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▼ ロッド選びのイロハ 腰が抜けます
- ジャンル:日記/一般
ホントはガイドの話しをする予定でしたが、差し込みネタでちょっと寄り道です。
前回のコメント欄へ、「本編と関係なくてすみませんが、ロッドの腰が抜けると言う現象はあるのですか?」という質問を戴きました。
ありがとうございます♪
簡易な回答はすでにしてますが、改めてちゃんと書いておこうかなと思います。
さて、「抜ける」という現象は、新品時より「張りがなくなる」「パワーが落ちる」という「感覚」をアングラーが感じるという事を言います。
いずれも「何かしらの老朽化」が考えられますね。
これは3つの理由が考えられます。
・カーボン繊維の反復回数が、カーボン繊維の耐久回数を超えた
・CFRPの樹脂が、経年劣化により繊維との密着度が落ちた
・コスメ各パーツ(ガイドやラッピング、グリップ周り)の接着の劣化
一つ一つの説明は後述しますが、問への回答は「ある」です。
と言うか、「私は感じます」です。
また、ロッドによっての差異もあると思います。
では、考えられる理由をひとつづつ解説していきます。
・カーボン繊維の劣化
マテリアルで説明しましたが、CFRPとは極細のカーボン繊維を束にしたものを編み込み、それを熱硬化性樹脂(FRP)で固めたものを言います。
昔はG(グラス)FRPが主流でしたが、現在はC(カーボン)FRPが釣りの竿では主材となりました。
そのカーボンの特性は、軽くて復元力に優れているという事です。
要するに、曲げてから元に戻る力が強く、しかも「その耐久性が長い」という素材です。
ロッドの腰抜け現象を感じるという事は、このカーボンが何かしらの理由で復元力(言葉がちょっと違うか?反発力だともっと違う気もするけど)の低下が起きていると考えがちですが、実際には「外部損傷がない限りは、カーボン繊維の劣化はほぼ無い」と言ってよいと思います。
カーボンはそんなに簡単に劣化できません。
また、繊維の細かい破断も、経年劣化では無いと言ってよいレベルで極小です。
これはロッドではありませんが、きちんとしたデータがあります。
ですから、カーボン繊維での劣化は、「可能性はゼロではないが、釣りと言う環境においてはほぼ無い」と考えています。
・CFRPの樹脂の劣化
CFRPの屋外における耐久性評価は、実はかなり進んでいます。
なぜならば、航空機や宇宙(軍事)産業での使用が数多くあるからです。
余談ですが、「だから革新的な部分のデータが公表されにくい」と言えるかもしれませんね。
では実際に公表されているデータから、「ロッドの腰が抜ける」と言う現象と紐付くような劣化とはあり得るのだろうか?ですが、これは実際に起こりうる現象です。
FRPと言えどもじつはその主材には様々なものが在り、そのほとんどの樹脂においては、紫外線劣化が見られます。
多くは「痩せる」と言う現象が起きます。
また繰り返しの曲げに対しての復元力は、カーボン繊維とは比較にならないほど耐久性は低く、強度も落ちていきます。
と言う事は、「頻度」や「曲げ量」によっては、その物性は変化してしまうという事です。
なお、FRPのやせにより、樹脂量が極端に少ない場合はカーボン繊維が曝露されてしまう事もあります。(今のところロッドでは見たことないけど)
また、樹脂が減少すれば、当然ですがカーボン繊維をまとめている力も衰えます。
これにより樹脂と繊維の間に隙間が出来る(と言うか密着度が落ちる)事により、「CFRPの弾性率」が落ちる事は考えられます。
これらの理由にて、「ロッドの腰が抜ける現象」のひとつの理由に、樹脂の劣化が関係すると予測します。
ん?なんで予測?と書くかと言うと、理屈ではあり得るけど、目で見てデーターは取ったことが無いからです。
こういうのは統計的な手法を用いての正しい会話をしたいなと思います。
ですから、チョット濁す(笑)
ただし、熱可塑性樹脂ですが個人的に「樹脂の劣化」に関するデータはもってます。
本業がプラスチックの射出成型なので、そういうデータは自動車や航空機などの安全性にうるさいジャンルにおいては結構普通に入手できます。
