DRESS DREPAN-EVO 第壱話

  • ジャンル:style-攻略法

プロローグ

~ドレパンEVO誕生前夜~

 

和歌山にシイラ釣りに行く予定が悪天候で中止になり、

ぽっかりと予定が空いた夜、

今にも泣き出しそうな空を見つめながら

春のウェーディングシーズンの後は余り訪れることのない

大和川の畔に立っていた。


今思うと何故その時大和川に行ったのか

全く思い出せない。


多分何も考えずに「一匹釣れればええわ」程度の

ただの暇つぶしだったのだろう。


その日の大和川は雨の影響で少し濁りが入り、

到着した頃は丁度満潮を迎えた時間だった。


ゆっくりと身支度を整えいつもの場所にいき

堤防の斜面に座って辺りを見渡す。


釣り人は自分1人。


しばらく経って下げ潮の時間帯に入り

ゆっくりと流れが出始めた頃、

いつも使っているシャローランナーに50センチ位の

夏の魚らしい元気なスズキかアタックしてきた。

 

しばらく沈黙の時間の後、

テスト用に持ってきていたバス用のジャークベイトに

同じ位のスズキが掛り

いつも通り手早く記録用の写真を撮った後

リリースしようとふと川の方を見ると

それまで使っていたルアーでは

到底届かない遥か沖に潮目が出来、

何かに追われるようにベイトが忙しなく動き回っていた。


何とかその潮目まで届く方法は無いか?と

持ってきたルアーボックスを漁ると、

少し前に手に入れ

何かのときに試してやろうと思っていた

某社のメタルバイブが入っていた。

 

ウェイトが1オンスあり比重も高く

空気抵抗も少ないこのルアーならば

あの潮目に届くだろうと、

シャローフラットの大和川ではまず使うことのない

この手のルアーを結びフルキャストしていた。

 

水深や根掛かりの事など何も考えずに

ただ沖の潮目に届かせたい一心で…。


結果から言えば確かに潮目には届いた。

 

ただ満潮でもキャストした先の水深が

1m前後しか無いような場所なので

いくらロッドを立ててもルアーは川底を引き摺り、

根掛りや川底のゴミに引っかかりストレスが溜まるばかり。

 

なんとか川底を叩かないですむ方法はないかと

ロッドの角度やリーダーの材質・太さなど

色々と試行錯誤を数投ごとに繰り返す。

 

辿り着いた答えは常識外れで

通常夜の釣りではまずすることの無い

回収に近いスピードで巻く高速リトリーブだった。

 

常識外れの夜の高速リトリーブに

魚がバイトしてくるとは考えられず

流れや地形変化、ベイトの集まるところが見つかればもうけもの、

次に釣りに来たときのヒントが掴めればいいと思っていた。

 

色々な方向にひたすらキャストして

延々と高速リトリーブを繰り返していると

突然ルアーが引っ手繰られ

50センチ余りのスズキが掛かった。

 

あまりにも唐突に魚が掛かったので

しっかりとした合わせが入れられず

その魚は足下でバラしてしまったが

そこから怒涛の連続ヒットが始まった。


サイズは70センチ位までと大したことことはなかったが、

その日は15バイトで11ヒット、ランディング出来たのは7匹と

普段の2、3匹釣れれば上等といわれる

釣れない大和川からは考えられない大爆釣と衝撃的な結果だった。

 

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思えばスズキのルアー釣りを

始めて間もない頃の20数年前、

故郷の淡路島で釣りをしていた際

地元のアングラーに隣で連発され

バイブレーションの持つ爆発力を

まざまざと見せつけられうちひしがれた…

それ以来の衝撃だった。


2012年6月、梅雨時のどんよりとした雲が空を覆う

蒸し暑い夜の出来事だった…。

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