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月夜舞闘

  • ジャンル:釣行記


梅雨入り宣言がされて二週間。

しかしそのうち、雨が降ったのはたったの二日間だけという、ここ名古屋界隈・・・。


TOMMYのホーム「木曽川」も田んぼの水引きと相まって、かなりの渇水気味。
極めて魚の活性は低いまま・・・。


水害が起きる様な雨量は困りものだが、魚や人、それに植物や穀物にとっても、ある程度の降雨は欲しいところ。


河川の水量が一気に増えれば、途端に魚のスイッチが入る事は解っているのだが、そいつを悠長に待っていられる程、TOMMYの渇きは潤ってはいない。


魚に対する飢えと渇きは、こんな乏しい時だからこそ余計に強くなるってものだ。


したがって、数より型。

この渇きを一瞬で潤してくれる様な魚との闘いがしたい。



そう思っていた矢先、
「TOMMYさん、今夜行きませんか?」


13日の金曜日。
同じ様に飢え渇いた仲間からのお誘いだった。

「NAOU」君だ。


お互い翌土曜日は、朝から仕事。
状況が良くない事は百も承知。

それでも即答。


「行こう!」




この日は下げ6分頃からの入川。

やはり流れは乏しく、さし当たって釣れる要素はこれと言ってない。

しいて言えば大潮の夜。
それも何十年かに一度だと言われる様な、素晴らしい満月が水面を明るく照らしていた。



何の反応もない時間が、やけに長く感じられた。

来た時よりも随分と下げは効き、流れが徐々にではあるが強まっていく・・・。

そんな流れの先に、ERDA86(パンク)を投入し、流心を掴ませるとゴゴンとこの日初めてのバイト。

「食ったわ」


しかし、一瞬でフックオフ。

渇きを潤してくれる様な魚ではない事が瞬時に伝わり、やり取りを怠慢にさせてしまった。

その後TOMMYにはアタリすらなし。

ムキになってルアーをあれやこれや投入するも、3つもロストしてしまう始末。

釣れてくれた魚に敬意を払わなければ、当然“釣りの女神”からはこんな報いも受ける。

釣果にとらわれ過ぎると、大事なモノを失うぞといった、典型的な見本だ。


NAOU君は50cmクラスを一本釣り上げたが、やっぱり納得がいかない様子。
写真を撮っている最中に逃げられて天を仰いでいた。

女神はちゃんと見抜いていたのだ。




翌日。

女神のご機嫌を伺いに、二夜連続で木曽川を訪れる。
この日は「クドウマオ」君と二度目の釣行。


前日の寂しい釣果にも関わらず出撃したのには訳がある。

昨晩の状況から察するに“時合い”が一つのカギとなっているのではないだろうかと、TOMMYは考えたのだ。


TOMMYが足繁く通っている河川には、たしかに“魚の食うタイミング”がある。


上流部から下流部まで、魚のスイッチが入るタイミングが微妙に違うのだ。

逆に言えば、狙って穫れるタイミングが在ると言う事。

じゃあ常に時合いに合わせて釣りをすればいいじゃねーかと思われる方もいるだろう。

もちろんそれが出来れば、ずっと釣れる(笑)。


しかしそう簡単にはいかないのが、この釣りの難しい所であり、またおもしろい所でもある。


時期、水量、水温、潮回り・・・それぞれが常に変動する為に、中々時合いを掴み切れないのが、難しいたる所以。


ただし今回の様に雨も降らず、また、前日とタイドグラフもさほど変わりがなければ、ある程度のタイミングは掴む事が出来る。


この日はそいつを掴んでいた。


そして更に釣れる要素を一つずつ繋げていく。

水色、レンジ、光量、ベイトの有無、ベイトのサイズ・・・

それらの情報を元に、TOMMYは使用するルアーやカラーを代える。

そして今、最もオールマイティーにマッチしているのが『ERDA86』。
次いで実績の高いのが、アイルマグネット、ジランダ、ビーフリーズなどである。






一ヶ所目。

流れの効き出すタイミングより入川。

上手、下手と二手に別れて探りを入れる。

開始から10分。
TOMMYのERDAパンクを静かに押さえ込む様なアタリ。


下げ5分という時間が織り成す激流のファイト!


