シーバス5匹が1万円

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2月5日(日)釣行の続きのお話しです(^.^)


今日の獲物は、シーバス3匹・・・
写真:下の3匹が俺のお持ち返り分


 
また自宅に持ち帰ると娘に迷惑がられるので、別場所へ届けることにした。
 
この別場所と言うのは、2年前まで俺が雷魚にハマっていた時、飛島村のポイントである用水路脇に住む農家の老夫婦宅。 この老夫婦には、ことのほかお世話になった。
 
この飛島村のポイントは、ゴールデンウィーク頃から初秋にかけての雷魚シーズン中は、毎週の様に竿を振っていた場所。

農作業に汗を流す老夫婦と毎週のように顔を合わしていると、初めは挨拶だったが少しずつ話をするようになり、いつしか釣りを終えた後は、縁側に座り冷たい麦茶に喉を潤わせながら楽しい談笑が釣行の締め括りになっていた。

老夫婦は、俺の両親と同じ昭和一桁生まれで、その夫婦にも俺と同じ年頃の子供がいるが、それぞれが独立していて、大阪、千葉で生活をしているらしく、盆暮れにしか帰って来ないと寂しがっていた。

ある時、用水路に落水した時には、泥臭くなった服を洗ってもらい、風呂まで入らせてもらうなど俺にとっては第二の両親みたいな存在。
 
それが、ここ2年間はシーバスに傾倒してしまったので、以前ほど顔を合わせることはなくなってしまった。
 
今は雷魚を狙わなくても、再び、スネークヘッドファイトを楽しむ日が来るかも知れないと、年に3、4回はポイント観察に出向きがてら、老夫婦宅を訪れ世間話をしていた。

昨年の10月、赤トンボが秋空に映える頃、ポイントに出向くと稲刈りを終えた水田に老夫婦を見掛けたので、声を掛けると「おみゃぁさん 元気にしとったかぇ?久しぶりだなも・・・あんたの顔が見れんかったんで 寂しかったがね 釣りはヤメちまったのか?」と、流暢な名古屋弁と、浅黒く日焼けした屈託のない笑顔で俺を出迎えてくれた。
 
雷魚は釣らなくなって、シーバス(スズキ)に変えてしまった事を告げると、老父は「そうっだったのか、雷魚は食べられんけど、スズキは白身で美味いから良いわな」
 
俺は「まだ下手糞だから釣れないけれど、釣れるようになったら持ってくるわ」
 
老父「おぉ そうか わしらが生きているうちに持ってきてくれよ 仏壇に供えてもらっても味はわからんでよぉ」
 
俺「大丈夫だわ おやじさんなら100歳まで生きるわ」
 

その約束を果たしに車を走らせていた。
 

4ヶ月ぶりに飛島村の地を訪れた。 用水路ではヘラブナ釣師数人が一心不乱にウキを見つめている。

そんな冬の風物詩を眺めながら、用水路を歩く。
 
冬場の雷魚ポイントは、青々と生茂る夏場の面影は無く、茶褐色の枯れ草に覆われ、水の中からは生命観が感じられない。 

ショックだったのは、唯一、葦が生茂っていた雷魚の産卵場所は、綺麗にコンクリートで護岸整備が施され、消え失せていた・・・・・・

この用水路から雷魚が消滅してしまう日も、そう遠くは無い感じがした。
 
 
少し感傷的になりながら老夫婦宅前に着くと、老母が庭先で洗濯物を干していた。
 
俺「おはようさん ご無沙汰しています」と元気良く声を掛ける。
 
老母は、キョトンとした顔つきで俺の顔を擬視すること3秒・・・「あぁ~ あぁ~ あぁ~ あぁ・・・」と言ったっきり、名前が思い出せないようなので、「お元気でしたか 木下です」と名乗る。
 
