ボタヤマンinオオスミン国のお誕生会

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1月にオオスミン国を訪ね、

心優しいオオスミン国の民によってボタヤマンとしての誇りを取戻し、

郷土愛に目覚めたワタクシであるが、

ある思索にとらわれ悶々とした日々を過ごしていた。



できれば取り戻した誇りを用い、威風堂々、誇り高く生きたい。

しかしながらどう生きれば誇り高い生き方となるのか、

ワタクシにはどうにも検討が付かなかった。



ともすれば他人や現実を受け入れる事ができない意固地者の事を

「プライドが高い」などと人は呼ぶが、

そんな形容を受けてしまう事だけはまっぴらゴメンである。

プライドが高い事と意固地な事とは、本質が全く異なっているはず。

とゆうか、全くもって正反対のはずだ。

そんな思惟にふけっていた午後、たろう氏から電話が掛かった。


首相の誕生日を祝うパーティーの誘いだった。

かの国の人々に対し、溢れるほどの感謝を感じているワタクシである。

少しでも恩返しが出来ればと思い、迷うまでもなくその場で出席を快諾した。



2月26日、会場はサミットと同じ「ぐーた」。

300人収容の会場は、各国から訪れた要人たちでごった返していた。

ワタクシが案内されたのは、オオスミン国の官僚達が国王、首相達と共に座っている場所だった。

まわりの方々に挨拶を済ませ席についた。



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たろう氏はワタクシの真向かいに座り、ペペロンチーノ(タバスコ濃いめ)を夢中で食べていた。

見た目で常人の食い物とは掛け離れた激辛ブリのパスタだったが、よほど好きな食べ物らしい。

その食べっぷりは一心不乱だった。

ワタクシの席から少し遠いが国王と首相の姿も見つけた。

今回は国王も赤いキャップを着用していた。

額に付いた文字に目がとまり、何か意味があるのかとたろう氏に尋ねてみた。

たろう氏はパスタをむさぼる手を止め、一瞬国王を見やり一言、

興味無さそうに「性癖っス」と発してまたパスタに集中した。



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こんなキャップだった。

なるほど、国王は性癖が「M」か。



しばらく食事をしながら皆と雑談に興じ、楽しい時間を過ごしていた。

そしてコースで運ばれてきた最後の料理を平らげた頃、

国王が立ち上がり、首相へ誕生日の祝辞を述べ、贈り物を渡した。

せっかくなので首相のそばへ寄り、国王の贈り物と共に写真に納まっていただいた。



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この上なくご機嫌な表情の首相が撮れた。

手には国王から贈られたオシアペンシル別注平政のパッケージ。

喜ぶ首相の姿に皆もご機嫌だった。

ワタクシはふと違和感を覚え、

首相が手にしているオシアペンシル別注平政のパッケージを凝視した。

こ・・・・これは・・・






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「ただの生魚
じゃねーか!!!」









喧噪を湛えていた店内が一瞬にして水を打ったように静まり返った。

しまった・・・不用意な言葉を吐いてしまったと思ったが、時すでに遅し。














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振り向くと氷のごとき表情でワタクシを見つめる国王がいた。

この失策を覆す良策を探し意識を駆け巡らせようとしたが、

精神の怯えが意識の快走を鈍らせていた。

ヘビに魅入られたカエルは、きっとこんな状態なのだろう。














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この視線にワタクシはこれっぽちも抗う事ができなかった。








どうにか金縛りを解くように背中を向けようとしたその時、

空気がごうっと鳴き、「たわけめっ!」と怒声が飛んだ。

慌てて目を戻すと、国王渾身のフックが飛んできた。



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a)  スウェーで華麗にかわす。

b)  スリッピングアウェイで当たったように見せかけてダメージを殺す。

c) ウィービングシャフトで皮一枚、拳をかわしてフックの軌道を縫うようにカウンターを決め、

「おとおい来やがれこのスットコドスコイ!!」と吐き捨てる。


15年前のワタクシであれば、上記いずれかを即座に選択し事なきを得ただろうが、

ヨワイを経てこうも反射神経を鈍らせてしまっている今、

ワタクシはなすすべなく国王の拳を顔面にめり込ませた。

吹き飛ばされた体は13回と4分の3回転して壁際で止まった。



その威力はブーメランスクエアやガゼルパンチさえも凌駕していた。



国王は猛る怒りを言葉に変え畳みかけてきた。

「私の贈り物に対して何たる失敬な!

あれは生魚などではない!

オオスミン国科学アカデミーの技術の粋を集め、

シマノと共同開発で生み出したリアルバイオマテリアルの

オシアペンシル オオスミン国別注平政であるぞ!」



そんな物を作り上げていたのかとワタクシは驚いた。

興奮している国王はさらに言葉を続けた。

「それを何も知らぬクセに、

スーパーで買った激安のイワシをオシペンのパッケージに収め、

さも何か特別な贈り物を装い首相を騙してシメシメと喜ぶとんだ詐欺師扱いしおって」



いや、そこまでは言ってない。



国王の怒りはまだ収まらない。

「たとえアレがそのような生魚だったとしてもだ、

誇り高い首相は、それでも喜んでプレゼントを受け取り、

なおかつ、唯一それ一つを持って荒磯に臨むだろう。

生魚を投げ倒して巨マサが釣れるなどとは誰も思いもしない。

それはただただ不毛でしかない行為だろう。

だがしかし!

その不毛にこそ、オオスミン国の民としての誇りは宿るのだ!

不毛の地平に自ら乗り込み、雄々しく立ち上がる姿こそ、

オオスミン国の国民としての誇り高い生き方である!」




図らずも探していた答えはまたここで見つかった。

国王の拳は、貧弱だったワタクシの精神の骨格ごと殴り倒していた。



誇り高く生きる。



それは荒磯で一人、マンビカを振り続ける行為そのものなのだ。



それならば、ワタクシにも出来る!

ワタクシは皆様に先ほどの失言を丁寧に謝罪した。

心優しいオオスミン国の皆様は、暖かくその謝罪を受け入れてくれた。

そしてワタクシは、これからも誇り高いボタヤマンとして

荒磯からマンビカを振り続ける事をこの国の民の前で誓った。



豪勢なお誕生会はやがて終焉を迎え、

来賓達は最後にそれぞれ首相に祝いの言葉を述べ店を後にした。

ワタクシは尿意を催し、店を出る前にトイレへ。

そして放尿を果たし、トイレを出ようとしたその時、

洗面所の下に置かれたゴミ箱で衝撃と驚愕の事実を知る。

すり替えられた真実がそのゴミ箱の中にあった。








アレやっぱ・・・
















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生魚じゃねーかっ!!!

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