ある

夏の日

ブルーギルを

狙って

釣りをしていた


炎天下の中

釣り人は

自身と

もう一人

ご老体


ご老体は

木陰に

陣取り

延べ竿を

片手に

ラジオを

聞いていた


ふと

こちらに

気づいた

ご老体


にいちゃん

ちょっと

こっち

きてみ～


と

笑顔で

手招き


人懐こい

そんな

印象を

受ける表情に

警戒心もなく

傍まで

歩いていった


傍に

立つと

ご老体は

笑顔で

水筒の

蓋を開け

コップに

液体を

そそぎ


こちらを

向いて


暑い中

ご苦労さんやな

おたがい

がんばろな


っと

またも

笑顔で

声を

かけてくれた


ありがとうと

お礼をのべて

口にした

水筒の

中身は

サイダーでした


遠足なら

怒られるよね

何て

思いながら

ちょっと

温くなった

サイダーの

甘さが

身に染みた

夏の日でした


ご老体は

その後

三十分も

しない内に

帰って

いきはりました


孫みたいな

感じだった

のかな？


と

いまさら

考えてみたり