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セルロースセメントコーティングによる色流れの防止策

■はじめに


ハンドメイドルアー製作をおこなうにあたり、きっと誰しもが一度は"コーティング剤による塗装の色流れ"という壁にぶつかることと思います。


僕自身ハンドメイドルアー製作を始めて4年が経過しましたが、幾度となく失敗しもう何度嫌になったことか…


せっかく塗装がうまくいってもコーティングによる色流れが起きてしまうと、それまでの塗装工程をリセットし、下地ブランクの状態からやり直しとなります。


コーティング剤臭い部屋でただ1人、よくわからない化学反応によりぐちゃぐちゃになっていくルアーを見届ける時の感情といったら…

共感してもらえる人も身近におらず、ちょっとした絶望感すら味わえます。苦笑



もう二度とこんな思いをしたくはない、そう思って自分なりに色止めの方法を調べていきようやく納得いく形の色止めが成功したので、ひとつの方法としてセルロースセメントコーティングによる色流れの防止策を紹介したいと思います。



先に断っておきますが、これはあくまで"ひとつの方法"です。


他にもっと良い方法もあるかもしれませんし、そもそもの使う塗料の成分や、同じセルロースセメントといえどメーカーにより乾燥時間、粘度などもそれぞれ勝手は違うことでしょう。



参考にするにあたってはその点を理解して頂けると有り難いですし、例えば今回紹介する方法で失敗した場合、「なんだよダメじゃないか」で終わるのでなく、さらに良い方向へと改良してくださると記事にする意義があったかなと思えますので、どうぞ暖かい目でよろしくお願いします。



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【セルロースセメントによる色流れ状況】




■使用しているセルロースセメント


まず使用する材料は以下の通り。



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【セルロースセメント(アクセル社)】


下地コーティングから最終コーティングまで、この缶入りセルロースセメントでディッピングを繰り返し、塗膜を厚くしていきます。



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【セルロースセメントスプレー(アクセル社)】


今回の色止め方法で重要になってくるのが、このセルロースセメントスプレーです。

砂吹きといった少量のみ吹き付けたい使い方から、これのみで最終コーティングまで出来るような吹き付け方まで可能なスプレータイプとなります。


今年の初めあたりまで、"色止め"セルロースセメントスプレーという名称だったのですが、モデルチェンジをしたみたいですね。




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【クリアーコートスプレー(クレオス社)】


そして今回の色止めにおいて1番と言っても過言ではない程の隠された重要な役割を担うのが、塗装後とコーティング前における"間のコート"クリアースプレーです。



これらを使用し色止めから最終仕上げコートまでおこなうのですが、色止め方法といっても特別なことは一切おこなわず、それぞれの材料を正しく使うということを守ります。


結論から述べますが、


「クリアーコートスプレーを厚く吹き、セルロースセメントスプレーも厚く吹き、後は適正な間隔を開けてディッピングするだけ」


これだけです。


これで理解出来れば、この先の文章は読む必要はありません。


ただ少なからず注意点というかちょっとしたコツがあることは幾多の失敗から学びましたので、その点に付いて掘り下げて書いていこうと思います。



■重要な役割を担うのがクリアーのトップコートスプレー


まず最初に、塗装が終了したところから説明します。



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【塗装終了時の状態】


好きな色に塗ったら、次に行う工程が「クリアーコートスプレーによるトップコート」です。


ここでの注意点としては、"塗装と同じメーカーのクリアーコートスプレーを使う"といったところでしょうか。


そうすることで塗料とコーティング剤の不要なミスマッチのリスクを減らすことが出来ると思っています。



そして大切なのは、砂吹きから丁寧におこなうということ。


砂吹きとは、スプレー噴出口を遠目に構え(僕で言うと大体30センチ程)、塗料をしっかりつけるのでなく軽く付けることを言います。


どんな塗料でもそうだと思いますが、最初から厚い塗膜にしようとしてガッツリ塗料を吹き付けてしまうと、色流れはほぼ100パーセントの確率で起きてしまうでしょう。


しっかり砂吹きが出来てから、塗装は厚くしていくのが基本となります。



先にも述べたようにこのトップコートが重要な役割を担いますが、それはセルロースセメントの"下地を溶かしてしまう性質"により、塗装面は必ず侵食されてしまうからです。


溶かされてしまうのを防ぐというより、どうせ溶かされるのならセルロースセメントが溶かしきれないほど、クリアーのトップコートの塗膜を厚くしてやろうというイメージです。


つまり「目止め」といったところでしょうか。



砂吹きは15分程の間隔を開けて5〜10回。

本吹きは1時間以上の間隔を開けて10回程です。


ここでの注意点は、気温と湿度が高い時にはおこなわないこと。


塗装関係全般に言えますが、空調管理出来る塗装ブース部屋でない限り上記の環境条件下で作業をおこなうと、表面が白濁する「かぶり」という現象に陥ってしまいます。



僕はアパートに住んでいるので、部屋の中で塗装作業はしません。


いわゆる青空塗装で、屋外で塗装をおこなっています。


それ故、湿度と気温はダイレクトに受けますし、冬などは暖かい室内と外気温との差でルアー表面がちょっとした結露状態になり湿度が低くてもかぶってしまうこともあります。


そんな自分が目安にしているのは、


「湿度60パーセント以下であること」

「外気温は28度以下であること」


の2点です。


上記の注意点はあくまで"僕の場合は"ということであり、この辺りは使う塗料の種類やそれぞれの環境状態で大きく変わってくることと思いますので、臨機応変に対応していくしかない部分ではあると思います。




