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▼ 乱釣
- ジャンル:釣行記
あぁ・・・随分と時が経ってしまった。
相変わらず忙殺される毎日・・・。
子供を寝かしつけるだけのつもりが、いつの間にか夢の中・・・。
日に日に薄れゆく、“あの時”の光景・・・
そりゃそうだ。
あれから既に二週間が経とうとしているし、その間の先週末には南紀へも釣行しているのだから。
それでも、未だ鮮烈に残っている場面・・・
断片的になってしまうかもしれないが、前回の続きとしてここに記録しようと思う。
3月31日、AM8:00。TOMMYは飛騨宮川にいた。
今年初となる渓流魚、“尺足らずの岩魚”を釣り上げたTOMMYは、満を持し、対岸の猛者達集うリングへと、場所を移したのであった。
空が分厚い雲に覆われている。
時間がない。
やがて訪れるだろう雨が水面を叩けば、文字通り水の泡。
雪代が落ち着き、水温と共にやっと上がりだした鱒達の活性が、一気にクールダウンしてしまうからだ。
夏の雨は「恵み」の雨。
春の雨は「嘆き」の雨・・・だ。
急いで崖を下り、ベストポジションを陣取るTOMMY。
まずは、先週反応の良かった赤系のスプーンを装着し、脈々と流れる太い流心へキャスト。
ボトムから中層を意識しながら、ゆっくりとリトリーブしていく。
ハンドルを回す手が震える。
いつデカイのが来てもおかしくない状況。
しかし期待とは裏腹に、魚からの反応はまったくない。
ここでギアを一段上げる。
装着したのは、邪道「冷音 14g サラマンダー」。
コイツを流心へキャストし、ボトムからのリフト&フォールで誘う。
水深は4m。
所々に点在する、大岩や倒木をかわしながら、ロッドワークでその脇に出来るヨレを探る。
この辺りが磯のヒラスズキゲームと酷似している。
習性こそ違えど、魚のフィーディングエリアは磯も川も同じなのだ。
その一投目。
TOMMYの操る冷音のすぐ後ろに、デカレインボーの姿!
(食え!食え~っ!)
しかしTOMMYの姿に気付いた虹は、寸前の所で一目散に深みへと消えていってしまった。
(あの感じはスレてるな・・・)
そう感じたTOMMYは、冷音をイージーホールからテクニカルホールへ。
小刻みにアクションを加え、よりスピーディにリアクションバイトを拾う作戦に切り替えた。
すると、今度はまたもやイワナがヒット!
朝に釣った魚よりもワンサイズ小さい感じ。
しかし掛かりが浅かったのか、抜き上げ時にバレてしまった。
リアクションバイトを拾う時はコイツが悩み所だ。
シーバスやバス等の吸い込み系の魚に比べると、トラウト系の口は思った以上に小さい。
更にトラウトは、アタックした後、その場で捕食する傾向が強い。
餌を咥えた後、反転する事が極端に少ないのだ。
それ故に重みが伝わらず、フックがしっかりと刺さらないのがバレやすい原因の一つだとTOMMYは考察する。
よって如何に違和感なく、しっかりと食い込ませる事が出来るか・・・。
それが一番の課題となる訳だ。
そしてそれを強く印象付ける瞬間が、間もなく訪れる。
つづく・・・
いやいや!うそうそ!
今、色んな方達のもの凄い形相が見えましたわ(笑)
解禁から一ヶ月。
これだけの大場所であれば、少なからず毎日の様に人が投げている筈。
魚がスレるのも無理はない。
しかし「冷音」に反応が良かった事から、必ずルアーを追う魚はいるだろうと確信したTOMMYは、レンジをサーフェイスに絞った。
スレた魚を相手にしている時間はない。
やる気のある魚だけを狙って行く。
ここでBassdayの「DRIFT TWITCHER」 7cm 鮎カラーにチェンジ。
そしてその一投目。
流心を横切る様に、細かいトゥイッチを入れながらU字を描いた所で、もの凄いスピードで魚が後方から飛び出して来た!
金色に光る魚体・・・
体じゅうに散りばめられた黒点・・・
『ブラウンだ!!』
しかもデカイ!
そのまま金色の魚は、TOMMYのルアーにバイト!
渾身の合わせ!
グネッ!グネッ!と二度、イワナの様なもんどりを打った後、レインボー
の如くトルクフルな走りを見せた!
「うおぉ!ブラウンだ!ブラウンだぁぁ!カッコええ!カッコ良すぎるぜブラウン!」
体中から噴き出すアドレナリン!
TOMMYは遂に、念願のブラウンとのファイトに漕ぎ着けたのである!
そこからヤツは二度、水面高くジャンプを決めた!
TOMMYの足場は水面から1m程。
恐らく50cm位は飛んだと思われる。
時間をかけている暇はない!
足元には崩れた大岩がゴロゴロと転がっていやがる。
このままじゃどう考えても分が悪い。
(駆け下りて獲るか、そのままブッコ抜くか・・・)
ここで先週のレインボーが頭を過ぎった。
弱らせるのを待って、ランディングしようとした後のバラシ・・・。
TOMMYは意を決し、思い切って“ブッコ抜く!”を選んだ。
「お~ぅりゃぁぁぁ!!」
TOMMYの目線まで魚が上がったその瞬間!
ダッパ~ン!!
無情にもフックが外れ、金色の魚は川へと落下した。
「のぉぉぉぉぉぉぉ!!」
TOMMYの虚しい叫びがまたもやコダマする。
震える体で水面を覗き込むと、大岩の際に身を寄せているブラウンが見えた。
水面に落ちた際、軽い脳震盪を起こしたのだろうか。足に・・・いや、尾鰭にきているように見えた。
(飛び込むか・・・)
そんなバカげた事を考えている内、しばらくするとブラウンはまた深い闇へと姿を消してしまった。
興奮覚めやらぬまま、TOMMYは上の空のまま次の一投を放った。
すると、何と言う事だ!
またもやTOMMYの操るルアーの後ろにブラウンの姿があるではないか!
姿形もまるで同じ様なサイズ!
(まさか同じ魚か!?打ち所が悪かったのか!?)
今度はルアーを食いきれない様子!
TOMMYの繰り出すトゥイッチに、何度も首を振り、口を開けて追いかけて来る!
(食え!食え~っ!!)
そしてピックアップ寸前の所で、テールフックに食らいついたブラウン!
「フィーッシュ!!」
しかしどう見ても掛かりが浅い!
(今度は慎重にいかねぇとヤバい・・・)
と、駆け下りて回り込もうとした瞬間、「フッ・・・・・」
「What?」
二度ある事は三度ある。
またもや!
またもやバラシてしまったのだ!
そして程なくして打ちつける雨。
ズブ濡れの、完全KO。
結局この日のTOMMYは、イワナを一本獲ったのみで終了。
(この日活躍してくれたルアー達)
スコボコにされたけどさ、また行くよ・・・。
そしてもう一度言ってやるんだ。
『また来年!』
って・・・。
- 2013年4月13日
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