とても興味深い釣り師が居た。

釣りのスタイルと言い、考え方と言いただ 者ではない。

「本物。」

この人は本物の釣り師。

そう感じたときから、どうしても会いに行 きたくなった。

会いに行くタイミングはただ一つ。

北西風の吹く時。

それしか思い浮かばなかった。

氏もそれを待っていた筈である。

「どうしたんですか!?なんで俺の所にきたん ですか!?」

それが第一声。 コーヒーを飲みながら、今日のプランを練 る。


こんな可愛いメーカーが好きだと言う氏で はあるが、話が進むうちにやはりただ者で はない事が分かる。


この方もそうだが、何故にこのメーカーの 周りの人間はこうも個性的でストイックな のだろうか。

ポイントに車を走らせる。

暗い中、身支度を整えひたすら歩く。


ひたすら歩いて、汗だくだ。

ここまでハードな歩きは私のホームにはな い。

いきなり歩みが止まる。

「いけない…」

波が高く先へ進めないのだ。

仕方なく引き返す。 車に戻ると、もうすでに一時間以上が経っ ていた。

なんてハードな釣りだろうか。 これを繰り返す釣り。

やはり、思っていた通りだ。

ただ者ではない。

次のポイントへ向かう。

このポイントはキャストするまでに更に長 い時間を歩いた。 キャストするまでに二時間近く歩いた。


波が高く強すぎる。

よく溜まっていると言っていたポイントも グチャグチャ。

朝から歩いてばかりだが、こんなにも楽し い時間はない。

クレイジーな人に会えて竿が振れる。 こんなに楽しい時間はない。

結果、魚は出なかったのだが、楽しい時間 を過ごすことが出来た。

しかし、波はどんどん強くなり、釣りは不 可能な程に…


「じゃあ、名物ラーメン食べましょう。」

そう言って、しじみラーメンをすする。

ず～っと釣りの話。

釣りも話もとても楽しい。

今日会ったとは思えない、昔からの知り合 いのように話は盛り上がった。

「ドライブしましょう。」

そう言って出掛けた先で見かけた「鳥山」 。

それが近い！

急いで道具を準備しキャスト。


イナワラサイズ中心に釣れた。

最大は68センチ。 これを見て、氏は「奇跡だ」と言った。

今までベイトが居なかった海に、生命の波 が押し寄せていた。

この日はこれで終了。

「明日は、朝の磯の先が良いですよ。」

そう言って、氏と別れた。

この日、氏と会う事が出来、非常に楽しか ったし、とても勉強になった。


この夜のビールは美味かった。 汗をかいた後で、ついつい飲み過ぎてしま った…

つづく…




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