俺「今日は、以前にお約束していた魚を持ってきたよ~ 今朝、釣り上げたばかりなんで鮮度抜群です」
 
クーラーBOXの中に横たわる3匹のシーバスを見た老母は「あれまぁ~立派な魚やね ちゃっと、お父さん呼んでくるわ」と言いながら勝手口から家の中へ飛び込んで行った。
 
家の中にいた老父が老母に促されて出てきた。
 
俺「ご無沙汰をしています。 お元気でしたか? 木下です」

老父「おーおー 元気にしとったかね で、今日はココに釣りにきたんかね」

俺「いや 今日は違う場所で釣りをしてきた帰りで、以前 お約束していた魚を持ってきたんです」

老母「おとうさんこれ 今朝方釣ってきたそうだげな 3匹もくれるとよ」

老父「おおーー こりゃぁ立派なスズキだな 仏様になる前に持ってきてくれたんだな ガハハ」
 

老夫婦は4ヶ月の月日を感じさせず、暖かく俺を迎えてくれた。

 
早速、刺身にするわと出刃包丁を取りに行くが、持ってきた出刃包丁は、長らく使っていなかったようでサビサビもいいところ

だが、続いて出てきた老父は砥石を持っている。

何も言わずとも、出刃包丁と砥石が出てくるなんて、老夫婦の阿吽の呼吸には恐れ入った。
 
老父が出刃包丁を綺麗に研ぎ直すと、庭先の野良仕事場で、3匹を捌く作業が始った。
 
老母の豪快な包丁捌きを見ていたら思わず笑えた。

鱗の取り方1つとっても、勢い良く包丁を左右に動かしバリバリバリ・・・と音を立て、剥がれ散った鱗が四方八方へ飛び散る。

老母の顔にも鱗がビチビチと当たるのだが、一向に気にする素振りも無く、鱗を剥ぎ取る(笑)

手馴れた手つきで、棘のある背びれ・腹びれ・胸びれをダンッ!ダンッ!と落とすと、更に力強く振り下ろされた出刃は、シーバスの首元にドンッ!
60cm近いシーバスの首が一撃でポロンとぶった切られた(-"-;)

斬首された頭部を鷲掴みすると、眉間に出刃の切っ先を刺すとザクッ!バキッ!メキッ!と鈍い音を立て真っ二つに(+_+)
これは潮汁にするらしい
 
あれよ、あれよと言う間に捌かれた3匹のシーバスは、1匹は刺身、1匹はフライ、1匹は鍋用にと変身を遂げていた。
 
老母が「よっこらしょ」と腰を上げると「鍋物用に野菜を持って行きんしゃい」というや否や納屋にあった段ボールと鎌を手に持ち、自家菜園と言うには広すぎる畑に入って行った。
 
老母が抱えた段ボール箱からは、野菜があふれ出ている  

白菜・キャベツ・水菜・ほうれん草・長ネギ 


どれも瑞々しくて美味しそうだ
 
「ありがとうございま~す  遠慮なくいただいてきま~す」
 
老母「また持ってきてな こんな立派な鮮度の良い魚ならいつでも大歓迎。 喰いきれなかったらご近所さんに配り歩くでよぉ」
 
俺「また釣れたら寄せてもらいますんで お父さんもお元気でね」と飛島村を後にした。
 
 
帰宅して、物々交換で得た野菜を調理しようとするが、とても家族では食べきれる量ではないので、前日に釣った1匹と野菜を一緒に嫁の実家に持って行くことにした。
 

義母も「義父さんが魚が好きだもんで喜ぶわ」と喜んでくれた。
途中で、豆腐とシラタキを買い、足の悪い義母に代わって、鍋物の用意を済ませ、火を掛けるだけにした。
 
帰り際「いつも、いつも悪いわね 助かるわ コレ・・・ガソリン代にもならんでしょうが いつもの御礼だで」と折り畳まれた1万円を俺の手に握り締めさせた。
 
そんなつもりで孝行している訳じゃないので、もちろん断りました。(一応)

でも頑として譲らない義母に仕方なく、有難く頂戴することにしました。(仕方なしにだよ(笑)
 
 
先週末に釣った5匹のシーバスの内、3匹が野菜に化け、野菜は2つの家庭で鍋に化け、そして1万円に化けましたとさv(^.^)v
 
バニラヨーグルトさんお勧めのシーバス鍋・・・
本当はキムチ鍋にしたかったけれども家族の反対で(涙)
 
お鍋で身体もホクホク 臨時収入もあって懐もホクホク 

目指せ!現代版 わらしべ長者 (o^-')b グッ!

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