あぁそうそう、私は抜けの症状って、一発目は実はすごく早く来ると感じているんです。
例えば、購入して1日目とか。
もっと言うと、10回ぐらいのフルキャストで(笑)
それは「抜け」じゃなく、「なじみ」と言う気もしますが、まは症状としては、抜けと同じです。
その理由は次に説明する、コスメ関係にあると思います。
・ガイドやグリップ等の接着材等の劣化
ロッド開発をやらせて頂き、その中でかなりの頻度で「ガイドの変更」を行ってきました。
よく「ガイドでロッドが別物になる」とは誰もが言いますが、それはまさに本当の話しです。
ビックリするほど全然違います。
(ただし、ガイドの仕事とは何かを考えると、やはりブランクの持つ幅を超える事は出来ないので、個人的にはやはりガイドは「セッティング」であり、ロッド作りの王道はブランクにあると思ってます)
ガイドとは、金属のフットをCFRPの上に乗せて糸を巻き、その上から樹脂でコーティングするのですが、数が増えたり、フットの数(シングルよりダブル)が増える事で、ロッド自体に「動かない硬い部分」が発生しています。
それは「張りが出る」方向と酷似しています。
しかし、その分の重みがロッドに乗るので、ロッド全体では張りは消えてダルさへ移行していきます。
では、それがロッドの腰抜けとどう関連するか。
ココまでのをちゃんと読んでくれていれば判ると思いますが、カーボンは劣化しないけど樹脂は劣化をするのです。
ガイドは糸をグルグル巻いてその上を樹脂でコーティングされて接続されていますが、その樹脂がブランクの樹脂とは比較にならない速度で劣化をしていきます。
主に紫外線劣化と言われていますが、他にも水分(吸湿)によるものや可動による「へたり」が在り、ロッドを使う頻度が高ければ高いほど、当然ですが早く劣化します。
長く使い込んだロッドが、まずどこから壊れるか。
最初にグリップが減り、次にガイドのラッピング樹脂が黄ばみ、やがて割れますよね。
あの樹脂は浸透性等の理由から、多くが「硬化後は比較的硬い」樹脂を用いています。
ですから、ブランクに乗っかている硬いものが劣化し、やがて割れたり剥がれれば、当然ですが全体の張り(強さ)は落ちていきます。
これはロッドの腰が抜ける現象の一つの理由と考えられます。
また、グリップ内の接着剤も同じく劣化します。
しかも結構早く。
手元の密着感が消えていくので、「張りがなくなる」と言うよりも、キャストでのレスポンスがルーズに感じる事が起きます。
(気にしないけどw)
なお、これらの接着剤は水分と高温と振動に弱いです。
ですから、使った後に「濡れたまま車に放り込んで、乗らない時は車内の超高温でさらされ、移動中は常に振動が与えられる」と言うのは非常に宜しくない事です。
また、同じく樹脂の特性を考えたら、ロッドはまっすぐ積むことはとても大事です。
たまに曲がった状態(車内の天井にティップを当てる)で積みっぱなしにする人が居ますが、樹脂はカーボンと違い「クセが付く」のです。
その状態で高温低温を繰り返すと、かなりよろしくないです。
以上、これら大まかに3つの事象から、やはり「ロッドの腰が抜ける」はあると考えています。
というか、自分のロッドでも、いくつかは「新品より張りがなくなった」と感じるロッドもあります。
当然ですが、「張りの強さ」とか「感度の良さ」を目的としたロッド程、それを感じることになります。
これは「そういうロッドの方が抜けやすい」という事ではなく、「それを目的に使っているからすぐに気が付く」というレベルではないかと思っています。
でもですね、この先が重要なのですが、「腰が抜けたら悪いのか?」と言う事は絶対にありません。
だって、単純にロッドの特性が「そっちに寄った」と考えればいいのですから。
実はあるんですよ。
パリッパリのカッチンカッチンで使いにくかった某メーカーの製品が、1年たったら非常に良い感じのだるさになったロッドが(笑)
私は喜びました。
が、しかし・・・
同じロッドを同じころ購入した友人は、「あっという間に抜けやがった」と怒って、即買い換えていましたね。
この話、べつに誰も悪くないと思いませんか?
