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全面解禁

  • ジャンル:釣行記


また出会えるなんてこれっぽっちも思っちゃいなかった。


ただ欲を言えばもう一度・・・
もう一度あの銀鱗に触れたい。


こしらえたばかりのランディングネットを見つめ、そう想いを馳せていた。


前回、初めて銀鱗を掬ったランディングネット。
決して高価なネットではないが、一度魚を掬った事で途端に愛着が湧いた。

どうせなら更なる愛着を込めようと、ネットの色を赤く染め直し、取っ手には握りやすい様、皮紐とシニューを巻いた。

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聖地、九頭竜川の頂『櫻鱒』。

アングラーを一目で虜にしてしまう程の“神々しい魚体”。

そして一瞬で魅せられてしまう程の“魔性の魅惑”。


それらにまるで取り憑かれたかの様に、TOMMYは全面解禁となる16日、再び九頭竜川へと向かった。




この日の九頭竜川は冬らしい空気に包まれていた。

鉛色の雲からそそぐ冷たい雪まじりの雨。
そして風速10mを超える北西風・・・。

寒い。


それでもアングラー達は急々と準備を済ませ、次々に堤防を上がって行く。


さすがにこの天候の中、早朝から竿を振るのは厳しい。

体力を奪われるのはもちろん、ここぞという時の集中力を削がれるわけにはいかないからだ。


TOMMYはまず、タイドグラフ、水位表、天気予報からありとあらゆる情報を収集し、その日のプランを決める。


この日、特に集中を要する時間帯は10時から14時。
先日釣れた2月1日とタイド、水位がほとんど同じ。

タイミングが合うとすれば、やはりここだ。


果たしてそれが正解なのかどうなのかはわからない。

ただ直感と経験から培ったデータを頼りに、後はポイントを念入りに絞る。


解答はその日の結果が教えてくれる。





あの時の感触と光景は今も鮮明に残っている。

TOMMYが手にした初サクラマスは、バイトする瞬間からファイト、ランディングに至るまで、全てのビジョンをこの目で捉える事が出来た。

あの“幸せな一部始終”は、これまでからっぽだったTOMMYの“サクラデスク”に大きな引き出しをくれた。



太陽が雲から顔を覗かせ、風も幾分か弱まった午前7時半。
この日の実釣を開始した。


まずTOMMYが最初に選んだポイントは、JR鉄橋下右岸。

前回左岸側に立った際、河川中央部には縦に長く伸びる馬の背がある事がわかった。

このカケアガり沿い、それも太い急流の在る左岸側ではなく、大きな瀬上である右岸側を魚は遡上しているだろうと睨み、ここからスタートする事にした。

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しかし・・・・・・。


意気揚々と川縁に立ったものの、水色を見て愕然・・・。


濁り。

それもTOMMYが最も毛嫌いする、“大量の雪代”を伴った水色だった。

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経験上、この水色をした時の魚の活性は著しく低く、まず動かないに等しい。

そんな時の魚は、ボトムもしくはストラクチャーにじっと身を寄せ、濁りが抜けるタイミングを待っている個体が多い様に思う。

例えばこれが好奇心旺盛なニジマスやイワナであれば、ゆっくりとスプーンを転がせば食ってくる個体もいる。
むしろ低活性時はそちらの方が有効である事が多いくらいだ。


しかし、元々食性を失っていると言われるサクラマスには、転がしたスプーンに興味をしめすことはあっても、深いバイトを得る事は極めて難しいと言える。


やはりサクラマスに最も有効なのは、本能を刺激する“トゥイッチ”、そしてリアクションバイトを誘発させる“食わせの間”。


「違和感なく魚に口を使わせる」

これは食性を失ったサクラマスにこそ、最も有効な手段だとTOMMYは思っている。


しかし、これが生きるのは魚の活性が高い状態である事が不可欠。



(果たして、この低水温の濁りが入った状況下で活性の高い魚がいるのか?)

(はたまた新しい引き出しを求め、状況に合わせたスローな釣りを展開した方がいいのか?)


こんな事を終始考えながら、細かくポイントを撃って行った。

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こうして、未だ見ぬ引き出しを模索しながら、二時間程このポイントをスロー主体に、時より誘いを入れて流してみたが、やはり魚からの反応は得られずに移動。





