Angler's Circuit 1

  • ジャンル:釣行記
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それはとても静かな夜で凛と冷たい空気が、再発した「熱」を刺すように染み込んできた。
新たな年を迎えて十日、街はいつもの静けさを取り戻している。そんな中、賑わいを見せる一角に向かっていた。「恵比寿神社」ここはまだ正月のような賑わいを見せていた。
「商売繁盛」「家内安全」を祈願する祭、私も自営業故、毎年訪れている。社名や個人名が書かれ、願いが込められた何百という提灯の中、本堂へと向かう列に並ぶ。毎年と同じ光景、だが今年は少し違っていた。

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昨年暮れに思いがけないことがきっかけで再発してしまった「釣りへの情熱」が、今年の恵比寿様を見る目を変えていた。
毎年の願いに一つ余分な願いをし、神社をあとにした…

まずは、二年の間放置していた釣師回路を繋ぎ合わせる作業、それまでの記憶や感覚を今の状況と擦り合わせていく。再構築とアップデート、知り得るすべてのポイントをチェックしていく。

最初に訪れたポイントで、いきなり空白の洗礼を受けることに…。

港湾部に面した通い慣れたポイントに入る。先行者はなし、いつものように期待と不安が入り混じった心地よい緊張を、やや大袈裟に感じながら歩く。

「あれっ…?まいったなぁ…」

そこには、想像していなかった光景が広がっていた…

荒々しい岩盤肌が剥き出しで、使われなくなったスロープと共に小魚や甲殻類の格好の棲家になり、それを求め魚が集まる…
そんな記憶が、目の前の光景の書換えをなかなか受け入れてくれない。
真っ直ぐに綺麗に整備された護岸がそこにあった。

あまりの変わり様に思考が追いつくまで、しばらく眺めてから、ロッドを握る。

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久しぶりのキャスト。八分目ほどに力を抑えたキャストに鈍りを感じるも、予想以上に延びていくルアー。マテリアルや技術の進歩も目を見張るものがある。
さらに企業努力が加わった価格、思わずため息が出る。業界の進化速度の凄さを感じながら、広く状況を探る。

ベイトの気配はあまりないが、潮は動いている。ブレイクラインもいまいちはっきりしない。デイで改めてチェックしなくては…

真っ直ぐに伸び、綺麗になった護岸を歩きながら一通り打ってみたが、反応はなかった。

冬の澄んだ空気が夜空の星を輝かせる。深く息を吸い込み、心地よい水の音を聴きく。
またここに戻ってきた自分を嬉しく想う。
これってきっとそういうことなのかな…

車は次のポイントへと走り出していた…

つづく…

ーーexplanationーー
改めて釣りログを再開するにあたって、色々考えた結果、こんなノベル風に書くことにしました。
釣りログというニュアンスとはちょっとズレてるかもしれませんが、これも一つのstyleと思って頂けると有難いです(笑
「起承転結」も「落ち」もない物語になるかもしれませんが…









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