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織愛
東京都
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▼ Let it go
- ジャンル:車・バイク
たまには
後ろを向いても
後ろを向いても
良いですか。
顔を上げなくても
良いですか。
良いですか。
4/6が近づいてくると
2003年に引き戻される。
遠く離れた英国で
恐怖に立ち尽くしたあの日。
それからの2週間の苦悶。
そして大ちゃんとのお別れ。
「ありがとう」と「さようなら」を伝えに飛んだ
南アフリカの強烈な陽射しの下で
多くのレースファンがその死を悼んだ。
大好きだった彼が逝って
バイクレースの恐ろしさを目の当たりにして
それでもバイクに乗りたくて
帰国後すぐに教習所に通い始めた。
でも、きっと頭のどこかには
澱のように恐怖が溜まっていて
バイクを操れない自分への不信感と繋がり
体をどんどん強張らせる。
数え切れないほど痣を作って
左手の腱鞘炎に苦しんで
本当に苦労して免許を取って
自分のサイズや力に合うように
愛車のあちこちを改造して
ようやく
本当にようやく。
風を切る感覚を味わえたのに。
ほんの二度の失敗で
恐怖は何倍にも膨らんだ。
タンデムならば平気なのに
自分では運転できない。
自分を信じられないから。
街中でバイクを見る度に
切ない思いが込み上げる
愛しいアランチャ号は
じっと私を待っているのに。
恐怖を克服しようと
改めてスクールにも通った。
幾度も8の字を描き
幾度もクランクを曲がり
それでも。
いざ公道へ
とアランチャに跨ると
とアランチャに跨ると
吐き気と共に恐怖が湧き上がる。
もう、だめなんだろうか。
秋から冬にかけては
教習所での涙を思い出し
クリスマスには
免許を手にした感激を思い出し
誕生日の頃には
公道に出られる喜びを思い出し
桜の季節には
大ちゃんを思い出す。
Moto GP開幕と共に
興奮は蘇り
緑濃くなる季節には
Mad Sundayを思い出し
狂おしいほどに
心が震える。
Mad Sunday.
マン島TTのレース直前。
世界中からバイクを愛する人々が集まり
速度制限無しのレースコースを爆走する
文字通り、Crazyな週末。
緑のトンネルを抜け
(バイザーは虫まみれ)
パブの目前を旋回し
(石垣が近い!)
潮風が吹き付ける丘を
深く前傾して
一気に駆け上る
一気に駆け上る
肩越しに覗いた速度計は
90m/hを越えているのに
タンデムの私たちを
何台ものバイクが抜いていく。
一体何マイル出しているんだろう?
というライダーが、メットを取ると
ホンダが初優勝を飾ったTTを
知っていそうな年代だったりする。
海鳥に占領される小島の如く
島中をツナギ姿のライダーが埋め尽くす。
島のどこにいても
爆音が聞こえてくる。
島中がバイク一色になる
100回を越えたお祭り。
100回を越えたお祭り。
三本脚の神様に
石垣の上の妖精に
またいつか会いに行きたい。
もちろん、バイクに乗って。
誰かの後ろでも良い。
バイクの振動に合わせて
身も心も震えるあの瞬間に
また出会いたい。
『焦がれる』というのは
きっとこういう心持ち。
けれど、天国の島は
どんどん遠ざかっている。
けれど、天国の島は
どんどん遠ざかっている。
諦めるのは嫌い。
自分に負けるのは大嫌い。
でも、今は負けを認めよう。
下を向いて
唇を噛んで
己の不甲斐なさに
打ちひしがれよう。
バイクに、釣りに
導いてくれた相方と別れても
釣りは続けることが出来たけれど
今は一旦諦めよう。
導いてくれた相方と別れても
釣りは続けることが出来たけれど
今は一旦諦めよう。
さようなら、かわいいアランチャ。
甲斐性無しで、本当に
本当にごめんね。
本当にごめんね。
磯部孝夫 写真展 part.1
2011.03.20 〜 04.13
@中村アーツ
東京都台東区東上野1-3-2
東京都台東区東上野1-3-2
Tel & Fax 03-5812-4094
- 2011年3月31日
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