STELLA·TREK

ステラ

それはメーカーに提示されたハイエンドのリールである。

そこには変態の想像を絶する
新しい技術、新しい発見が待ちうけているに違いない。


これは変態工房·初の試みとして

1週間の調整作業を請け負った…
自他認める変態野郎の、驚異に満ちた物語である。


先週の土曜日。

この1週間、私を悩ませ続ける事件の幕開けであった。


http://s.pic.to/x7ah


事件は同行していた釣り友I君の一言から始まった。

I君『参っちゃったよ。ちょっとステラ巻いてみてよ。』

彼が使うのは
 
'10ステラC2000HGS 

コレに管釣り用のフロロ0.4号(以前はPE0.3号)を巻き、3Bガン玉でキャストしながらキスやメバルを狙っている。

とてもじゃ無いがリールに負荷が掛かるような釣りではない(笑) 

釣り( ・・)/「ん…随分シャリシャリしてないか?安っぽい巻き心地だな(笑)」

『でしょう!?』

「なんでまた…オイルくらい注してるんだろ?」

『いやね?ずーっと使いっぱなしだったから、こないだシマノのメンテキット買ってきて注油穴からシュッとオイルを吹いたのよ』

「ふんふん…」

『そうしたら…こうなった(´·ω·`)』

「はあ?なんだそりゃ」

『ワケ判らんでしょ?』

「ベアリングのグリスが油でユルくなってシャリシャリ言ってんのかな?」

『預けるからベアリング替えてもらえない?汎用品で良いから。』

「少し遊び出るかも知れないよ?」

『メーカーに時間と金ボッたくられて直ってない…なんてのよりマシだよ。』

「適合ベアリングは確か手持ちが有るけど…回転軽くなるようなグリス、持ってないよ?」

『純正の取り寄せは?』

「それだと1·2週間掛かるんじゃない?自転車用ならスグ手に入るけど。」

『それ買って試してくれる?グリス代も払うから』

「まぁ…別に構わんけど····」



その夜



急に強くなった南風に辛抱できなくなりPM9:30に撤収したあと、早速脱が…【http://g.pic.to/2urul】…………バラしてみたwww

http://q.pic.to/x13n

初めてステラをばらした感想は…

http://r.pic.to/xcow

「うん…普通」

http://f.pic.to/2oau8

まぁ、面倒なのは後ろのカバー外すネジのゴムキャップとクラッチがユニットじゃないくらい。

中の構成も他のクロスギア機と、ほぼ一緒。なんで高いんだ、コレ?…って思う。

『精度が違うんです!!(メーカー)』

ふ~ん、でもソレって“リール”の精度ってより“工作機械”の精度だよね?NCフライスとかの。
そりゃ『職人が手動の旋盤で削ってます』ってなりゃ技術料が発生するわけだけど…オペレーターがポチッて動かすのに技術料は発生しないっしょ(笑) 

ただ···

他のリールと決定的に違うトコがあった。

それは………グリス。

他のリールには鶯色のデュラグリス系のグリスが使われてたけど、ステラには薄茶色のさらっとしたグリスが極少量使われていた。

で…まぁ、洗浄してベアリングを替えグリスは購入したデュラグリスで組んでみた。

「重っ!!」

なんだこれ?無茶苦茶回転が重いぞ···

http://s.pic.to/7zwad

洗浄してグリスの量を調整してみる。それでも変わらないので他の手持ちのグリスで一種類につき3回以上&ブレンドで《洗浄→グリス量調整》を繰り返してみるが、どうにも納得いく回転にならない。

