ポップRとの出会いは、

某釣具屋だった。

お金のない少年時代、

円高の影響とかなんとかで、

海外のルアーが安かった頃だった。

だいたいの海外のルアーが、

580円だった。

なけなしのお小遣いで買った、

振り出しの竿、

確か、

シマノのカーボマリンだったかな、

リールはワゴン品の安物に、

ラインはよく分からない、

500m巻きのワゴン品。

私だけじゃなくて、

周りの皆がそんな感じだった。

そんな中で某釣具屋の、

ワゴンと言うか、

カゴに山積みにされた、

ポップRに目が止まった。

お小遣いで、

なんとか手に入れれる580円。

いつの間にか、

7つしかスペースのない、

タックルケースの中の、

5個にポップRが入っていた。

でも、

魚は釣れなかった。

それでも、

何だか好きで、

ずっと投げていた。

立ち木の横、

ブッシュの下、

期待と諦めの混じった

釣れない日々の中、

ポップRは可愛い顔で笑っていた。

ポップRの空いた口と、

間抜けな目が好きだった。

ある夏の週末、

どう言った訳か、

琵琶湖に釣れて行って貰った。

正確には、

琵琶湖に繋がっている水路で、

川幅は余りなくて、

恐る恐るキャストした、

下手くそな私は、

何度も対岸の草に投げ入れ、

大切なポップRを、

無くしはしないかとヒヤヒヤした。

それでもキャストした、

何度も何度もキャストした。

ポップRがフワッと水面に落ちた。

波紋が消えるか消えないか、

ワンアクション、

ツーアクション、

ポップRが、

スッと沈んだ。

疑問を感じながら、

リールを巻くと、

魚が動き始めた。

大きなブルーギルだった。

それでも嬉しかった。

ピンククリアーのポップRが、

ブルーギルの口に着いていた、

リリースして、

もう一匹と欲を持った、

ポップRは間抜けで可愛い顔で、

ポチャンっと水面に落ちた。

今度はガバッと出た。

焦りながら竿を振って、

下手くそな合わせをいれた、

ポップRが微笑んだ、

私の手には、

初めて自分で釣った、

小さな25cmぐらいのバスが、

ぶら下がっていた。

ポップRは、

間抜けな顔で笑っていた。