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ショータ・ジェンキンスです。 ようやくfimoの触り方を理解してきました。 皆様よろしくお願い致します。

深淵の住人 - 後編

深淵の住人 - 前編 はこちらから

基本的に水の中、特にディープから上がってきた魚は大概が実際のサイズよりも大きく見える。例えば水中に伸びるラインは、人間の目には驚くほど屈折して見えているため、目線の高い位置からピンを打つ場合、感覚的には30cm~50cm程度先へルアーを落とすぐらいが丁度いい。

そんなハナシはどうでもいいのだが、このWILD-1関口という男もまたサイズの判断が大袈裟であり、先週この男の釣った50cm程のレイクをランディングした際も、「70いったっしょ!?」と言っていたぐらいだ。少し足場の高い岩場からファイトしていたせいもあるかもしれないが…

しかし今回はその判断を鵜呑みにしても良いようだった。確かに、明らかにグリッサンド90の曲がり方は凄いし、一定のリズムで、不気味なまでに落ち着いてドラグを出し続ける魚の動きは、それまでキャッチしたヤングレイク達とは別モノだったのは間違いない。

数メートル先でシャローまで上がってきた魚が、ネットイン寸前に翻す。
その時に水面を叩いた尾びれの大きさに、半信半疑でファイトをしていた自分もようやくことの重大さに気付き、急に鼓動が速くなったような気がした。頭はネットに入ったが、その長い体をくねらせた瞬間またネットの外に逃げ出しかけたが、関口がうまくネットに滑り込ませた。窮屈そうにネットに収まった姿に、しばし二人で黙り込む。


「やりましたな」

 

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今年大きな魚が獲れたらこんな写真を撮ろう。あんな角度で撮ろう。
色々とイメージトレーニングはしていたつもりだったが、正に息をしている巨大な魚を目の当たりにすると、なるべく手短に、しかし冷たい水に手をつけて魚のエラに水を送りながら良いアングルを求め、いつもよりも多くシャッターを切ってもらった。正直ふたりともカメラの腕なんて素人なので細かいハナシは分からない。ただ、この魚の格好良さと、どこかミステリアスな魅力をどうにか写真に残したかった。次にこんなサイズの魚を抱ける日はいつか分からない。途中から自分とではなく、魚の写真ばかりになってしまった。
釣り上げたレイクトラウトは85cm、あてにならなそうなグリップの計測だと重さは5kgジャストだった。

 

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大きな魚が釣れた時っていうのは、後付けかもしれないが、何かしら理由や要素がいつもよりも重なった時だと思う。自分達なりにポイントや時間帯に狙いをつけた事や、キャスト数をなるべく抑えた事。さらに通常リーリング前に2回程度フリップを入れて糸フケを取ってから2-2-5という最初のセットを始めるところを、ズル引きするようにして糸フケをとってから、スプーンをなるべく浮かせないように意識してセットを始めた事。過去何回かの釣行で本当に底ベッタリなイメージだった事や、解禁日以降、連日多くのアングラーが投げてはラインで水を切っている。少しでも魚に警戒心を与えないように、PEがラインを切ることを避けたかったのだ。
これらが功を奏したかどうかは魚にしか分からないけど、何も考えずにただいつも通りやるだけでは、満足出来ない性分なのだ。

 

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こちらを一睨みしたかと思うと、それまで大人しくしていたのが嘘かのような力強い泳ぎで、深淵の住人はその深みへと帰って行った。写真を撮っている間は急に吹き出した風に苦しめられたのに、気付けば天気は穏やかに晴れ渡っている。

 


 

先ずは毎回こいつとの釣りは何だか良いものになり、文句を言いながらもいつもサポートしてくれるWILD-1だかマンディだかの、関口にお礼を言いたかった。というか一番に言った。冷たい湖水で悴んだ手に関口のハイタッチはとても痛い。出来ればこの男のドラマ魚が釣れる場面にも立ち会いたいものだ。それを一番に願いながら、逃がしたあの魚の事をチクチクと掘り返す(笑)実は僕にレイクトラウト釣りのキッカケをくれたのは、関口の上司なので関口というかWILD-1にも本当に感謝である。

 

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そしてこんな不器用な自分にフィールドスタッフとして釣りをさせてくれて、サポートしてくれるTULALAという奇特なロッドブランドにも本当に感謝。特に今回は大阪から来た同じTULALAのペスカトーレ中西やその相方の植木屋いたるさんと一緒に何キロも歩いて開拓出来た経験が、答えにまた1歩近づけてくれた。歩いたと言えば宇田川さんにマサやさんぺーくん、成田君もたくさん一緒に歩いた。みんなありがとう。

 

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今回この魚を釣ったのはM.T.レイクスの23g、中禅寺湖のスライドスプーンと言えば外せないルアー。そしてこのルアーを手掛け、この釣りのスタイルを確立したロデオクラフトの阿部さんにも本当に感謝している。この出会いがなかったら、きっとこの魚に出会うのはまだまだ先だったと思う。

 

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会う度にいつも考えさせられるハナシを聞かせてくれた。それはテクニック面だけではなく、魚や自然に対するアティチュードや色々。実は後から聞くと、あの時遠くで魚を掛けていたのは、取材中の阿部さんだったらしい。この日の帰り道、皆でこの魚を祝福してくれた。釣りはあくまで個人スポーツみたいなものだけど、やっぱり喜びをシェア出来るのは嬉しい。矛盾しているかもしれないけどそういうものだ。本当にありがとうございました。

 

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つまらない釣りなんてひとつもない。珍しく、これだけは断言する。
だけどこの中禅寺湖というフィールドと釣りは特別だ。ここでの釣りは、違う分野や全然違う場所での釣りにも様々なヒントをくれたし、曲がりなりにも釣りに携わる仕事をして、年に何度か海外でも釣りをするけれど、この場所の持つ魅力が褪せる事は全くない。ゴミひとつない浜辺や、ひょっとすると自分の生きてきた時間よりも長くそこに横たわる倒木の姿を見てもらえたら、きっと分かってもらえる。説明は要らないと思う。遠くカナダからやってきたレイクトラウトが、日本で唯一移入されたのがこの湖というのも、妙に頷ける。

 

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相変わらず夢や浪漫ばかりに気を取られて、細かい釣り方やポイントのハナシの少ない当ブログですが、それに付き合ってくれて、国や魚種は違えど、同じようにしてイッピキを追い続けるピーターパンな皆さんにも、ありがとうございました。どこかまだ現実感のない魚、また”日常”に戻って釣りばかりしていきたいと思います。

ではまた。

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ROD: Glissando90, TULALA
LURE: M.T.Lakes77 23g #8, Rodio Craft 
REEL: STRADIC4000, shimano
LINE: Avani SesBass PE(1), VARIVAS+Shock Leader16lb
NET: S.Otsubo
 
CAP: LETS DINNER MESH CAP, Flys Unidentified 
NECK: Pinta‐Twistbeanie, Fin-ch 

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