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▼ 離島遠征記録 -憧れの磯へ- 後編
2時間程の山歩きの末、ついに海に出た。軽量化を意識したものの10kgはあった荷物もだいぶ軽くなっている。この遠征のために最低限の走りこみや山歩きはしていたため、思いのほか体は軽い。草木の圧迫感から解放されたからかもしれない。しばらくゴロタを歩き、目的の磯に到着した。

やはり岬先端は波が激しく打ちつけているがある程度手前なら大丈夫そうだ。手前は足場が低く頻繁に波が流れ込んでくるが、そこを越えれば濡れていない場所も多少ある。タイミングを見て入水し、足場の高いところに上がった。すさまじい流れと波、足元は濃いサラシで染め上げられている。荒れてはいるが西側に長く安定した高足場が続いているため何とかなりそうだ。しばし海を眺め安全を確認し準備を始める。

歩き始めてちょうど2時間半、念願の一振り。
海面の上下が激しいので240mのポッパーでしっかりアピールしていく。実際ルアーを入れてみると、見た目以上の流れに期待が膨らむ。しかし反応なくサイズを落とすもバイトは得られなかった。サラシについていないかボアーss195で探ってみると念願のバイトがあるがすぐにフックアウト。気を取り直してもう一度入れてみると、すぐ足元で何やら極彩色のでかいベラらしき魚が猛アタックしている!リアはスタック防止でシングルワンフックのため掛からない。地元の磯でも似たような魚は見るがサイズと活性の高さに興奮してエイトラを始める。掛からないと察しリアをジグ用の自作シングルに付け替えて再投入。
これを他の釣り人が見ていたらどれほど間抜けに映っただろうか。
その程度のアングラーなのだ、俺は。
結局その後その魚を見ることはなく、若干の冷静さを取り戻しサーチがてらジグに変更する。(何でもいいから釣りたいという下心は隠しきれない)実は以前はトップを投げ倒す気満々だったため、ここでジグを投げるのは初めてだ。使用するのは激投レベル130、タックルの関係と体力温存のためだ。遠投して底をとるが流れも相まって地形や水深は把握できそうもない。両手で大きく何度かジャークしてスラッグを流す、この繰り返しで探っていく。すると数投目、かなり沖でフォール中に何かヒット。バイトはさっぱりだったが巻き初めに違和感を感じたのであわせると掛かっていた。大した引きは感じないが念願のヒット、絶対にバラしたくない。一心不乱にゴリ巻きショートポンピングで寄せる。しかしここでトラブル、山歩きでファイティングパッドを緩めていたことを忘れていた…。あたふたしながら何とか股関節にエンドを乗せて竿を立て、再びポンピング。そして上がってきた魚は…

ツムブリ…あまり馴染みがない魚だ。ショゴか何かだと思っていたので魚体が見えた時は興奮したのだが。ともあれ念願の1本、坊主回避。しかしその後は続かず、再びポッパーにチェンジして誘っていると、なんとはるか沖で見たことのないレベルのスーパーナブラが起きている。届く距離ではないが可能な限り遠投してアプローチ、さすがに水面が割れることはなかったが、このフィールドのスケールに圧倒される。それでもまだトップでの反応は得られない。ここでついにルアーをダイペンに変える。使用するのはキングオブぶっ飛びダイペン、twz185。上下対称でカーブレスなボディ、他を凌駕するウエイト、このクラスで右に出るものはない程のぶっ飛び性能だ。かなりのラフウォーターだが何とか動いてくれる。強い流れと上下する海面にアジャストさせられるように丁寧に動かす。そしてついに。荒れた海面でもはっきりと分かる水柱、瞬間的にゴリ巻きで乗せにいく。が、ここでまたファイティングパッドにうまくエンドが合わない。さっきよりは多少引く。絶対にバラしたくないのでパッドは諦めてまたしても直に乗せる。正直めちゃくちゃ痛いがそうも言っていられない、ひたすらショートポンピングで寄せる。そして…

そんな気はしていた。しかもまぁまぁある。測ってみるとジャスト90、ツムブリである。
流石に焦りが出てきていた。この時点で時刻は4時前、当初は安全面を考え3時半には磯を上がるつもりだった。だがあろうことかピークと考えていた流れは緩むどころか勢いを増している。ヒラマサを釣りたいという思いと帰りがヤバいという不安で頭がいっぱいだった。ルアーを操作する腕ももうとっくにおかしくなっている。それでも投げることはやめられなかった。時刻は4時を過ぎたところ、最後のバイトがくる。無我夢中で寄せてきた魚体はスリムで、特徴的なブルーのラインが走っている。ちっがーーーーうぅぅぅ……
一人磯で叫びながら引っこ抜き、と同時に外れた。同じくらいのツムブリであった。ツムブリしかいないのか…?それでも明らかに時合、焦りから何も考えずキャストを続ける。
しかし反応は無い。茜色に移ろう空と限界を超えすぎた腕に冷静さを取り戻し、ついに決心する。時刻は4時半、まだ強まる流れに後ろ髪をハゲ散らかさんばかりに引き抜かれながら磯を後にする。

ゴロタを歩き、崖を登ってロープを回収。完全に暗くなる前に迷いやすいポイントを抜けておきたかった。そんな切望は叶わず、無慈悲にも日は沈んでいく。草木の中は真っ暗になっていた。それでも歩き、歩き、歩き続け、何とか迷う事なく休憩ゾーンにたどり着いた。



途中の目印やロープがなければ確実に迷っていただろう。これほどの道のり開拓し、磯へのルートを築き上げた先人の人々に、どれほどの苦労と情熱があったのか、自分には想像することすらできない領域だ。一人夜空の下で想いを馳せながら、山道最後の休息をとる。ここまでくればもう一息、複雑なポイントを抜け心にも余裕が生まれていた。
正直、今回の道のりは本当にきつかった。道に迷い、草木に倒れ込んだ時は後悔もした。行きの時点でもう来ることは無いだろうとも思った。しかし、それでも今、また行きたくて仕方がない。後悔などしようもない、すると分かっていてもまた行くのだ。
磯を上がってから2時間40分、時刻は7時を超えたころ、ついに車へと帰還した。
最終日の朝マズメは東のポイントを選んだ。一か八かだったが、ハズレのようだ。釣りのできる一番足場の高い磯を選んだが、波が当たっている。岩影に隠れながらやってみるも破砕した波がものすごい勢いで打ちつける。危険を感じて撤退、遠征釣行は幕を閉じた。
今回の遠征で魚をキャッチしたのはあの磯でのみだ。あのまま西に残っていたら釣果を得ることはできなかっただろう。過酷だった道のりも、今となっては愛おしい…とまでは流石にいかないが、そんなところも含め心動かされる最高のポイントだ。
だが、所詮これは真似事。いつかは本土の地磯でこんなポイントを見つけたい。最高の磯を独り占めできるなら、何時間でも歩く。もちろん、またあの磯にもリベンジに行くつもりだ。今度こそ憧れのヒラマサを釣るために。



- 2024年12月31日
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