■セルロースセメントスプレー


トップコートによる目止めが終了したならば、次はセルロースセメントスプレーによる色止めをおこなっていきます。


使用するのはセルロースセメントスプレー。


トップコートでおこなった砂吹きから本吹きの要領でセルロースセメントを吹き付けていきますが、ここでの注意点はトップコートよりも気持ち慎重に作業することです。



砂吹きって噴射する塗料の大半を捨ててるようなものでもあるので「勿体ない」という気持ちが芽生え、ついつい十分でないのに本吹きに移ってしまったりします。


そこをなんとか堪え、消耗品だと割り切ってスプレーは使用していくと良いかと思います。



具体的に僕の場合、砂吹き30分開けて5回。

そこから30〜1時間開けて5回の計10回の砂吹きをおこない、厚く塗り過ぎない本吹きを5回。


様子見の厚めの本吹きを1回して大丈夫そうなら、そこから夏場は4時間開け、冬場は6時間以上開けて5回〜10回の本吹きをおこないます。



ここまで繰り返すと、塗装表面からセルロースセメントが乗っているのがツヤなどからわかるようになってきます。


それがセルロースセメントスプレーによる色止めのひとつの目安になると思います。



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【セルロースセメントスプレーのみのコート終了時】




■最後の仕上げはセルロース缶へのどぶ漬けディッピング


色止めがしっかり出来ているかが試される緊張の1回目のディッピング。


コツは、引き上げる際にゆっくり引き上げること。


持ち上げたルアーからポタポタとセルロースセメントが垂れる状態は、「ルアー表面をセルロースセメントが下に向けて流れている状況」だと僕は思っています。


ゆっくり引き上げることで、不必要に着き過ぎたセルロースセメントを液体水面とボディ接地箇所で絶ってあげるイメージです。


色止めがうまくいっているのかどうかわかるのはしっかり乾燥させた数時間後。


成功していれば、またひとつ愛着湧くルアーの完成まで間近。



一気にラストスパート!といきたいところですが、ここでもうひとつ注意点があります。


それは、「適正乾燥時間が夏場は4時間でも、一回目のディッピングと2回目のディッピングは24時間の間隔を開けること」です。


ただ、これが可能なのはアクセル社のセルロースセメントだけかもしれません。


セルロースセメントの種類によっては3日以上間隔が開くと、次のディッピングでヒビ割れが起こるなどといった特徴があるようなものも存在するようです。



これだけ間隔をあけるのは、1回目のディッピングで大丈夫なのに2回目のディッピングで色流れが起きたことがあるからです。


乾燥が十分でなければ何回目でも色流れは起こってしまう可能性があるのでは?というのが思うところで、1回目のディッピングを完全乾燥させることが重要であると考えているからです。



それを踏まえた上での2回目のどぶ漬けで問題がなければ、あとは適正な間隔でディッピングを5〜10回重ねていけば完成です。


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【最終ディッピング5回の状態】




■おわりに


特別難しい工程があるわけでなく、シンプルに考えれば塗って乾燥させてまた塗って…の単純作業の繰り返しです。


だけどそこに少しのコツや四季がもたらす環境要因がとても大きく影響してきます。



情報が飛び交う今の時代、ネットで検索すれば大抵の探しものは見つかります。


ですが、セルロースセメントの色止め方法なんていうのは、ハンドメイドルアー製作をしていなければ立ちはだかることのないマニアックな情報であり、ネット上でもあまり見ることはありません。


これだけ数多のハンドメイドルアーが生まれ大先輩方の知恵や知識があるので、ネットに出ていないだけでそんなの当たり前に知っている職人みたいな人達はたくさんいることでしょう。



「知恵や知識は教えてもらうものでなく学ぶもの」


そういう考えももちろん好きですし、僕自身仕事などにおいてもそういう考えで今まで生きてきたつもりです。



だけど、僕にとっては楽しい遊びの一つであるハンドメイドルアー製作は、何か一味違うことをしてみたい。


自分が知り得た知恵や知識は、先輩方の数多の失敗や経験があってこそ学ぶことが出来た事柄です。


次はそれを僕なりの伝え方でアウトプットしていく番。


「教えるじゃなく、一緒に考えながら伝えることが出来たら」


そう思ってこの記事は書きました。



実は、この記事を最初に書き出したのは5月の後半でログアップするまでに3ヶ月以上を費やしています。


マニュアル本ならぬマニュアルログにしなければ、そう思って書き始めるとなかなか文字が出てこず苦戦。


最終的にとりあえず思うことは全て自由に書いてしまおうと思って書き終えたログになります。



不完全な部分などあるかもしれません。


それも含めて、今の自分の知識の全てであり、一緒に考えていけたらと思っています。



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〜いちきゅうはちきゅうるあーず〜1989Lures: 2018年 夏の離島釣行旅 与論島・徳之島


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