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▼ カナダ釣旅記④ ~世界遺産と夢の魚~
- ジャンル:日記/一般

早朝の薄暗いハイウェイを西に走らせる。
向かう先は、カナダで世界遺産に登録されているロッキー山脈自然公園群の一つ「バンフ国立公園」だ。
ザ・カナディアンネイティブと言ってもいいほどの景色が広がるこの地には、ムースやエルク、ブラックベアーなど多くの野生動物の生息が確認されている。
この地を流れるはボウリバー。
カルガリーのダウンタウンで釣りをした川と同じで、そこからさらに上流に行くとこの地に辿り着く。
狙うは夢の魚、ブルトラウトだ。
写真と動画、つまり画面を通した「向こうの世界」でしか見たことのない憧れの魚である。
夢をこの手に。
徐々に縮まる距離に心を焦がした。

2時間も車を走らせると、周りの景色が変わってきた。
針葉樹の森はより一層深く影を作り、遠くに見えていた山々の岩肌は険しさを増す。
夢が待つ地はしたたかな存在感を持って静かに我々を迎え入れた。
車を停めて外に出る。
気温はカルガリーのダウンタウンよりも3,4℃低いといったところか。
川の様子を伺うと、そこには写真や動画で見た白濁した青い水が静かに流れている。

水面の爆発が目に浮かぶ。
川見もそこそこに支度を済ませ、釣り開始だ。
二手に分かれて釣り進む。
先ずはミノーから。
朝一のスタートで反応するか心配だが、水温は思ったより高く、陽が昇り切っていない朝でもいけるのではないかと。
一本目、小さなブラウンが直ぐに釣れた。
本流から外れた細い流れの曲り角、そこに倒木が絡む一級ポイント。

ここぞというポイントでこのサイズが出てしまうのはなんだか先行き不安だが、朝からミノーに反応することが分かったことは大きい。
照準はこのままに釣り進む。
暫くして、本流を分断する小島のような中洲が見えてきた。
中洲のへちは、頭にいくほど深く掘れていて、尻尾は緩やかなかけ上がりとなって岸と中洲を結んでいる。
夢はここに居た。
岸と中洲の間、流れが落ち着く小さなプール。
岸に向かってルアーを放り、流れに乗せながら揺らりゆらりと命を吹き込む。
その回収間際、ルアーが流れに対して頭を向けた直後、青白い水の底から巨大な頭がゆっくりと浮上する。
徐々に縮まるルアーとの距離に心臓は今にも爆発しそうだ。
だが、ルアーはとうとう最後まで泳ぎ切ってしまった。
巨大な頭は白濁した水中へと姿を消す。
詰め切れなかった。だが、胸の高鳴りは最高潮だった。
いる、間違いなくいる。
一旦、高揚した気持ちを落ち着かせようと深呼吸をするも、平静とはほど遠く、顔は笑い、身体は震えた。
これが武者震いというやつか。
こういった時、煙草を吸う人は一服入れるのであろう。
自分はと言うと、その場で固まりながら少しの時が経つのを待つのがやっとであった。
戻る場所は確認していた。
再び戦闘態勢に入り、周りの状況を確認する。
あそこには走らせてはならないだの、ランディングはあそこに誘導するだの。
一通りの流れが頭の中で鮮明に描けたところで、静かに小さく竿を振った。
ルアーは水面に小さな波紋を残し、水に馴染む。
ハンドルを2回、3回と巻き始めたところで重たく鋭い衝撃が手元に伝わった。
恐竜のような風貌をした頭は激しく水面を叩き、分厚く発達しエナメルラインの入った胸ビレが閃光を放つ。
自分と夢とを繋いでいる唯一の糸は細く頼りない。
だが、そんな心配は関係なしに糸は上下左右に川を切っていく。
それに合わせて自分も川を上ったり下ったりを繰り返す。
周りの仲間も興奮していて何かを叫んでいるのだが、そんなことはちっとも自分の耳には入ってこない。
今、自分が居る世界は、糸の端と端にいる両者の他に誰も居ないのだ。
そんな極限状態の中、何とかやり取りをしているうちに少しずつプレッシャーがかかり、荒ぶる猛牛の手綱が掴めるようになってきた。
残すはランディングのみ。
両手で網を握るRYUくんの元へ誘導する。
入った。
急いで安全地帯まで魚を運ぶ。
獲った。ついに獲ったのだ。
この瞬間のために、今まで全ての事を頑張ってきた。
この瞬間のために、カナダまで来た。
そしてこの筆舌し難い感動があるから旅は止められない。
随分と引っ張ってしまったが、ご覧ください。
これがアッパーボウに潜む希少種、ブルトラウトだ!!


仲間とガッチリ握手をして、喜びを分かち合う。
夢をこの手にすることができた。
感慨に浸る間もなく、魚を元の世界へと戻す。
カナダありがとう。
その後は何だかふわふわした余韻を感じながらも、少し撃ってみる。


が、魚からの反応は乏しく作戦会議の末にここから少し下流にあたるキャンモアという場所まで下りてみようということになった。
30分も走らせると、車は目的の場所に辿りついた。

だが、釣れない。
また下る。

ここも、思うような魚は姿を現さない。
釣れるのは30cmに満たない魚ばかり。
と、ここで先ほどから気になっていた魔の手がいよいよの位置まで迫ってきた。
魔の手の下は目に見えるほどの豪雨で霞んでいる。

雨はともかく、雷に打たれてはいけないとこの日は竿を畳むこととした。
カルガリーに戻り、夜ご飯を食べにパブへ。
注文したのは、フィッシュ&チップスとバッファローウィング的なもの。

味は極めて普通。
何となくカナダの食事情が分かってきた夜であった。
何はともあれ、今日一日最高の時を過ごすことができた。
今はただ、その喜びだけを噛みしめたい。
まさかこんなにも早く念願のトロフィーを手にすることができるとは思ってもいなかった。
明日からは、拠点としてきたカルガリー市内のドミトリーをチェックアウトし、それからは気の向くままの車旅。
そこにどんな出会いと感動が待っているのか。
楽しみだ。
つづく。

- 2014年9月16日
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