プロフィール
アダルティー中谷
千葉県
プロフィール詳細
カレンダー
検索
アーカイブ
アクセスカウンター
- 今日のアクセス:1
- 昨日のアクセス:1
- 総アクセス数:97479
QRコード
▼ 蒼き衝撃
それは、まさに蒼き衝撃だった
薄く明け始めた空に、水面が照らされる頃
それは、突如として襲いかかった
引き込まれるロッド。鳴り響くドラグ音
2年間待望し、待ち焦がれるだけの出会いがそこにはあった
まだシーズンインには早い時期
だが、台風通過後で荒れる海に期待していた
警戒心の強い大型魚が警戒を解き、ショアから狙える範囲まで近づいてくると予測し、荒磯へと向かった
当初予定していたポイントには先行者が3名
仕方なく次のポイントへ移動するもまた先行者
ひとまず挨拶すると、お知り合いのOさんであった
人の良いOさんと近状を報告しあうと、Oさんが先に入っていたポイントへ入れてくれた
申し訳なく思いつつも、お言葉に甘えることに
辺りはまだ暗く、青物が出るには早い時間なので、まずはミノーで左右の磯際をサーチ、得意のヒラマサラシパターンで探る
もしかしたらヒラスズキが出るかもと丹念にキャストするがバイトはない
そのうちに2名のアングラーが両サイドに入り、今まで撃ってた磯際が撃てなくなった
辺りも薄明るくなってきたので本格的にヒラマサ狙いにシフトする
まずはダイビングペンシルで水面を掻き回す
潮は複雑に絡み合い、ウネリもあるせいか水が良く動いていた
良い雰囲気を感じつつ、5投ほどキャストするが、なんとなくルアーが状況に合ってないような気がした
僕はルアーチェンジをあまりしないほうだ
その日の状況を読んで、これだと信じたルアーをずっと投げ続けるタイプなので、この早いタイミングでルアーを変えるのはあまりない
この時は、本当になんとなくルアーチェンジを行った
選んだルアーはジグミノー
このルアーは個人的な実績があるわけでも、思い入れのあるルアーでも無く、長く使ってはいるが、まともな魚を釣ったことはないルアーだった
とりあえずこれで表層を攻めてから、徐々にレンジを下げて探ろうと考えた
まずはスキッピングで水面を跳ねさせながら滑走させる
1、2投と反応はなく、3投目をキャスト
軽くアクションを入れつつ、水面を滑走させる
その刹那、突然巨大な水柱が立った
ルアーにアタックしたのだと気付き、フッキングを一発入れ、更に追い合わせを入れようとロッドを煽ろうとする
しかし、追い合わせを入れる間もなく、ギチギチに締めたドラグが唸りを上げて逆回転を始めた
これまで経験したことのないドラグ音に、これまでのヒラマサとはケタ違いのサイズだと嫌でも解らされた
「でけぇぞ!でっけぇぞ!」
気付けばそう吠えていた
ファイト中にこんなに熱くなったのはいつぶりだろう
それは夢にまで見たサイズがようやく喰ってきたことへの喜びだった
今までいくら通い続けても、神津に行っても、ラインをブチ切られる相手に出会えなかった
いつしか切られるような奴に逢いたいと願うようになった
そして今、切られるに相応しい相手がラインの先に居る
様々な想いが交錯する中、今やるべきことが明確に見えてきた
「絶対に、こいつを獲る」
この間もラインは引き出され続けた
好きに暴れさせてはならないと更にドラグを締めるが、それでも奴のランは止まらない
使ってるラインはPE3号、リーダーが50lb
大型青物にしては細いタックル、無理は出来ない
とにかく根に潜られないようにロッドは高く保ち、下へは走られないようにプレッシャーを与え続けた
ようやくランが止まった。ラインはおそらく20m以上は出されただろう
すぐさまラインの回収に入り、ポンピングで寄せては巻きを繰り返す
その重量感は今までの魚の比ではなく、少しでも反撃のチャンスがあればラインを引きずり出した
ファイト直後は興奮状態だった僕も、ファイトが進むにつれ冷静さを取り戻していた
ファイト中盤に入っても体力は思ったほど消耗していない
この時点では魚は沖へ向かって走っていたので、強引に寄せる必要もなく、有る程度沖で魚を疲れさせるようにしたのが功を奏した
そしてついに、その魚体が海面に近づいてきた
一瞬見えた巨大な魚影、その影に心臓が揺れた
初めて見るその魚体、これまで見たことのない大きな青白い魚体に思わず震えた
その魚影を確認するや否や、右の根に向かって最後の抵抗を見せる
咄嗟に磯ギリギリまで前に出て、ロッドを左へ思い切り煽る
ラインはズルズルと引き出される
なんとか止まったがまた10mは引き出された
ここからは小細工なしの真っ向勝負
とにかく奴を根から引き剥がす
渾身の力でロッドを立て、素早くラインを回収
そして再度青白い魚体が姿を現した
やはりデカイ。今までのとは遥かに違う
荒波が来る中、ランディング体勢に入る
ランディング位置のすぐ下は先ほどまで格闘した根がある
また奴が反転して、その根に潜れば・・・その先は考えたくない
ただ、心を落ち着かせ、チャンスを伺う
奴もこの期に及んでまだそんな体力があるのかと思ってしまうくらい暴れた
ウネリが入り、ランディングが困難な状況
波を見極め、大きな波に奴を乗せようと試みる
その大きさ故、磯に上がり切らない
思わず奴に飛びつき、尻尾を掴み、力づくで磯へ上げる

