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▼ 九州の干潟と阿蘇の意外な関係?
- ジャンル:日記/一般
皆さん釣りを自粛されているためか、fimo内のログも以前よりも心なしか減っている気がしますね。
こんな時だからこそ、暇つぶしになるような記事を提供できればなと思っています(^O^)
今回はシーバスポイントでもある干潟の話。
九州には日本最大の干潟である有明海や八代海などの大規模な干潟がある事が知られています。
では、そもそもこれらの干潟はどうやって形成されたのか?
これに関して、私は九州の人間ではないのですが、一般の方よりも少しだけ自然科学に知識がある人間ですのでお話してみたい思います。
あまり釣りに関係する話でもありませんし、ちょっとマニアックな話でもあるので興味のある方だけ読んでみてください。
有明海に干潟が形成された理由
広大な干潟が広がる有明海ですが、そこに干潟が形成された最も大きな要因は、
閉鎖性の高い海域
であるという事。
有明海は、非常に奥まった場所に位置していて、海水の交代性が非常に悪い海域と言えます。
潮汐は4mを超えるほど大きいですが、外海との接点は主に島原半島と天草の間の早崎瀬戸という狭い海峡からしかありません。
南側に位置する八代海とも繋がっていますが、こちらも同じく干潟で閉鎖性の高い海域です。

つまり、湾奥、もしくは汽水湖のような形になっていて、潮汐によって同じ海水が有明海に出たり入ったりしているだけの状態になっています。
これでどうなるかというと、大雨の時に筑後川や白川、緑川などといった河川から供給された土砂が有明海から外に運ばれることなく堆積します。
潮通しの良い場所ならば、川から運ばれた土砂(濁り)の大部分は潮に乗ってどこかに行ってしまうのですが、有明海にこの土砂の運搬作用が著しく低いと推察されます。
なので、海底には濁りの素である細かい粒子の粘土がしずしずと溜まっていくことになります。
つまり、有明海は潮通しの良い海域よりも土砂の堆積速度が早いため、どんどん土砂が溜まっていって浅い干潟が形成されたと考えられます。
もうひとつの要因
上記は一般的な話なのですが、
実は、有明海に干潟が形成されたもうひとつ理由があります。
それには、
阿蘇山の大噴火
が関わっています。
九州の中央部に位置する阿蘇山は、過去4回の巨大噴火を起こした事が分かっていて、約9万年ほど前には阿蘇史上最大の超巨大噴火が起きています。
これは「破局噴火」とか「カルデラ噴火」とか呼ばれるもので、恐らく皆さんの想像を絶する規模の噴火です。
イメージとしてはこの画像に近い噴火であったろうと思われます。

NEWTONより
破局噴火レベルになると、上にズドーンと吹き上げる噴煙だけではなく、地を這う600℃くらいの高温の火山灰や軽石を伴った高密度のガス、つまり火砕流が大量に発生します。
そして、火砕流は火口から100km以上離れた場所にまで地を這いながら到達する事が分かっています。
これによって九州全土は焼け野原になり、マグマが噴出した事によって形成された地下空洞が陥没したことで直径20kmにも及ぶ今の阿蘇カルデラが形成されました。
もし現代でこのレベルの噴火が起きた場合、日本の人口のうち最大で1億人が命を落とすと試算されています。
そんな9万年前に発生した阿蘇史上最大の破局噴火は
阿蘇4噴火
と呼ばれています。
(阿蘇の4回目の巨大噴火という意味です)
この阿蘇4噴火によって発生した火砕流は堆積物(地層)としてその一部が今でも残っています。

こんな感じで分厚く堆積しています。
これが九州全土を覆ったんですね。

近づくと、石のようなものが沢山ありますが、これはスカスカの軽石で、その間を火山灰が埋めています。
どちらも噴火の際にマグマが急激に冷えて形成されたもので、マグマそのものです。
それで、この阿蘇4火砕流はどこまで到達したのかというと、

https://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/aso/text/exp04-1.html#
ピンク色の部分が今でも地表に残っている火砕流堆積物です。
赤の破線は私が追記したもので、火砕流のおおよその到達範囲です。
これをみると、阿蘇の西側に位置する熊本県では、有明海を越えて、島原や天草にまで到達している事が分かると思います。
9万年前は氷河期の時代であったので、今よりも海水準は30m位低いと言われて、有明海が当時も海であったかは分かりませんが、
今の有明海の地下には阿蘇4噴火の火砕流が5~10m位埋まっている事がボーリング調査や海底探査などで分かっています。
そして、それから9万年も経過していますので、その間に熊本の陸域に堆積した柔らかい火砕流が雨による侵食作用で土砂流となってどんどん有明海に流れ込んでいきます。
つまり、有明海は、閉鎖性の高い海域で土砂が堆積しやすい環境であった上に、
①9万年前の阿蘇4噴火の火砕流が流れ込んで10m位浅くなった。
②その後、地表の火砕流が侵食されて大量に有明海に流れ込んだ
というプロセスの結果、海が浅くなり広大な干潟が形成された
という事になります。
周防灘と中津干潟
実は、九州にはこの有明海と似たようなプロセスで形成されたと思われる干潟がもう一つあります。
それは九州北部にある中津干潟。

