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追憶~壮絶薮地獄編~

  • ジャンル:日記/一般

いよいよ、今年の夏も残り一週間余りとなりました。

熱い一日を過ごした「サマフェス」も無事終わり、ホッと一息着いているTOMMYでございます。

ここで、サマフェスの釣行記でも書きたい所ですが、それを書くには“あの出来事”をまずは記しておかねばなりません。

以前、7月14日のログにも書いた、今年一番の追憶話・・・。


あれは、ホームの河川が大増水に見舞われた、7月11日の出来事でした。


数日前から調子のよかったホーム河川、『木曽川』。
ところが、二日間程降り続いた雨により、見るも無残な濁流と化したのが6日~10日の事。

翌11日未明。
水位が幾分か落ち着いているだろうと期待を胸に、満を持してTOMMYはポイントに向かったのであります。


しかしポイントに着き、川縁に降りて唖然。

川はまだ、容易に人を押し流すであろう、轟々とした水位にありました。

『だめだ・・・。この流れは死ぬ流れだ。』


激流釣行が得意なTOMMYではありますが、闇雲に激流に入っている訳ではありません。
その日の流れと川面を眺め、入れる流れとそうでない流れをしっかりと見極めて入水しているのです。

人が容易に流される様な激流・・・そんな場所には魚も定位しません。


「こりゃまだキツイかな・・・」

そう思い、周囲を見渡したTOMMYの目先に、分流と分流がぶつかり、川面を細かく波打たせている、そんな魅惑的な場所が見えたのです。

しかもそのちょうどすぐ横には、今は使われていない、“石積みの船着場”が顔を覗かせておりました。

その場所までは、目測で200m程。
闇深いジャングルを抜けた先に見える、言うなればアングラーに取っての“黄金郷”・・・。

TOMMYの目にはそう映ったのでありました。


「あそこなら・・・撃てそうだ!」







この先に一体何が待ち受けているのか。

どんなドラマが待っているのか。

人がまだ見ぬ、アングラーの黄金郷は果たして存在するのであろうか。




S.W.A.T.(ソルトウォーターアングラー TOMMY)、いざ出撃!(笑)







まずは危険なジャングルを出来る限り回避する為、川伝いに進む事にしたTOMMY。

ウェーダーをしかと着込み、もちろん万が一に備えたライフジャケット、左手にロッド、そして右手にはシュアファイアの「BACKUP」を装着。

今でこそ光量80ルーメンは、大した明るさではないのだが、普段ライトを使用しないTOMMYの“闇”を照らすにはコイツで十分余りある。

何よりコンパクトで使い勝手がいい。
泳いだり、へつりをする際に口に咥えて進むのにも適しているからだ。

堤防を駆け下り、流れが少し落ち着いた場所から入水。
なるべく流れを受けない様、そして万が一に備えて、体を岸際に預けながらゆっくりと歩を進めた。





最初の難関はすぐに訪れた。

この度の増水で、川縁の土壁がえぐられ足場が垂直に切り立っており、おかげで水中のゴロタ場を行く選択を余儀なくされたのである。

今にも押し流されそうな強い流れが、TOMMYの腰から下を激しく襲う。

そのまましばらく進むと、崩れた壁の間に何とか陸に上がれそうな場所を見付けた。


強く根の張った草や木を掴み、陸へと上がる。

すると、うっそうとした茂みの中に人が通った様な道を発見。

迷わずその道をしばらく進むと、また川縁に降りられる場所へと出た。
恐らくはヘラブナ師のポイントなのであろう、崩れた木の台座が無残な姿を晒していた。

そこからはまたしばらく川を歩いた。

とは言え、先程の場所よりかは幾分か流れが弱く、腰上まである水深により歩きにくい事を除けば、この熱帯夜には快適とさえ思えたほど。


咄嗟の深みや急流がないだろうかと注意深く川を進み、いよいよここまでかと言う場所、“水に浸かって大きくオーバーハングしている木”にぶつかってしまった。

ここからは陸路を進むしか方法はなさそうだ。


泥だらけになりながら、2m程の土壁をよじ登る。
目の前のいばらめいた茂みをザワザワと掻き分け、数歩進むと遂に「闇のジャングル」へと誘(いざな)われた。


最初の内は景気良くズンズンと薮を掻き分け進んでいたのだが、次第に薮が濃くなり、かなりの力で掻き分けなければ倒れない程、薮は高く、そして厚くなっていった。


辺りには虫の鳴き声と、時よりセミの寝呆け声が響き、それに混ざるかの様にTOMMYの荒い呼吸音が共鳴する。


そうして前人未踏のジャングルを掻き分ける事20分。


噴き出す汗と、蒸し返す様な暑さにふと立ち止まり、腰の麦茶に手を伸ばした。

すると、ドリンクホルダーにある筈のペットボトルが無いではないか!