尻尾の太さと重さが今までのとは異次元だった
その場に跪き、放心状態で奴を眺めていた
フィッシュグリップをかけようとトリガーを引くが、それすらも出来ないほど手が震えていた

最早、魚というよりかは野生動物のような凄みのある風格
メーターを軽く超えるその堂々たる姿に言葉が出なかった
この釣りを始めてからずっと追い求めていた奴が今、目の前にいる
現実感の無い現実が、そこにはあった

腕の震えと魚の重さでまともに持てない
なんとか後からやって来たよし君の所まで行き、写真を撮ってもらう

このブツ持ちを撮るのすら必死だった
全身全霊を賭けて臨んだ死闘は、僕の体力を限界まで削り取っていた

108cm。10kg
一つの大きな壁を超えることが出来た
記念なので、魚拓や剥製にするという手もあった
しかし、僕はそれを断った
あくまでこの魚は通過点に過ぎない
これで満足したらこの魚までしか獲れない
それに、この一匹のおかげでもう2~3kgデカイのが喰っても獲れる自信がついた
このファイトでリーダーは僅かに根擦れていただけだった
この程度の傷であれば、まだまだ戦えた
ならば獲ってやる。これよりデカイのを
果てなき蒼を追いかけて

TackleData
Rod:Xesta LaserBeam 106H
Lille:Shimano TwinPower 5000HG&YUMEYA PowerHandle
Line:VARIVAS CastingPE SMP 50lb
Leader:Daiwa SALTIGA Leader typeN 50lb
Lure:OverThere130S Skipping
おまけ

