力強く、雄々しく、そして気高く

切り裂くような強風だった

午後から吹き出した風は波を払い、海を掻き回した

磯には無数のイワシが打ちあがっていた

期待に胸を昂ぶらせ、ルアーをキャストした

c6sc3a2z7sbm7n8nnssu_480_480-fa1872ea.jpg

80cmほどのマル

真昼間のヒットに活性の高さを確信する

今日は良い日にあたった。釣れる時に釣ってしまおう


気配に気付かれないよう後方から、磯に隠れてキャスト

強い流れにルアーは押され、磯際へ漂う

足元にはイワシが打ちあがる

そう、何かに追われるかのように

不意にリールを巻く手が止まる

黒い魚体が水面を割る

間隔の広いヘッドシェイク

先ほどのマルとは比べ物にならないファイト

ようやく浮かんだ魚体はギャフを使うのを拒んでしまうほど神々しいオーラに包まれていた

ランディングの為、危険を承知で磯際へ降りる

重々しいその魚体は波に乗せることも困難

暴れる魚の口を無理やりこじ開け、ハンドランディング

68ovhnt9f7afeijcmei9_480_480-f27b6ecb.jpg

古代魚の様なその姿

ただその場で立ちつくしていた

気付くとフックが右手に刺さっていた

それすらも忘れてしまうほど見惚れていた

pejheps7ni8stuyrjhdi_480_480-0855e449.jpg

88cm、6.5kg

言葉が出ない

その現実から目が覚める

まだ釣れる

釣れる時に釣ってしまおう

9shhi4hao5384w83zwvo_480_480-13389eaa.jpg

rksefdx9arsm349zpkms_480_480-e627be77.jpg

また釣れない日々が続くのだから

今日は、うんと楽しもう

"僕が釣った"のではない

"海が釣らしてくれた"のだ


これだけ生きてきた魚だけあり、生命力も凄まじい

あれだけのファイトを魅せてくれたにも関わらず、潮だまりでまだ暴れまわっている

最悪、命が尽きるならその身を頂こうと考えていた

だが、堂々たるその姿。僕には殺めることが出来ない

夕日が沈む海に、魚を還す

力強く、雄々しく、そして気高く

依然として荒れる海へ消えていった


him2xkjh9s3a8yd93m46_480_480-37751af2.jpg

 

コメントを見る

アダルティー中谷さんのあわせて読みたい関連釣りログ