いたわりと傷と

  • ジャンル:釣行記
「前々から言おうと思ってたんだけど...、もう、やめにしない?今ならまだ、傷の無いうちに終わらせられるから」

「まぁそういうな。俺はまだお前と一緒にいたいんだ。」


分かってんだ、そんな事は。

このままだと、お前に傷を負わせてしまうかもしれないこと。

それでも一緒にいたいということ。

そして結局、最後は黙って許してくれるということ。










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そのせいで、何度も失敗した。

目も当てられない傷を負わせ、自分の元から去ったものも少なくない。


お前だってそうだろ?前に何人の手の中で過ごしてきた?


大事にされたか?いたわってもらったか?
答えたくはないよな。少しくらい聞かせてくれたっていいのに。






やっぱり今回は、いや今回はきっと…。













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すっかり秋のそれとなった夜風が、ベランダでほぉっと一服していた俺の頬を撫でる。

煌々と輝く満月を見ていると、今が夜であることを忘れ、一瞬、時が止まったような錯覚に陥る。



いっそこのまま時が止まってくれていたら...

あと何度この月を見せてやれるだろうか。

俺はあいつと、あと何回一緒に笑えるだろうか。









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その内側に俺はいくつ傷をつけてしまったのだろう。


決して表に出てこないその痛みを俺はいくつ知っているだろう。




「今日で終わりにしよう。今までありがとうな。」


何も言わない。



何も聞かない。






最後に一緒に過ごした30分。








その掌の上に確かな温もりと抱えきれない程の思い出を残して。














っていうゲームでした今回は。



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