喜びを分かち合う、という事

  • ジャンル:釣行記
僕には2つ歳上の兄がいる。


ともに幼少期よりサビキやちょい投げキス釣りを楽しんで成長したが、高校生にもなるとお互いやらなくなった。僕は大学生になってからシーバスのルアーフィッシングにのめり込み、兄も僕に2年ほど遅れて、(つまり今から1年と数ヶ月ほど前に)スズキのルアーフィッシングを始める事となった。


もちろん、道具の扱い方からポイントの案内、釣り方等はその都度伝えてきた。しかし、既に社会人となっている兄は釣行時間も日数も限られており、ともにロッドを出せる日を合わせられないこともよくあった。それでも、なかなか制約の多い環境のなかで、兄は兄なりに試行錯誤しながら釣果を伸ばしていき、フッコサイズは順調に釣れるようになっては来ていた。


ただし、スズキサイズが遠かった。


そして、「兄弟で一緒に釣行した日には釣れない」というちょっと嫌なジンクスさえ発生していた。


兄の口からも、でかいシーバス釣ってみたい、との言葉を何度も聞いた。


僕自身、初の70upをキャッチするまでに1年半の期間を要しており、兄の気持ちは容易に察することができた...。



そんな折、友達の釣果に魅せられた僕は、兄に連絡をとった。「シーバス、行ってみん?」と。



兄は快く来てくれて、実釣開始。



もちろん、第一級ポイントは譲り、水深、レンジ、
今日の状況やファクター等は伝える。






しかし、そのあとはもう兄の仕事。自分の感覚を信じ、戦ってもらった。






程なくしてファーストヒット。自己ベスト級のサイズ。しかし、バラし。

またしばらくして、セカンドヒットとなるも、これも惜しくもバラし。


特にセカンドヒットの魚は良く走り、ドラグも鳴り止まなかった。



悔しがり、落胆する兄。






それでも、次の一本を信じ鼓舞しつづける。








そして...




「バッ!!!」


兄のウインドブレーカーの擦れる音。



間髪入れずに、



「おい!かかったぞ!!!」



そして待ちわびたドラグ音が闇夜を切り裂く。







アワセの際に、兄のウインドブレーカーの擦れる音を聞いた瞬間から、タモ入れのために走りはじめていた。すぐさま駆けつけサポートに徹する。





とりあえずは、牡蠣瀬から素早く引き剥がすべく、ロッドを煽って立ち位置を10m程下流へ。




そのあとは、ラインのテンションを保ちつつネットインしやすいポジションに誘導、したいところだが、兄は今まで感じたことの無い引きに少々戸惑い、少し身体が硬直している様子。




となると、もう、「とにかく巻き続けてくれ、あとはタモは任せろ」と、とにかくシンプルな事だけ伝えて、手元に寄せてもらうことに。




勝算は、
・ロッドのリーチ=護岸での擦り切れ防止
・予め一緒にセットしたドラグ設定=巻くだけでテンションをかけ続けられる強さ
・そして低水温下&アフターと言う事であまりエラ洗いしないという、この時期のこの場所ならではのファイト




あれこれ指示してどうしていいか分からず、フックアウトしてしまうよりは、巻き続けてもらえば何とかなる、という方を選択させてもらった。





そしてシェードを抜け、魚体が見えたところで兄の興奮もMAX!!








と、唐突に潜るシーバス!!








「「耐えてくれ~!!」」




声が重なる。






こればっかりはもう神頼みだった。








もう一度浮いてきた。一発で仕留める!!








正直、ネットにぶち込んだと言えるかもしれないくらい、無様なネットインだったと思う。







けれど、今の僕の力量だとこれが精一杯。








そして、反撃の余地も残さぬよう瞬間的に持ち上げた!!









「「やったぞ!でけぇぞ!!!」」










渾身の力で手を合わせた!!!







計測するまでもなく、申し分なしの「でかいシーバス!!」








ランディングから撮影まではスムーズに...






しかし、兄にはこのシーバスとの出会いを噛み締めてほしい!






フックを外したり、できるところは手伝って、兄にはシーバスをしっかり目に焼き付けてもらいたかった。







「しっかり見といてよ、次また会うのはコイツがランカーに成長したときだぞ!!」
と。







そして、リリースの時。







丁寧に蘇生を施して、最後は兄の手によって帰ってもらった。





もう一度、固く固く握手。兄も、しっかり応えてくれた。






諦めず、最後までホントにいい釣りをしたと思います...。本当にリスペクトです...。














===ε( ε•o•)э。゜===ε( ε•o•)э。゜===







さて、帰宅途中に聞いた話ですが、兄いわく「お前があんなに喜ぶとは思わんかった。久々にそんな嬉しそうな顔を見た」とのこと。



先にも書きましたが、何度かシーバス釣行は一緒にやって来ましたが、肝心の1尾にはなかなか出会えず、1年過ぎてしまったという経緯がありました。その分、今回の釣行で、どうしても釣って貰いたかったという思いがありました。




そういうわけで、僕の喜びも爆発したということだと思いますが、冷静に振り返ってみると、「その場に立ち会えた」っていうことって大事なんだな、って思います。




長くなりました。





筋書きのないドラマと、最後にやってくる強烈な感動。





喜びを分かち合うことのできる、最高の遊び。







僕自身、久しぶりに釣りという遊びの、この楽しさを存分に味わわせてもらいました。







「ナイスフィッシュ!!次はランカー釣ろうで~!!\(^^)/」














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