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ショータ・ジェンキンスです。 ようやくfimoの触り方を理解してきました。 皆様よろしくお願い致します。

HuercoXTシリーズが「逆並み継」のワケ

デビューしてぼちぼち2年になるのかな? Expedetionary Tuned=XT、その名の通り遠征向けのラインナップは「タフで使える」をコンセプトに、テスト期間から現在に到るまで、常に旅と出会いの真ん中にいるロッド。フエルコスタッフにとっても、きっとユーザー様にとっても。

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パックロッド=旅に向いているは決して間違っていないし、分割して持ち運べる携行性はパックロッド最大のメリットなのは間違いないんだけど、遠征仕様と謳うからにはコンパクトになるだけじゃないのがXTシリーズです。普段イベントでもよく話をしたり、販売店さんに理解してもらいたいポイントでもある部分を少しだけ紹介したいと思います。


スマートマルチピース “逆並み継ぎの理由”



ちょっと名前がカッコ良すぎて口に出すのが憚られますが(笑)、簡単に言うとロッドの機能と携帯性を両立させるための工夫。グリップ脱着と、均一ではないブランクスの分割方式だったりがそれですが、それだけじゃないんですね。

遠征は常にリスクとの戦いでもあります。例えば長期の海外釣り遠征等でのタックルの破損やロストは、場合によっては旅自体を続けられなくなることも考えられます。思いもよらないトラブルや不注意での破損は確かに避けられませんが、その可能性も加味して考え抜いた答えの一つが「逆並み継ぎ」。一般的なロッドの継ぎ目は印籠継ぎが多いのですが、XTシリーズは敢えてこの旧式とも言える方法を採用してます。何故なんでしょうか。

その最大の理由でありメリットとも言えるのが、破損してしまった場合の対応のし易さにあります。例えば、もしも通常の印籠継ぎのロッドが破損した場合、竿の継ぎ目が1本1本違うため「コミ調整」と呼ばれる過程があります。
 

印籠継ぎの場合


1.破損
2.メーカーに送り返す
3.コミ調整及び修理・交換
4.返送
5.復活


 

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ざっくり書くとこんな流れ。
しかしこれがXTシリーズに採用されている逆並み継ぎだと、この流れを大幅に短縮する事ができます。短縮と言うより、ちょっと違った対処方法になるのかな?

 

逆並み継ぎの場合


1.破損
2.破損した箇所をメーカーに伝える
3.発送
4.復活



 

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どうしてそうなるかと言うと、基本的にどのピースも継ぎ目が均一だから。少しでも分かり易いように絵にしてみましょう。
 

例えば図1の汚い絵は、1本で焼き上がってきたブランクスAをカットして、印籠(スピゴットとも言う)で繋いでくイメージの図解。この製法だと、破損した箇所の印籠部分は組み立ての時にそれぞれ調整されているので、簡単に言うと全部太さが違う。


追記:図1も実際は1本のものを切るのではなく、それぞれのパーツを別々に作っているのですが、切れ目(継ぎ目)となる部分のテーパーが、図2の製法に比べると、段差がなくスムーズということ。




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図2がXTシリーズの場合。ブランクスが焼き上がった時点で分割されていて、それを繋げてるよって意味です。かなり簡単に説明すると、最初の段階で別の竿としてA,B,C,Dを4本作ってしまっている感じ。基本的にそれぞれのA,B,C,Dは全て同じ太さ・長さで作られているので、仮にAを破損した場合、そのまま新しいAを繋げる事が可能という訳。


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Huercoはパーツ販売のシステムがあるので、Aが破損した場合は同じロッドのAを購入してもらえればすぐに釣りが再開出来ます。もっと言うと、国内なら遠征中に部品を届ける事も可能かもしれません。(今後パーツ別の販売についてはネットショップも検討中。)


さらに僕らスタッフ陣の場合、特に長期の海外遠征においてはスペアパーツを最初から持っていきます。しかも破損する場合って大体が踏んでしまったりドアに挟んだり、それとガイドがランディング強引だった時にティップが巻き込まれるなどなど、そのほとんどが#1(ティップ部分)です。これ意外と保険と一緒で、持って行くと大抵そんなトラブル起きないんですけど(笑)なので免責を使う場合は、束ねた状態でそれ車で踏んづけるぐらいの事件が起きない限り、その必要はないでしょう。


軽さ・曲がり・性能


そしてこの製法、通常の印籠継ぎに比べると作業工程が多くてしんどいのですが、「タフで使える」って言うぐらいです。その恩恵はまだあります。先ほどの図1のようにピース同士を繋ぐ際に印籠を使った場合、ブランクスのカーボンとは違う素材が数カ所に配置される事になります。すると継ぎ目の部分の曲がりが自然でなくなってしまったり、継ぎ目の数に比例して重さが増す場合があります。曲げている所を真横から見るとわかると思います。

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スムーズなほど破損が少なくなるし、自重が重い故にバランスを重視すると感度の悪さや疲労に繋がるので、なるべく軽く仕上げるのに越した事はありません。まあそこ優先し過ぎて耐久性を落としてしまっては遠征仕様じゃなくなってしまうんですけど。
 

図2のXTシリーズの場合はこの印籠を使わずに、尚且つその継ぎ目に違う素材を挟むこともないです。ここのあたりをいい感じのバランスに着地させるのにも、逆並み継ぎが一役買っているんですね。
ふむふむ。

 

パックロッド=コンパクトになるだけ



と、ここまでがXTシリーズの最大の特徴とも言える継ぎ目・ブランクスの話でした。ストアイベントなどでは、こんな感じで突っ込んだ話なんかもよくさせてもらいます。我々フエルコのような新しいブランド然り、最近パックロッドの種類が増えたと思います。ユーザーにとってはチョイスの幅が広がり、これまでに無かった選択肢が増えるというのはそのジャンル自体が盛り上がっていくことにも繋がります。なのでもちろんそれぞれのメーカーさんにもこだわりやコンセプトがあるので、パックロッドと一言で括ってもただ分割出来る竿のパワー帯が違うだけではないのです。そこをちょっとでも分かってくれたら嬉しいなと思いついて描いてみました。
 

しかしながら、ちょっと印籠のデメリットの方が目立つ形になってしまいましたが、印籠継ぎだとブランクスを細く出来たり、工程が多い分妥協しなければ精度の高いものがもちろん作れる、現在メインとなる製法です。今後必要に応じて、適材適所で使う事はあるでしょうし、今回のXTシリーズに関してはテーパーデザインや重さ、長期的な運用、現場での利便性、後は並継ぎだとテーパーが極端になりやすいって部分など、色々な要素を踏まえて逆並み継にしてますって話です。これが正解だ!とかではなく。
 

本当はマッツが口を酸っぱくして語るガイドセッティングについても一緒に書こうと思いましたが疲れたのでそれはまた次回。

ではまた。

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