とある晩、

私は釣りに出た。

私はある程度の夜目が利く、

薄暗い月明かりがあれば、

テトラの上でも、

ライト無しで歩ける。

それは海だから出来る事で、

その日の夜は山だった、

私はいつも通りに、

何も考えずに、

階段を降りて釣り場に入った、

後から着いて来る筈の

同行者が中々来ない、

振り返ると、

「マムシが居る」

「今、通った所に居る」

よくよく見ると、

私が降りた階段に、

トグロを巻いたマムシが居た。

でも、

私には怖さがわからない、

私は生まれてこの方、

大阪の市内の外れで生きて来た、

釣りにも沢山行ったし、

野山にも入ったが、

マムシはおろか、

蛇に出会った事がほぼ無い。

同行者は地方の出身で、

怖さをよく知っている。

改めて怖さを聞かされて、

「ちゃんと長靴は履かないとな」

と呑気に思った訳で、

ここいらが危険意識の違い、

噛まれてからでは遅い、

事をよく聞かされた。

成る程、

釣り人が長靴を履くのは、

そんな理由も有るのだなと納得。

未だに怖さの実感は無いものの、

次からは長靴を着用しよう。

私が怪我をした事で、

もしかすると、

釣り場が閉鎖されるかも知れない、

自分の為、

誰かの為、

ちゃんとした装備で楽しもう。

今まで遭遇しなかったのは、

運が良かっただけかも知れないし、

何時迄も微笑んではくれないものね。