中津干潟は九州と本州(山口県)を隔てる周防灘の南側に位置する干潟です。
周防灘は瀬戸内海の最西端で、西側は関門海峡というとても狭い海峡で日本海と繋がっています。
つまり、ここも湾奥のようなどん詰まりの場所で、有明海と同じく海水の交代性が悪い海域と言えます。
そして、阿蘇4噴火の火砕流はこの周防灘を横断して本州の山口県にまで達している事が分かっています。
本当かよ?と思うかもしれませんが、火砕流は密度の濃いガスの一種なので、水の比重よりも軽い場合であれば理論上では水面を滑って渡ることが出来ると言われています。
ただし、阿蘇4の場合だとその大部分は海中に沈んだと思われ、一部が山口県に到達したと思われますが。
その根拠としては、現在の周防灘が水深が20~30m程度と周りの瀬戸内海と比べて浅い海域である事。
つまり、周防灘の地下にも阿蘇4噴火で発生した火砕流が厚く堆積している事が推察されます。
そして、中津平野を流れる山国川によって削られた陸域の火砕流が流入して中津干潟が形成されたと推察されます。
中津干潟の形成プロセスに関しては近傍の調査データが少なく、私の推測に過ぎないのですが、中津周辺の地下にも同じく阿蘇4の火砕流が堆積していることが分かってきたので、恐らく間違っていないんじゃないかと思います。
以上、九州の干潟と阿蘇山には意外な関係があるという事がお分かり頂けたのではないでしょうか?
自然科学に興味がある方や周辺をホームフィールドとする方々に、へぇ~っと思って頂けたら幸いです(^O^)
ちょっと違うよという意見や、素朴な疑問などがありましたら、私のわかる範囲で答えますのでコメント欄からどうぞ。
こんな時だからこそ、暇つぶしになるような記事を提供できればなと思っています(^O^)
今回はシーバスポイントでもある干潟の話。
九州には日本最大の干潟である有明海や八代海などの大規模な干潟がある事が知られています。
では、そもそもこれらの干潟はどうやって形成されたのか?
これに関して、私は九州の人間ではないのですが、一般の方よりも少しだけ自然科学に知識がある人間ですのでお話してみたい思います。
あまり釣りに関係する話でもありませんし、ちょっとマニアックな話でもあるので興味のある方だけ読んでみてください。
有明海に干潟が形成された理由
広大な干潟が広がる有明海ですが、そこに干潟が形成された最も大きな要因は、
閉鎖性の高い海域
であるという事。
有明海は、非常に奥まった場所に位置していて、海水の交代性が非常に悪い海域と言えます。
潮汐は4mを超えるほど大きいですが、外海との接点は主に島原半島と天草の間の早崎瀬戸という狭い海峡からしかありません。
南側に位置する八代海とも繋がっていますが、こちらも同じく干潟で閉鎖性の高い海域です。

つまり、湾奥、もしくは汽水湖のような形になっていて、潮汐によって同じ海水が有明海に出たり入ったりしているだけの状態になっています。
これでどうなるかというと、大雨の時に筑後川や白川、緑川などといった河川から供給された土砂が有明海から外に運ばれることなく堆積します。
潮通しの良い場所ならば、川から運ばれた土砂(濁り)の大部分は潮に乗ってどこかに行ってしまうのですが、有明海にこの土砂の運搬作用が著しく低いと推察されます。
なので、海底には濁りの素である細かい粒子の粘土がしずしずと溜まっていくことになります。
つまり、有明海は潮通しの良い海域よりも土砂の堆積速度が早いため、どんどん土砂が溜まっていって浅い干潟が形成されたと考えられます。
もうひとつの要因
上記は一般的な話なのですが、
実は、有明海に干潟が形成されたもうひとつ理由があります。
それには、
阿蘇山の大噴火
が関わっています。
九州の中央部に位置する阿蘇山は、過去4回の巨大噴火を起こした事が分かっていて、約9万年ほど前には阿蘇史上最大の超巨大噴火が起きています。
これは「破局噴火」とか「カルデラ噴火」とか呼ばれるもので、恐らく皆さんの想像を絶する規模の噴火です。
イメージとしてはこの画像に近い噴火であったろうと思われます。