結局は、自分が使いたいロッドの特性を知り、それにマッチしたロッドを手に入れる事に終始すると言う話しです。
その中に「抜けはある」という要素を入れておくと良いですよ!と言う話しでした。
次回、ガイドの話し。
前回のコメント欄へ、「本編と関係なくてすみませんが、ロッドの腰が抜けると言う現象はあるのですか?」という質問を戴きました。
ありがとうございます♪
簡易な回答はすでにしてますが、改めてちゃんと書いておこうかなと思います。
さて、「抜ける」という現象は、新品時より「張りがなくなる」「パワーが落ちる」という「感覚」をアングラーが感じるという事を言います。
いずれも「何かしらの老朽化」が考えられますね。
これは3つの理由が考えられます。
・カーボン繊維の反復回数が、カーボン繊維の耐久回数を超えた
・CFRPの樹脂が、経年劣化により繊維との密着度が落ちた
・コスメ各パーツ(ガイドやラッピング、グリップ周り)の接着の劣化
一つ一つの説明は後述しますが、問への回答は「ある」です。
と言うか、「私は感じます」です。
また、ロッドによっての差異もあると思います。
では、考えられる理由をひとつづつ解説していきます。
・カーボン繊維の劣化
マテリアルで説明しましたが、CFRPとは極細のカーボン繊維を束にしたものを編み込み、それを熱硬化性樹脂(FRP)で固めたものを言います。
昔はG(グラス)FRPが主流でしたが、現在はC(カーボン)FRPが釣りの竿では主材となりました。
そのカーボンの特性は、軽くて復元力に優れているという事です。
要するに、曲げてから元に戻る力が強く、しかも「その耐久性が長い」という素材です。
ロッドの腰抜け現象を感じるという事は、このカーボンが何かしらの理由で復元力(言葉がちょっと違うか?反発力だともっと違う気もするけど)の低下が起きていると考えがちですが、実際には「外部損傷がない限りは、カーボン繊維の劣化はほぼ無い」と言ってよいと思います。
カーボンはそんなに簡単に劣化できません。
また、繊維の細かい破断も、経年劣化では無いと言ってよいレベルで極小です。
これはロッドではありませんが、きちんとしたデータがあります。
ですから、カーボン繊維での劣化は、「可能性はゼロではないが、釣りと言う環境においてはほぼ無い」と考えています。
・CFRPの樹脂の劣化
CFRPの屋外における耐久性評価は、実はかなり進んでいます。
なぜならば、航空機や宇宙(軍事)産業での使用が数多くあるからです。
余談ですが、「だから革新的な部分のデータが公表されにくい」と言えるかもしれませんね。
では実際に公表されているデータから、「ロッドの腰が抜ける」と言う現象と紐付くような劣化とはあり得るのだろうか?ですが、これは実際に起こりうる現象です。
FRPと言えどもじつはその主材には様々なものが在り、そのほとんどの樹脂においては、紫外線劣化が見られます。
多くは「痩せる」と言う現象が起きます。
また繰り返しの曲げに対しての復元力は、カーボン繊維とは比較にならないほど耐久性は低く、強度も落ちていきます。
と言う事は、「頻度」や「曲げ量」によっては、その物性は変化してしまうという事です。
なお、FRPのやせにより、樹脂量が極端に少ない場合はカーボン繊維が曝露されてしまう事もあります。(今のところロッドでは見たことないけど)
また、樹脂が減少すれば、当然ですがカーボン繊維をまとめている力も衰えます。
これにより樹脂と繊維の間に隙間が出来る(と言うか密着度が落ちる)事により、「CFRPの弾性率」が落ちる事は考えられます。
これらの理由にて、「ロッドの腰が抜ける現象」のひとつの理由に、樹脂の劣化が関係すると予測します。
ん?なんで予測?と書くかと言うと、理屈ではあり得るけど、目で見てデーターは取ったことが無いからです。
こういうのは統計的な手法を用いての正しい会話をしたいなと思います。
ですから、チョット濁す(笑)
ただし、熱可塑性樹脂ですが個人的に「樹脂の劣化」に関するデータはもってます。
本業がプラスチックの射出成型なので、そういうデータは自動車や航空機などの安全性にうるさいジャンルにおいては結構普通に入手できます。
あぁそうそう、私は抜けの症状って、一発目は実はすごく早く来ると感じているんです。
例えば、購入して1日目とか。
もっと言うと、10回ぐらいのフルキャストで(笑)
それは「抜け」じゃなく、「なじみ」と言う気もしますが、まは症状としては、抜けと同じです。
その理由は次に説明する、コスメ関係にあると思います。
・ガイドやグリップ等の接着材等の劣化