恐ろしいファイトを魅せて上がって来たのは、58cmの猛鱸。

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「このサイズであのファイトですか!?めちゃくちゃロッド曲がってましたよ!」

興奮気味でこう話していたマオ君。


「きっとまだいるから頑張って・・・」


震える左手をひた隠し、TOMMYはそう告げた。




流れがより一層強くなり、先程まで狙っていた流心が、更に沖目へと移動した。


昨夜と変わらず煌々と照らす満月が、流心のさざ波を影絵の様に映し出している。

しばらくすると、先程まで吹いていた風が止んでやけに静かな夜になった。


ピンと張り詰めた空気・・・・・・。

体と精神が自然に溶け込んでいくのがわかる。


やがて訪れる、全身の毛が逆立つ様なピリピリとした感覚。


(いる。デカいヤツが目の前に・・・。)




集中力を高め、二人で流れを斬る様にルアーを投げ続ける。



が・・・・・・・・・


その後は沈黙。
流れは消え失せ、ボラの跳ねる音だけが遠くでこだましていた。


粘るか追うか・・・
選択を余儀なくされる。



「よし!移動しよう!」


ここで前夜の上流部。
下げ九分からのギリギリの時合い。

こいつに的を絞る。


実は冒頭に話した『鍵となる時合い』。
前夜はこれを待たずして帰ってしまったのだが、この時間帯、この潮位こそが勝負所だったのではないのかと感じていたのだ。


(間に合うか・・・)

とにかく急いでポイントへと向かう。


すると、昨晩NAOU君と浸かった流れの先にはヘッドライトが二つ、ぼんやりと点っていた。


(あちゃ~)

土曜の夜。
こればっかりは仕方ない。


挨拶がてら話を伺ってみると、
「数時間、上から下までやりましたけど今日はさっぱりですわ」と。


「そうですかぁ・・・。じゃあ僕らも少しだけ頑張ってみます!下に入らせてもらってもいいですか?」


どうぞどうぞと、快く下流へと入らせてもらった。



やはり下げが進み、昨夜よりも流れは強く感じる。


実績の高い場所をマオ君に撃ってもらい、TOMMYは更に下流へと歩を進めた。


月に照らされた、流れの払い出し部分にERDAを投入。
流れに乗せてボトムギリギリまで送り込み、ハンドルをゆっくりと回しながら流れの“芯”を探す。


ERDAが千鳥足でそいつに入ったのを感じた所で、千鳥モードから“舞踏モード”へ。


パンパン!

ダブルアッパートゥイッチで小気味よく、そして妖しく踊らせて、またテンションフォールで送り込む・・・・・・





ドスッ・・・・・・・・・ジジジジジーーーッ!!



「おっし!食った!」

合わせを入れる間もなく、一気に下流へと走られる!
慌ててスプールに手を掛け、ロッドごと持って行かれそうな勢いを強引に止めた。



ブルッ!


「あーっ!」


痛恨のフックオフ・・・・・・。
フロントフックが一瞬で伸ばされており、もう一方には顎鱗が付いていた。


(またやっちまった・・・。止める前にしっかりと合わせを入れるべきだった。)


悔やんでいても仕方ない。
フックのゲイプを元に戻し、気を取り直して次の一投。


同じ様に流れの中で“千鳥演舞”を披露・・・


すると・・・・・・


ドスン!


何と連続ヒット!

今度はしっかりと合わせを入れ、ジリジリとドラグを出されながらも、二度、三度と追い合わせをお見舞いする!


直ったばかりのエンゼルが、幾度も締め上げられて肝を冷やしたが、どうやら今回は万全の仕上がり。


少しずつ後退しながら間合いを縮め、最後は隙を突いて一気に岸へズリ上げた。

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太い。

計測の結果は72cm。

デカいヤツをバラした直後、それでも釣れてくれたとても満足の行く魚だった。

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それから流れが緩む潮止まり目一杯まで、マオ君に付いて探ってみたが、この日はこの魚で終了となってしまった。


「いや~凄く出そうな気がしました。楽しかった!まだまだ経験不足っす!」


そう言って笑うマオ君。

たしかに簡単ではない。
場所、タイミング、釣り方は教える事が出来ても、その先は自分で掴むしかないのだから。


でもきっと彼は、近い内に“釣りの女神”から恩恵を受けるだろうなと、TOMMYはそう思った。




その日の晩、持ち帰った58cmを感謝の気持ちを込めて調理。

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(鱸と男爵のカリカリポワレ~バジル薫るクリームソース~)


残りは刺身と霜降りで。


そいつを嫁さんと子供達に瞬殺された、父の日の夜だった・・・。




既にTOMMYの体は渇き始めている。

潤いを求め、次はどこへ向かうべか。

 

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