NEWTONより
破局噴火レベルになると、上にズドーンと吹き上げる噴煙だけではなく、地を這う600℃くらいの高温の火山灰や軽石を伴った高密度のガス、つまり火砕流が大量に発生します。
そして、火砕流は火口から100km以上離れた場所にまで地を這いながら到達する事が分かっています。
これによって九州全土は焼け野原になり、マグマが噴出した事によって形成された地下空洞が陥没したことで直径20kmにも及ぶ今の阿蘇カルデラが形成されました。
もし現代でこのレベルの噴火が起きた場合、日本の人口のうち最大で1億人が命を落とすと試算されています。
そんな9万年前に発生した阿蘇史上最大の破局噴火は
阿蘇4噴火
と呼ばれています。
(阿蘇の4回目の巨大噴火という意味です)
この阿蘇4噴火によって発生した火砕流は堆積物(地層)としてその一部が今でも残っています。

こんな感じで分厚く堆積しています。
これが九州全土を覆ったんですね。

近づくと、石のようなものが沢山ありますが、これはスカスカの軽石で、その間を火山灰が埋めています。
どちらも噴火の際にマグマが急激に冷えて形成されたもので、マグマそのものです。
それで、この阿蘇4火砕流はどこまで到達したのかというと、

https://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/aso/text/exp04-1.html#
ピンク色の部分が今でも地表に残っている火砕流堆積物です。
赤の破線は私が追記したもので、火砕流のおおよその到達範囲です。
これをみると、阿蘇の西側に位置する熊本県では、有明海を越えて、島原や天草にまで到達している事が分かると思います。
9万年前は氷河期の時代であったので、今よりも海水準は30m位低いと言われて、有明海が当時も海であったかは分かりませんが、
今の有明海の地下には阿蘇4噴火の火砕流が5~10m位埋まっている事がボーリング調査や海底探査などで分かっています。
そして、それから9万年も経過していますので、その間に熊本の陸域に堆積した柔らかい火砕流が雨による侵食作用で土砂流となってどんどん有明海に流れ込んでいきます。
つまり、有明海は、閉鎖性の高い海域で土砂が堆積しやすい環境であった上に、
①9万年前の阿蘇4噴火の火砕流が流れ込んで10m位浅くなった。
②その後、地表の火砕流が侵食されて大量に有明海に流れ込んだ
というプロセスの結果、海が浅くなり広大な干潟が形成された
という事になります。
周防灘と中津干潟
実は、九州にはこの有明海と似たようなプロセスで形成されたと思われる干潟がもう一つあります。
それは九州北部にある中津干潟。

中津干潟は九州と本州(山口県)を隔てる周防灘の南側に位置する干潟です。
周防灘は瀬戸内海の最西端で、西側は関門海峡というとても狭い海峡で日本海と繋がっています。
つまり、ここも湾奥のようなどん詰まりの場所で、有明海と同じく海水の交代性が悪い海域と言えます。
そして、阿蘇4噴火の火砕流はこの周防灘を横断して本州の山口県にまで達している事が分かっています。
本当かよ?と思うかもしれませんが、火砕流は密度の濃いガスの一種なので、水の比重よりも軽い場合であれば理論上では水面を滑って渡ることが出来ると言われています。
ただし、阿蘇4の場合だとその大部分は海中に沈んだと思われ、一部が山口県に到達したと思われますが。
その根拠としては、現在の周防灘が水深が20~30m程度と周りの瀬戸内海と比べて浅い海域である事。
つまり、周防灘の地下にも阿蘇4噴火で発生した火砕流が厚く堆積している事が推察されます。
そして、中津平野を流れる山国川によって削られた陸域の火砕流が流入して中津干潟が形成されたと推察されます。
中津干潟の形成プロセスに関しては近傍の調査データが少なく、私の推測に過ぎないのですが、中津周辺の地下にも同じく阿蘇4の火砕流が堆積していることが分かってきたので、恐らく間違っていないんじゃないかと思います。
以上、九州の干潟と阿蘇山には意外な関係があるという事がお分かり頂けたのではないでしょうか?
自然科学に興味がある方や周辺をホームフィールドとする方々に、へぇ~っと思って頂けたら幸いです(^O^)
ちょっと違うよという意見や、素朴な疑問などがありましたら、私のわかる範囲で答えますのでコメント欄からどうぞ。
- 2020年4月29日
- コメント(3)
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fimoニュース
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5月1日 | 梅の花咲く里川とアマゴ テンカラ竿を手に |
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