Oさんの釣果と僕のマサを前にしょげるよし君
女の子ばかり釣って邪念が伝わっちゃうから魚が釣れねーんだおう
薄く明け始めた空に、水面が照らされる頃
それは、突如として襲いかかった
引き込まれるロッド。鳴り響くドラグ音
2年間待望し、待ち焦がれるだけの出会いがそこにはあった
まだシーズンインには早い時期
だが、台風通過後で荒れる海に期待していた
警戒心の強い大型魚が警戒を解き、ショアから狙える範囲まで近づいてくると予測し、荒磯へと向かった
当初予定していたポイントには先行者が3名
仕方なく次のポイントへ移動するもまた先行者
ひとまず挨拶すると、お知り合いのOさんであった
人の良いOさんと近状を報告しあうと、Oさんが先に入っていたポイントへ入れてくれた
申し訳なく思いつつも、お言葉に甘えることに
辺りはまだ暗く、青物が出るには早い時間なので、まずはミノーで左右の磯際をサーチ、得意のヒラマサラシパターンで探る
もしかしたらヒラスズキが出るかもと丹念にキャストするがバイトはない
そのうちに2名のアングラーが両サイドに入り、今まで撃ってた磯際が撃てなくなった
辺りも薄明るくなってきたので本格的にヒラマサ狙いにシフトする
まずはダイビングペンシルで水面を掻き回す
潮は複雑に絡み合い、ウネリもあるせいか水が良く動いていた
良い雰囲気を感じつつ、5投ほどキャストするが、なんとなくルアーが状況に合ってないような気がした
僕はルアーチェンジをあまりしないほうだ
その日の状況を読んで、これだと信じたルアーをずっと投げ続けるタイプなので、この早いタイミングでルアーを変えるのはあまりない
この時は、本当になんとなくルアーチェンジを行った
選んだルアーはジグミノー
このルアーは個人的な実績があるわけでも、思い入れのあるルアーでも無く、長く使ってはいるが、まともな魚を釣ったことはないルアーだった
とりあえずこれで表層を攻めてから、徐々にレンジを下げて探ろうと考えた
まずはスキッピングで水面を跳ねさせながら滑走させる
1、2投と反応はなく、3投目をキャスト
軽くアクションを入れつつ、水面を滑走させる
その刹那、突然巨大な水柱が立った
ルアーにアタックしたのだと気付き、フッキングを一発入れ、更に追い合わせを入れようとロッドを煽ろうとする
しかし、追い合わせを入れる間もなく、ギチギチに締めたドラグが唸りを上げて逆回転を始めた
これまで経験したことのないドラグ音に、これまでのヒラマサとはケタ違いのサイズだと嫌でも解らされた
「でけぇぞ!でっけぇぞ!」
気付けばそう吠えていた
ファイト中にこんなに熱くなったのはいつぶりだろう
それは夢にまで見たサイズがようやく喰ってきたことへの喜びだった
今までいくら通い続けても、神津に行っても、ラインをブチ切られる相手に出会えなかった
いつしか切られるような奴に逢いたいと願うようになった
そして今、切られるに相応しい相手がラインの先に居る
様々な想いが交錯する中、今やるべきことが明確に見えてきた
「絶対に、こいつを獲る」
この間もラインは引き出され続けた
好きに暴れさせてはならないと更にドラグを締めるが、それでも奴のランは止まらない
使ってるラインはPE3号、リーダーが50lb
大型青物にしては細いタックル、無理は出来ない
とにかく根に潜られないようにロッドは高く保ち、下へは走られないようにプレッシャーを与え続けた
ようやくランが止まった。ラインはおそらく20m以上は出されただろう
すぐさまラインの回収に入り、ポンピングで寄せては巻きを繰り返す
その重量感は今までの魚の比ではなく、少しでも反撃のチャンスがあればラインを引きずり出した
ファイト直後は興奮状態だった僕も、ファイトが進むにつれ冷静さを取り戻していた
ファイト中盤に入っても体力は思ったほど消耗していない
この時点では魚は沖へ向かって走っていたので、強引に寄せる必要もなく、有る程度沖で魚を疲れさせるようにしたのが功を奏した
そしてついに、その魚体が海面に近づいてきた
一瞬見えた巨大な魚影、その影に心臓が揺れた
初めて見るその魚体、これまで見たことのない大きな青白い魚体に思わず震えた
その魚影を確認するや否や、右の根に向かって最後の抵抗を見せる
咄嗟に磯ギリギリまで前に出て、ロッドを左へ思い切り煽る
ラインはズルズルと引き出される
なんとか止まったがまた10mは引き出された
ここからは小細工なしの真っ向勝負
とにかく奴を根から引き剥がす
渾身の力でロッドを立て、素早くラインを回収
そして再度青白い魚体が姿を現した
やはりデカイ。今までのとは遥かに違う
荒波が来る中、ランディング体勢に入る
ランディング位置のすぐ下は先ほどまで格闘した根がある
また奴が反転して、その根に潜れば・・・その先は考えたくない
ただ、心を落ち着かせ、チャンスを伺う
奴もこの期に及んでまだそんな体力があるのかと思ってしまうくらい暴れた
ウネリが入り、ランディングが困難な状況
波を見極め、大きな波に奴を乗せようと試みる
その大きさ故、磯に上がり切らない
思わず奴に飛びつき、尻尾を掴み、力づくで磯へ上げる

尻尾の太さと重さが今までのとは異次元だった
その場に跪き、放心状態で奴を眺めていた
フィッシュグリップをかけようとトリガーを引くが、それすらも出来ないほど手が震えていた

最早、魚というよりかは野生動物のような凄みのある風格
メーターを軽く超えるその堂々たる姿に言葉が出なかった
この釣りを始めてからずっと追い求めていた奴が今、目の前にいる
現実感の無い現実が、そこにはあった

腕の震えと魚の重さでまともに持てない
なんとか後からやって来たよし君の所まで行き、写真を撮ってもらう

このブツ持ちを撮るのすら必死だった
全身全霊を賭けて臨んだ死闘は、僕の体力を限界まで削り取っていた

108cm。10kg
一つの大きな壁を超えることが出来た
記念なので、魚拓や剥製にするという手もあった
しかし、僕はそれを断った
あくまでこの魚は通過点に過ぎない
これで満足したらこの魚までしか獲れない
それに、この一匹のおかげでもう2~3kgデカイのが喰っても獲れる自信がついた
このファイトでリーダーは僅かに根擦れていただけだった
この程度の傷であれば、まだまだ戦えた
ならば獲ってやる。これよりデカイのを
果てなき蒼を追いかけて

TackleData
Rod:Xesta LaserBeam 106H
Lille:Shimano TwinPower 5000HG&YUMEYA PowerHandle
Line:VARIVAS CastingPE SMP 50lb
Leader:Daiwa SALTIGA Leader typeN 50lb
Lure:OverThere130S Skipping
おまけ

Oさんの釣果と僕のマサを前にしょげるよし君
女の子ばかり釣って邪念が伝わっちゃうから魚が釣れねーんだおう
- 2013年10月1日
- コメント(9)
コメントを見る
最新のコメント