二ヶ所目に選んだのは前回釣った九頭竜橋上流右岸。

しかし、ここでも上記の水色。
近くの水門から出るフレッシュな水に淡い期待を抱いたが、現実はそう甘くはなかった。


それでもざっと川を見渡し、悪いながらも魚の着き場を絞る。


今回的を絞ったのは、先日釣った場所よりもやや下流。
水深があり、直下には橋脚が絡む大きな淵。

水深があれば、濁りも水温もそれなりに安定している筈。

上流へ向いた魚が止まるとすれば、まずここに違いない。


そこへ、低活性時の鱒へのアプローチ法、17gのスプーンでボトム付近のスロードリフト、リフト&フォール等を試す。


何投かした後、突如伝わったバイト。

10時10分の事だった。


しかし、やはりあのバイトの仕方は一瞬興味を示しただけのよう。

三度リフトからのフォールに『コン!』と来たが、仮にフッキングに至っても、あれではまず浅掛かりになってしまい、間違いなくバレてしまうだろう。


その後、ルアーに替えて辺りを探るも、二度とバイトが伝わる事はなかった。

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この時点で時刻は12時を回った。

あまり時間がない。

ここでTOMMYは大きく移動する事にした。

目指すは全面解禁最上流『鳴鹿堰堤』。


サクラマスは遡上魚だ。
きっと濁りがあったとて、留まる個体ばかりではない筈。

むしろ活性の高い魚は、よりフレッシュな水を求め、上流を目指すのではないのだろうか・・・という仮説を立てた。




まずは堰堤下右岸側をチェック。通称“オフサイド”と言われるポイント。

先行者の方が竿を振っていたが、TOMMYはろくに見るまでもなく見切る。
やはりここでも水色は変わらなかった為だ。


(万事休すか・・・。)


そう思った矢先、対岸の堰堤横から流れ出る“流入水”を発見した。


そういえば前回下見した時に、左岸には小さな水路が合流していた事を思い出した。


(あそこだ!)


急いで車を回し、恐る恐る流入水の水色を伺う。


そこには綺麗な白泡を立てた、まるで渓流を思わせるかの様な流れが、脈々と九頭竜川へと注いでいた。


その水路を降り、腰まで浸かりながらポイントを見定める。


堰堤から流れ出る本流と、足元を流れる水では明らかに水色が違う。
その証拠に、偏光レンズを通してうっすらと境界線が見て取れた。


合流点から下流に見える大きな瀬までは、ゴロタと砂地で形成されており、腰上まで浸かりながらも、何とか撃てる箇所までは行けそうだった。


対岸に見える赤い旗の直線上に陣取る。
この赤旗のラインがオフサイドライン。

この両岸に立つ赤旗より上流は『禁漁区』に指定されている為、撃つ事は出来ない。


狙うはライン直下の瀬頭にある淀み。
堰堤からの流れが二股に別れるその一点。


もちろん選択ルアーはERDA。

陽が出ていた事から「あやめカラー」をチョイス。

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コイツで得意のトゥイッチに加え、フラッシングの要素も織り交ぜ誘う。




太く、押しの強い流れが腰から下を洗っていく。

だが激流はTOMMYの真骨頂!

久し振りに武者震いが沸き起こった。


ルアーを流れに乗せ、ある程度沈ませてからダブルアッパートゥイッチを入れる。

ラインは常にテンションを保つようにリーリング。
自分とルアーを一直線にさせるイメージだ。


キラッ!キラッ!とさせてスーッと流す。


キラッ!キラッ!

スーッ・・・・・・

キラッ!キラッ!キラッ!

スーッ・・・


『ガツン!ジジジーーッ!!』



「よし食ったぁ!」


ひったくる様にバイトした瞬間、すぐに銀色の魚体が水面から飛び出した!

本命だ!


TOMMYがドラグを締める間もなく、そのままヤツは下流の瀬に走った!

強い!
恐ろしく強い引き!


(やべぇ!あそこに入られたらアウトだ!)

ドラグよりも先に、リールを手で押さえ走りを止めた!

そのまま少しづつ後ろへ下がり、瀬から魚を遠ざける。

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自分の立ち位置がオフサイドラインを割ってしまったが、掛けたのはフィールド内だ、ペナルティエリア外だろ!(笑)

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そこからサクラマス特有のローリング、ジャンプ!猪突猛進の如き走り!

(すげぇ!ものすげぇファイトだぜ!)

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危うく、股抜けまでされそうになったが、時間を掛けてジリジリと間を詰め、

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渾身のネットイン!

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「よっしゃ穫ったぁ!」

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ERDAのテールフックががっちりとフッキング。
これならば、まずバレる事はない。

それよりも解禁からずっと使い続けていた、残り30cm程しかなかったリーダーの方がはるかに心配だった(笑)。

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PM1:30。
前回よりもサイズアップの、56.3cm、1.9kgの素晴らしい魚体だった。



ファイト中、隣でずっと写真を撮ってくれていた盟友「ごっさん」が歓喜の声で讃えてくれた。
こうしてまた、新たに魅力に取り憑かれたアングラーが一人誕生した(笑)。



場所を移動してから、僅か三投目の出来事。

釣れない時は何をやってもダメなのに、釣れる時はこうもあっさり釣れてしまう。

今回は何より、様々なファクターを絞り、狙って穫れた事が最高に嬉しかった。




あれから一週間・・・


ランディングネットにオイルを塗りながら想う。


もう一度・・・
もう一度あの銀鱗に・・・
次は60cmオーバーを・・・


今日も変わらず“魔性の魅惑”はTOMMYを九頭竜川へと誘っている。


この誘いは6月の禁漁を迎えるまで、到底断れそうもない・・・。
 
 
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