
”ヒューヒュー”とラインが水を切り裂く音が聞こえる。
下へ下へと突っ込み、流れの下へ入ろうとする賢い鱸に耐えていると、今度は”ドクンドクン”と心臓の音が聞こえてくる。
最近にしては長いファイトの末、月夜に照らされ上がって来たのは納得の魚体。
ゆっくりと浅瀬へ誘導しこの手に抱いた。

今年一番のコンディションの魚に思わず見とれてしまう・・・・・・・・

そしてこの鋭い眼光。
この魚に巡り合えて良かった。

この魚は豊かな自然の証。
丁寧に蘇生し、住処へ帰す。
ノットを組み換え、ルアーを付けるまでの間、ずっと心臓の激しい鼓動が聞こえていた・・・・・
しばらく経ってキャストを再開する。
すると、明らかにバイトがあるのだが、中々ヒットまでは持ち込めない。
こんな事は今までに経験が無かった。
何度もしつこく繰り返しバイトがある。
ティップが入るほどのバイトがあっても、フックには掛らない。
「何かある・・・・・・」
私はそう感じていたのだが、この時はまだ分からなかった。
そして、バイトがあった後、ティップを送り込み、鱸にルアーを持って行かせるまで送り込んだ。
すると、なんとかフッキングまで持ちこめた。
しかし、何かが変だ・・・・・・・
サイズはそこまで大きく無い事も分かっていた。
しかし、何かが違う。
上がって来た魚を見て、言葉を失った・・・・・・・・

上唇が無い。片目が無い。体には大きな傷。
奇形では無いと思う。
何か事故があったのか、漁師、釣師にやられたのかは確かではないが、ボロボロの体。
すまない・・・・・
すまない・・・・・・
私は何度も謝った。
シーズンの終わりが近いからと、欲を出した自分がいけなかった。
いつもなら、始めの魚を獲った時点で退散していた筈なのだが、欲に駆られ、ひどい事をしてしまった。
幸いなことに、私のフックは綺麗に口に掛っており、一滴の血も流す事無く即座に帰す事が出来た。
私に残ったのは後悔の念だった・・・・・・
しかし、こういった不幸があり傷ついてしまった魚もこうやって太り、元気に餌を追って生きて行っている。
生命とは物凄い力を持っているのだと感じると共に、この自然の豊かさを感じていた。
魚達もこの豊かな自然に生かされていのだと。
そして私はこの傷ついた魚にまた教えてもらった・・・・・・・・
自分の愚かさと醜さ・・・・・
後ろで響く激しい捕食音には見向きもせず、只只私は肩を落とし、また自然の中へと溶け込み帰路に就くのであった 。

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- 2014年10月22日
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