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▼ オーロラの彼方-Northern lights-
- ジャンル:日記/一般
- (自転車旅, オーロラの彼方, A piece of the great journey)
で、話をしていると「ウチに泊まらないか?」とお誘い頂く。
なんでも娘さんが日本語学校に通っているらしく、刺激にもなるだろうし、なんなら学校でプレゼンの1つでもやってくれないか?とのことだった。
え、マジ?
いいの!?
なんか話が急展開して面白くなってきたぞ!!!
しかも今からアンカレッジへ帰るらしく、キャンピングカーに自転車ごと僕を乗っけていってくれるとのこと。
しかも今からアンカレッジへ帰るらしく、キャンピングカーに自転車ごと僕を乗っけていってくれるとのこと。
一瞬、「完走しなくていいのか?」という考えが頭をよぎったが、ここはご厚意に甘えることにした。
僕は決してシリアス・サイクリストなんかじゃなく、面白おかしいことが好きなだけのニワカ・サイクリストである。
走った距離の数字だとか、自慢するための完走なんてクソ喰らえだ!
と、思いっっっきり盛大に自分に言い訳しながら、僕はホクホク顔で車に乗り込んだ。爆
それからの一週間は色々なことをした。
ちなみにネイティヴじゃない子供が日本語を学ぶ小学校の教室や授業は見ていて本当に面白い。
例えば、漢字の書き順の話。
先生曰く、子供達は自分が書きやすい書き順で書いて、最後に形が整えば良いだろう、という子が多いらしい。
一方で日本の教育は書き順なるプロセスを結構大事にする。
小学校の授業程度で言ってしまうのもあれかもしれんが、過程よりも結果を大事にする合理主義、時として結果よりも過程を大事にするプロセス主義、みたいなアメリカ人と日本人の違いがこんな所からもあるのかなぁ、と。
もちろんどっちが優れているという話じゃない。
先生もそれを分かっていて、日本語文化教育を通して少しでも子供達そのエッセンス分かってくれれば、というスタンスのようだった。
おいお前ら、良い先生に恵まれてるな。
(そんな賢者モードに入りつつ、同じ教室に居たインターンの日本人の女の子をナンパしたら見事に断られました、グスン。←台無し 爆)
1週間は、瞬く間に過ぎていった。
最後の週末、ジムがキャンプへ行こうと言い出した。
僕は月曜日の早朝のフライトで帰るので、気を利かせてくれたのだろう。
2ヶ月弱前に通った時は雨で何も見えなかったのだけれど、目の前に北米最高峰、デナリを見ながら走ることのできるこの道は素晴らしかった。
ちなみに高さこそ敵わないが全体の大きさではエベレストを超えるこの山は、今年になって名前がマッキンリーからデナリに変わったらしい。
マッキンリーとは当時の大統領の名前。
デナリとは先住民の言葉で「高き場所」の意だそうだ。
こんなにハッキリクッキリ見えるのは珍しいらしい。
もしかしたら夜にオーロラが見えるかもしれないぞ、というジムの言葉に胸が高鳴った。
もしかしたら夜にオーロラが見えるかもしれないぞ、というジムの言葉に胸が高鳴った。
実は今回の旅では1度も見れておらず、もうダメだろうと思っていたのだ。
出てくれるといいなあ。
最後の夜にようやく見られたとしたら、それはなんとドラマチックなことだろう。
今回で最も美しい場所にテントを張った気がする。
地面を赤く染めるのはアルパインツンドラ、そして黄色く染まっているのはアスペン。
極北の秋を体現したような場所だった。
ちなみにテントの側にはブルーベリーが実っていて食べ放題。
だが、時として自然はイタズラのようにギフトを送ってくれることもある。
だが、日が暮れてしばらく経ってもオーロラは現れてくれなかった。
写真の方角がちょうど北なので、テントの真正面から見えるはずなのだが、一向にその気配はなかった。
(オーロラは必ず北の空に現れるのだ)
ついでに夜を薄く照らしていた半月に霞がかかってきて、雲が空を覆い始めたことを告げていた。
こればかりは仕方ないさ。
僕らの手の届かない世界で、人間の都合などお構いなしに存在する自然。
だからこそ自然が見せてくれるあらゆる一瞬は尊く美しく、人は畏怖させて貰えるのだろう。
だが、時として自然はイタズラのようにギフトを送ってくれることもある。
「RYU起きろ、オーロラだ!」
