秋風に吹かれて

出発しようと準備すると犬がこちらの顔をすまし顔で見てくる
「今日は行っても釣れないよ?」
冷めた視線
予感はしてる、が準備はできている

愛車に跨がる
タイヤも擦り切れ、ブレーキパッドもペラペラ、マフラーは針金で補修してある
もう2万キロも素人整備だけで走っているのだ
よく耐えてくれてるなぁと感謝しながらセルを回す

夜の1時、国道とはいえスカスカ
単気筒の特有のスタタタッ!という排気音ともに加速していく
福島は数日ほど前から秋だ
バイクのいいところは季節の移り変わりがわかる事だと聞いたがいきなり寒くなってもらっては困ってしまう

気温は21度、朝方はもう少し冷え込むだろう
着込んでくれば良かったと思いつつも心地のいい風に吹かれ気分はひらひら靡く

いつものポイントに到着
来ないうちに藪が深くなっている、また刈ろうかなんて考えながら進むと
水位が異常だと気づく、いつもは陸で蟹の巣穴が大量にある場所まで水が来ている
?おかしい、支流の水量は普通だったのになぜ?

立てるかどうか不安に思いながら進み釣り座へ到着
いつもは膝上の水深のはずが鳩尾上まで来ている
体勢を崩すとウェーダーに水が入るほどギリギリ

大潮、ちょうど満潮、潮が引けばクサビが抜けて低くなるだろうといつもより下がって、コモモ110から開始
一投目から本命コースを打つ、が、ショートバイトのみ
その後扇状に切っていくが反応なし
他のミノーでも反応なし、相当厳しそうだなと思いシェリー95ss、が反応なし
少し焦る、シェリーはどんなに渋くても1バイトは拾ってくる奥の手の一つなんだが、、、
ピース100でスローに、、、コン!とまたもショートバイト
先行者がいたのか、水温低下が急激だったのか本当に渋い
ガッ!と途中で引っかかる
ライトで照らすと鉄パイプが打ってある、知らない間に要らないストラクチャーが、、、
煽って外れたので反対側に打つと、また引っかかる

そこにも鉄パイプ
漁師の漁場になったのだろうか?打てる範囲がいきなり狭くなる
移動も考えたが面倒なので正面90度で粘る

クレイジーツイスター、ジグザグベイト80sでショートバイト
自分の少ない引き出しは出し尽くして新しいことを始めるがそんな簡単には正解は見つからない

空は満点の星空、最高の環境での試行錯誤
シンペン、ミノーのトゥイッチ、ジャーク、リフトアンドフォール、、無反応
トップウォーター、、無反応
バイブレーション、、、無反応
s字、ジョイント、
速まき、ストップアンドゴー、全て無反応

その場で思いつく事をやり尽くす頃には空が色づく

、、、、水位が全く下がってない
??満潮から4時間、川の潮位は遅れるとは言っても変化が遅すぎる

朝マズメの時合が始まる、、水柱がそこら中で立つが水位が下がらず一歩も進めない
ポイントまで届かず、、、誤爆すら出せない

もやもやしながら釣りをするが完敗
帰り際にサイドリバーとの合流地点を見ると、、、完全に工事で塞がっている
今までは工事中でも2メートルほど開いていたものが閉じられてしまったのだ
水位が上がっていたのはこれが原因か、と納得すると同時に落胆
これからはこの水位がノーマルなのだ、今までのポイントは全て見つめ直さないといけない
特に今日のポイントはもう潰れたも同然、鉄パイプも水位も自分にはどうしようもない事、他を探すしかない
ガッカリしたが、住処ごと変えなければならない蟹に比べたら気楽な話だなと思い
朝焼けの冷えた空気を吸って家へ帰るfwtabe9y2sxh6s3u3553_361_480-70e2d0b2.jpg

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