ロッド開発をやらせて頂き、その中でかなりの頻度で「ガイドの変更」を行ってきました。
よく「ガイドでロッドが別物になる」とは誰もが言いますが、それはまさに本当の話しです。
ビックリするほど全然違います。
(ただし、ガイドの仕事とは何かを考えると、やはりブランクの持つ幅を超える事は出来ないので、個人的にはやはりガイドは「セッティング」であり、ロッド作りの王道はブランクにあると思ってます)
ガイドとは、金属のフットをCFRPの上に乗せて糸を巻き、その上から樹脂でコーティングするのですが、数が増えたり、フットの数(シングルよりダブル)が増える事で、ロッド自体に「動かない硬い部分」が発生しています。
それは「張りが出る」方向と酷似しています。
しかし、その分の重みがロッドに乗るので、ロッド全体では張りは消えてダルさへ移行していきます。
では、それがロッドの腰抜けとどう関連するか。
ココまでのをちゃんと読んでくれていれば判ると思いますが、カーボンは劣化しないけど樹脂は劣化をするのです。
ガイドは糸をグルグル巻いてその上を樹脂でコーティングされて接続されていますが、その樹脂がブランクの樹脂とは比較にならない速度で劣化をしていきます。
主に紫外線劣化と言われていますが、他にも水分(吸湿)によるものや可動による「へたり」が在り、ロッドを使う頻度が高ければ高いほど、当然ですが早く劣化します。
長く使い込んだロッドが、まずどこから壊れるか。
最初にグリップが減り、次にガイドのラッピング樹脂が黄ばみ、やがて割れますよね。
あの樹脂は浸透性等の理由から、多くが「硬化後は比較的硬い」樹脂を用いています。
ですから、ブランクに乗っかている硬いものが劣化し、やがて割れたり剥がれれば、当然ですが全体の張り(強さ)は落ちていきます。
これはロッドの腰が抜ける現象の一つの理由と考えられます。
また、グリップ内の接着剤も同じく劣化します。
しかも結構早く。
手元の密着感が消えていくので、「張りがなくなる」と言うよりも、キャストでのレスポンスがルーズに感じる事が起きます。
(気にしないけどw)
なお、これらの接着剤は水分と高温と振動に弱いです。
ですから、使った後に「濡れたまま車に放り込んで、乗らない時は車内の超高温でさらされ、移動中は常に振動が与えられる」と言うのは非常に宜しくない事です。
また、同じく樹脂の特性を考えたら、ロッドはまっすぐ積むことはとても大事です。
たまに曲がった状態(車内の天井にティップを当てる)で積みっぱなしにする人が居ますが、樹脂はカーボンと違い「クセが付く」のです。
その状態で高温低温を繰り返すと、かなりよろしくないです。
以上、これら大まかに3つの事象から、やはり「ロッドの腰が抜ける」はあると考えています。
というか、自分のロッドでも、いくつかは「新品より張りがなくなった」と感じるロッドもあります。
当然ですが、「張りの強さ」とか「感度の良さ」を目的としたロッド程、それを感じることになります。
これは「そういうロッドの方が抜けやすい」という事ではなく、「それを目的に使っているからすぐに気が付く」というレベルではないかと思っています。
でもですね、この先が重要なのですが、「腰が抜けたら悪いのか?」と言う事は絶対にありません。
だって、単純にロッドの特性が「そっちに寄った」と考えればいいのですから。
実はあるんですよ。
パリッパリのカッチンカッチンで使いにくかった某メーカーの製品が、1年たったら非常に良い感じのだるさになったロッドが(笑)
私は喜びました。
が、しかし・・・
同じロッドを同じころ購入した友人は、「あっという間に抜けやがった」と怒って、即買い換えていましたね。
この話、べつに誰も悪くないと思いませんか?
結局は、自分が使いたいロッドの特性を知り、それにマッチしたロッドを手に入れる事に終始すると言う話しです。
その中に「抜けはある」という要素を入れておくと良いですよ!と言う話しでした。
次回、ガイドの話し。
- 2020年10月9日
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丁寧な解説でとてもためになり、見入ってしまいます。少し前にロッドのリメイクをはじめてやってみましたが、まさにな内容でした。ブランクの向きに対するガイド位置、スレッドを巻きコーティングをする前と後では曲がりの感覚が変わるのが良くわかりました。既に何回もフルキャストを重ねた結果、少しずつ馴染んできてます。使う人の癖が竿に影響して、ハリが変わるかなとも思っています。
im THE パンダ
埼玉県