♯12 ルアー開発8(特許への道1の4)

前回の話は、なかなか独自のルアーって作るのは難しいけど、ウォブリングやロールとバイブレーションが組み合わさったら釣れるルアーができるんじゃね?からの、幾つか使えそうなアイデアが出てきたってとこ。
 
「釣れるオリジナリティ」を目指して五里霧中の中、思いついたアイデアがオリジナルだと自信を持って言うためには、特許を取得するしかないという結論に帰結した。ルアーである以上、その泳ぎや形状などを部分的に見れば「コレってアレだよね?」を避けることは不可能だけど、特許技術があれば確実に他と違う部分があることも確かって言えるだろうってこと。ただ、単に特許技術があっても釣れなければ意味がない。その技術があることで、他のルアーには釣れない魚を引き出せる可能性が1つ増えるのであれば、それは使っていて楽しいルアーの条件の1つは満たせることになる。また、特許を取得する利点はもう1つあり、もし将来的に販売できるとなったときに昨今問題となっているような丸パクリルアーに対抗する権利を持つということだ(真似さられるほどの魅力があることが大前提だが。。。)。
 
特許法が定める特許の条件っていうのは、大きく「産業上の利用可能性」で、「新規性」と「進歩性」があり、「先願」され「公序良俗」に反しないものだそうだ。「新規性」と「先願」は分かりやすくて、公に知られていない技術を誰よりも早く出願すること。自分自身で論文を書いても「新規性」が失われて特許要件を満たさなくなってしまうため、特許を取得しようとしているなら申請前にSNSに挙げるなどの作業は注意しないといけない。ただし、「新規性喪失の例外」という救済措置があって、1年以内なら公開後も出願可能。「産業上の利用可能性」というのは、単純に売れるものだけじゃなくて製造方法なんかも含まれているが、人を治療する方法などは含まれないというのは面白い(治療は産業ではないということか。ただし薬は含まれる)。「公序良俗」に反しないものというのは、人のクローン技術や通貨偽造技術などがあたるそうだ。
 
特許要件で一番難しいのは「進歩性」だろう。その分野の一般的な知識を持つ人が、既存の技術から簡単に考え出せる程度のものであってはなりません高岡IP特許事務所)、とある。つまり、単純にこれまでにないという理由で既存の技術をチョロっと変えた程度では認められないというところだが、どの程度変えたら認められるのかは審議官によっても解釈が分かれるそうで、出願書類の書き方次第で印象も変わってくるようだ。更に、スポーツフィッシングにおけるルアーは、長期に亘って変化の乏しい熟成した技術体系で比較的小規模に製造可能(例えば鉄鉱石の製錬などは個人で行うことは極めて難しい)なものであるから、企業だけでなく個人も数多く特許出願を行っているという点で、数多くの事例から進歩性を判断することは一段と難しくなる。そのような中で特許技術として認められようとすると、過去100年くらいの間に世界中の人々によって出願されている特許書類には掲載されていないことと、それ以外にも既存の商品などとして公になっていない技術であり、明らかに既存の技術とは異なり発明が容易ではないと判断される必要がある。
 
これを証明しないといけない、と想像するだけでゾッとする。

ちなみに、特許と似たものに実用新案(特許権が20年間有効なのに対し10年)というものがあるが、これは形式さえ整っていれば新規性や進歩性が無い場合でも取得できてしまう。つまり、取得時点では特許庁のお墨付きは一切なく、権利行使の際(実用新案に登録されたアイデアを侵害された場合)に特許庁の「実用新案技術評価書」を取得して初めて公式な見解が示される。この評価書にある評価点が低い(新規性や進歩性が認められない)場合には、実用新案自体は無くならないが権利も行使できなくなる。取得までに2-3カ月で済むため、旬の短い商品などに類似商品が出てくることを牽制する目的などで活用されている。
 

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