http://t.pic.to/7zx26

そこから丸三日。洗浄と組み直しだけで840mlのパーツクリーナーが1本空に。

仕方ないので07ステラ2500を使っているT氏に連絡をとってみる。

「あ、モシモシTさん?ステラの事で相談があるんだけど」

T氏『お、ステラ?どうしました?』

「いやね、I君の10ステラを“ベアリング交換とグリスUPして”って頼まれてバラしてるんだけど…どうもグリスが合わないらしくて難儀してまふ(´·ω·`)」

『やっちまいましたかwww』

「…と云うと?」

『ボクも“あの”グリスで四苦八苦しましたから』

「え…そうなん(汗)?」

『シマノのサービスに聞いても、なんのグリスか教えてくれないんですよ。純正ケミカルの設定も無し。』

「触った感じ、ベアリングに封入されてるウレアグリスっぽい感じだったけど…手持ちのウレアグリスでも回転が重いんですよ~(汗)」

『ドツボにハマりましたね(笑)』

「悔しいけど…I●Sとかのグリスを買うしかないのかな」

『あ、アレね。ダメでしたwww』

「もう試してるしwww触ったこと無いけど、見た感じ…電子部品の放熱用シリコングリスっぽくないですかね、アレ(苦笑)」

『あ~…似てるかも(笑)』

「で…結局今は何を使ってます?」

『ギアにはタミヤのモリブデングリスを少量、他は適当に···』

「アレですか?どんなグリスなんです?」

『ザラつきの無い硬めのグリスで粘りは弱めですね』

「ありがとうございます。早速買って試してみます♪」


翌日。

模型屋に赴き、店主にお願いして私物のモリブデングリスに触らせてもらいブツを入手してみる。

「お、良い感じか?」

触った感じ、純正のグリスとは全く別物だが…モッチリ·サラサラ…な感触。これなら少量でも油膜切れしないかも知れない。

ただ、回転は良くなったが…今度はバックラッシュ(ギア同士の当たりスキマ)の関係でコツコツ感が出てしまう。

調整シムをマイクロゲージで計測してみると0.5 mmと0.08~0.074mmの2枚。

手持ちの0.1mmアルミ板を穴開けポンチで7φの穴をあけ、爪きりで形を整えてオイルストーンで面出し。それを0.08のシムと交換してみると殆どバックラッシュを消す事が出来た。


それでも、まだ少しスリスリ音が出ている。

クラッチを分解し、内輪と外枠をピカール乳液で傷をとり少量の軽いオイルを差す。

途中で気付いたが…クロスギアピンが磨耗している。月に2回、それも“落とし込み”みたいな使い方なのに1年で先端が1mm弱丸くなっている。

結局…軽い回転→グリス量減らし→磨耗…って図式はハイエンドでも変わらないね~www

軸受けなんてボールベアリングじゃなくて、アルミのカラーに焼結のブッシュ圧入にしちゃえば軽くできて、注油だけすればスムーズで長持ちするのにね~www

ボールベアリングって接触面が点だから、ゴミとか衝撃に弱いし。

そのベアリングが12個だっけ?

それで遊びが無いんだもん…ちょっとした事でシャリシャリ云う筈だわwww

クロスギアピンのせいなのか、ストロークで少しコロ感が残るものの…

http://q.pic.to/x0fr

『今はこれが精一杯』

てな訳でI君に連絡をとり、現状を伝える。

「もうね…バイオレベルの俺にはムリポ(´·ω·`)」

『そんな大変なんだ…』

「うん、組むのは(俺には)簡単なんだけど…調整とグリスが訳ワカメです」

『わかった、ありがとうね。面倒たのんでスマンかった。』

「アレだね。ステラって超お高い、使い捨てリールだゎwww」

『そんな評価かい(笑)』

「10ステラ、全部で4台有って1台は箱から出したことも無いんだろ?」

『うん、4000XGは出してから見ただけで…押し入れに眠ってる』

「未使用新品なんだから、そいつ売っちゃってツインパMG2台買う事をお勧めしますwww」

『いや~…俺ってコレクターだから、使わなくても欲しくなっちゃうんだよね(爆)』

「全部売っちまえッ(爆)」



こうして木曜の晩に熱い戦いが終わ……ったと思ったら、翌朝には巻き感が微妙に変わってるし 

あまりの遊びの無さのために、気温による熱収縮の影響を受けてるのか?
それでも巻き感の変わらないグリス…

あのリールの何がスゴいって···グリス?
みたいなwww


て云うかさぁ…
純正のメンテキットを使ったら違和感が出るようなモン、売ったらアカンでしょ?

だいたいメーカーOH前提なら注油口なんか付けなきゃ良いのに···あ、それでOHの仕事を貰おうって寸法か。

そう言うのを
『マッチ·ポンプ』
って言うんです。

ますますハイエンド商法が嫌いになった釣り( ・・)/でしたとさ。

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