恐らくは、壁をよじ登る時に落としたのだろう。



「ダメだ・・・戻ろう」

喉の渇きと凄まじい暑さに心折れ、来た道を振り返ると、倒した筈の草がまた壁の様に立ち塞がっている・・・。


あれ?

こっちか?

あれ?

あれ!?


おい!何だよどこだよ!


うっそうと茂る森の中、またセミが「ジーッ!」と鳴いた。


TOMMYは遂に、このジャングルの中で遭難してしまったのである。




やべぇ!
川はどっちだ!?

進んでも進んでも、闇と自分の身の丈を遥かに越す草の壁。

想像してもらいたい、照らすライトがまったく役に立たない、360度密着した草の壁を・・・。

とにかく立ち止まるのはまずい!

なぜなら、その時までに確認出来ただけでも、バカデカイ鬼蜘蛛、女郎蜘蛛、ムカデ、毛虫、そしてライトに群がるおびただしい蛾が次から次へと姿を現すのだから!

小さな蟻ですら、首元から侵入されたら脅威である。


この頃には既に、気をたしかに持つのがやっとであった。

出来る事なら、このまま座って楽になりたい・・・。
本気でそう思う程、薮の中を走り、彷徨った。


更に薮を彷徨う事、20分。

ジャングルを抜け出すきっかけは、上空の“月”が教えてくれた。

木の隙間から時より覗く、月の位置を頼りに川の方向を見出す。

おかげで何とか川へと出る事は出来たが、またもや別のオーバーハングした木が行く手を遮っていた。


もう後戻りは出来ない。

目指す石積みは30m程先に見えている。

あそこまで行けば、きっと古い人道がある筈!


行くしかなかった。


恐る恐る歩を進め、ハングした木を腕で押し上げ、水中を進む。

段々と深くなって行く水深。


もう少し・・・

もう少し・・・


その時だった。


ザーッ!とウェーダーの中に、一気に水が浸水して来たのである!


「うわ!うわ・・・あーっ!」


気付いた時には足が浮き、体が真横になってしまっていた。


顔から沈もうとしてしまう為、必死でもがくも足が浮いてうまく泳げない!

前記した様に、左手にはロッド・・・しかし!


「ステラが付いとんじゃ!離してたまるか!」

瞬時にロッドを口に咥え、渇いた喉をここで潤すのかと言う程に口からの浸水を許してしまう。

「おふ・・おおっふ・・あぷ・・・」


平泳ぎだったのか、犬掻きだったのかよく覚えていないが、何とか命からがら木をかわし、陸へと辿り着いた。


やばかった・・・。

ライジャケが無かったら間違いなく溺れていた。


息も切れ切れ、壁をよじ登ると、ネオプレーンのウェーダーが、過去に履いた事がない、とてつもないワタリを模したボンタンの様になっていた。

誰もいないこんな闇のジャングルで、一体誰に上等を切って歩くと言うのか・・・。

「重い・・・すこぶる重いぜ、このボンタン・・・」


とは言えこの薮の中では脱ぐ事すらも出来ない。


パンパンのボンタンウェーダーのまま、がむしゃらにまたしばらく薮を漕ぐと、やっとの事で石積みに着いた。



目の前にはヨダレもののポイント・・・。



「着いた・・・着いたぞー!」







たしかに素晴らしい黄金郷はそこにはあった。



がしかし、それよりもこの出で立ちで、またここから帰らなければならない事を思うと、釣り所ではなかった。

ウェーダーを脱ぎ、ザーッと水を抜いた後、悔しかったので数投してみるも、まったく集中出来ず・・・。



また来よう。
ここへの道程は決して無駄ではない・・・と思う。

いやそう思いたい!


明るく照らされた月を背に、やはり古い道もジャングルに覆われており、別ルートを開拓・・・。

這い蹲る様に堤防に出た頃には、夜が明けていた・・・。









そんなこの場所へ、サマフェス当日・・・

再びS.W.A.T.は向かったのである。



◎BGM 『S.W.A.T.のテーマ』by特別狙撃隊S.W.A.T.より
『Tubular Bells』byMike Oldfield
『Rocky Legends Ending』byBill Conti

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