みなさま、お久しぶりです。長いこと釣りから遠ざかっておりました。
思い返してみると、最後にスズキを触ったのは2022年5月。
完成したルアーのテストを日中におこない、そのまま夜まで釣りしてたらたまたまドンっと釣れたこの子が最後。
普通釣れたらハマりそうなものの、この一尾を最後に私は釣りから遠ざかりました。
ハンドメイドルアーで3年掛けてメータースズキを狙って獲るという"1095日のスズキ"と銘打った挑戦は600日目くらいで放り出し、機会を頂いておりましたfimo登録ライターも辞退し、SNSも全てやめ(ブログであるfimo除いて)、ただひたすらランニングしてました。
ええ、ただ毎日を走る為に費やし、よく食べ、よく寝ておりました。
次第に山を走るようになってからは、地球というフィールドを遊ぶ視野が少し広がったような気がしております。
息を切らしながら登った山頂から眼下に広がる錦江湾を眺めれば、かつてボラと共に息をした水辺環境が脳裏に蘇ります。
通い込んだあの川たちも、山々に降る雨が木々を濡らし地中を通って生み出され、生物を育みながらやがて海へとたどり着く。
そして海から蒸発した水が再び山々を濡らすように、私は何度も山へ向けて脚を運んでは木々の中を、山頂の尾根を駆けていました。
もう釣りのことはひとつも考えることもない日々を送っていたのですが、時折りLINEで写真とメッセージを送り付けてくる男がおりました。
「今日もティップランです」
「今日は筆頭頂きました」
「今日は船中0、泣きそうです」
「このミヤマ、アゴがいい」
こっちはもうLINEの返信すらもしなくなったのに、お構いなしにイカとクワガタの写真をドンドン送り付けてくる始末。
もはやこの男もスズキの人ではなくなってきたのでは?と思っていたのだけれど、切っても切れないスズキという魚の魔力は、いつの間にか2人を蝕んでいたらしく…
ちょうど一年前から日程組んでチャーターを手配。
時期的にやや長期の仕事現場が入るのだけれど、それらを全て根回しして時期をズラしてもらう。
完璧な状態で出発だ!と思いきや、出発数日前に緊急ピットイン。
ドタバタで出発が12時間遅れたものの、正味運転時間20時間(下道)かけて、無事に今回の遠征地、島根県は中海・宍道湖に到着したのでした。
ボートシーバスは人生初。
今年の実釣は2回目。
一日中ロッド振り倒して、3年のブランク期間での実釣時間なんてあっという間に更新。
そんなワタクシでも、心が充実するような楽しい2日間を宍道湖で過ごすことが出来ました。
同じスズキなのに、地域ごとに異なる魚。
いや、異なると思っているのは釣り人自身だったりなんかしてねって。
相棒のお知り合いで一度お目に掛かりたいと思っていた方も一緒に乗ってくれて、経験とスキルの引き出しを垣間見る場面も。
あえて心残りがあるとすれば、相棒が掛けたあのスズキを船上で触りたかったなぁってことくらい。
島根を離れる時、もっと釣りしてたいって久しぶりに思って、少し寂しくなったのは秘密です。
帰りもオール下道の予定でしたが、熊本からこの旅初の高速道路に乗りました(関門海峡は高速で超えましたけど)。
10時には熊本入りしてたんですけどね。
高速乗らざるを得なくなった理由は、小学生時代を過ごした懐かしの土地をジョギングし、もう一つの西の聖地でのんびりし過ぎたせいです。
さて、次はどのフィールドでスズキ釣りをするのでしょうか。
高知?東京湾?
いや、今回は行けなかった中海??
きっともう自分は、昔のようにホーム河川に浸り込んでスズキを追い掛ける釣りはしないでしょう。
それでも、スズキを通して出逢った縁が続く限り、年に数回こうした楽しい時間が過ごせれば言うことなんて何もない。
日常のスズキ釣りから、非日常のスズキ釣りへ。
釣りを楽しむということは、釣りをすることだけにあらず。
スズキを釣ることが好きなのか。
スズキ釣りを通して見たい景色が好きなのか。
元も子もないこと言うかもしれませんがワタクシ、極論どちらでもないのだろうと思います。
この未来(さき)を歩む手段は、釣りであろうとランニングであろうと、登山であろうとバスケであろうとなんでもよいのかもしれません。
そこに知らない世界、もっというと旅という要素があればそれでいい。
ついでにスキルなどの向上など得られたりなんかすれば、もう大満足です。
この3年釣りから遠ざかった理由は釣りが嫌いになったのではなく、釣りを通してでしか景色を見ることが出来なくなった自分に嫌気がさしたから。
どこまでも未熟者です。
けれど、その過程があって次に進めるのも事実。
自らの意志と脚で一歩ずつ踏み出さないと、マラソンはゴールに辿り着けません。
苦労して辿り着いたところで、自分の力が時間という数値で評価され時として絶望を味わうのですが。
誰に認めてもらうわけでなく、自らを自らが認める行為に純粋さを感じます。
釣りを通してこのさきを歩むのではなく、歩んでいる中に釣りが存在しているのだろうと思います。
自分の場合は、です。
相棒よ、横浜からありがとう。
本当に良い思い出が出来ました。
全工程6日・1468キロの島根・宍道湖の釣り旅、おしまい!
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