いつの間にか微睡みの淵に落ちていた意識が急浮上し、身体が反射的に跳ね起きる。
慌ててテントを飛び出した僕の目に、北の空をうっすらと照らす、冷たい極北の炎が揺れていた。
今日のオーロラはあまりアクティブでないらしく、霞みがかった空模様も相まってハッキリとは見えない。
カメラには、まず写らないだろう。
だから、ただひたすら、北の空を眺め続けた。
そして眺めながら、この夜に辿り着くまでのことを想う。
僕がここアラスカに来る前に下した、人生の中でも大きな決断。
自分の意志で選び取ったと思い込んでいたソレを、どうにも僕は受け容れられずにいた。
それがどうにも胸の奥の方に引っ掛かっていて、旅の間中、ずっと考えていた。
今、ここでオーロラを前にして結論が出たわけじゃない。
選択の正当性などやっぱり分からないし、知りたくもない。
だけれど、ただ、この此処に僕を連れて来てくれた何かは信じられる気がしたんだ。
再び夜の暗闇が空を覆う。
なんと魔法のような夜だったろう。
きっと僕は、これが夢だったと言われても強く言い返せないだろう。
それほどまでに、不思議な、不思議な夜だった。
いつもながら、帰るときの梱包ほど物悲しくなる作業はないな、と思う。
そしてこの言葉を書き終わって、ああ、僕は本当にアラスカを去るのだなと、そう実感したのだった。
突然、ジムの言葉が聞こえた。
いつの間にか微睡みの淵に落ちていた意識が急浮上し、身体が反射的に跳ね起きる。
慌ててテントを飛び出した僕の目に、北の空をうっすらと照らす、冷たい極北の炎が揺れていた。
今日のオーロラはあまりアクティブでないらしく、霞みがかった空模様も相まってハッキリとは見えない。
カメラには、まず写らないだろう。
だから、ただひたすら、北の空を眺め続けた。
そして眺めながら、この夜に辿り着くまでのことを想う。
僕がここアラスカに来る前に下した、人生の中でも大きな決断。
自分の意志で選び取ったと思い込んでいたソレを、どうにも僕は受け容れられずにいた。
それがどうにも胸の奥の方に引っ掛かっていて、旅の間中、ずっと考えていた。
今、ここでオーロラを前にして結論が出たわけじゃない。
選択の正当性などやっぱり分からないし、知りたくもない。
だけれど、ただ、この此処に僕を連れて来てくれた何かは信じられる気がしたんだ。
そんなとりとめもない事を考えている内に、オーロラは輝きを失いながら消えていった。
再び夜の暗闇が空を覆う。
なんと魔法のような夜だったろう。
きっと僕は、これが夢だったと言われても強く言い返せないだろう。
それほどまでに、不思議な、不思議な夜だった。
キャンプから戻って荷物をまとめる。
いつもながら、帰るときの梱包ほど物悲しくなる作業はないな、と思う。
半分は日本語にした。
難しいだろうけど、ナオミちゃんへの宿題だ。笑
最後には、僕の大好きな星野道夫の言葉を書いた。
"人生はからくりに満ちている。日々の暮らしの中で、無数の人々とすれ違いながら、私たちは出会うことがない。その根源的な悲しみは、言いかえれば、人と人が出会う限りない不思議さに通じている。"
そしてこの言葉を書き終わって、ああ、僕は本当にアラスカを去るのだなと、そう実感したのだった。
Epilogue
今回は今まで一番長い、56日間の旅でした。
今までの最長は4年前の日本縦断の50日だったので、記録を更新したわけです。
今までの最長は4年前の日本縦断の50日だったので、記録を更新したわけです。
まあ、日数とか距離とかそんなものに大して意味があるとは思えないので、そんなことはどうでも良いのですが。
それにしても今回は素晴らしい旅でした。
今までの旅のように特別な魚を追い求めたわけではありません。
特別に大きな魚が釣れたわけでもありません。
ただ釣竿を背負ってアラスカを走り回っただけの、たったそれだけの奇行です。笑
それでも(飽きやすい性分の)僕が走り続けた理由は、物語の冒頭にご紹介した星野道夫さんの本があったからだと思います。
彼の物語が無ければ、僕にとってアラスカとはただの辺境の一地域に過ぎなかったでしょう。
それが物語の介在を以て特別な存在となり、出会う全てが意味をもって語りかけてくるようになったのです。
彼の本の中でこんな一節があります。
神話学者のジョセフ・キャンベルという人が語った、「人は神話を
作ることで大地や動物と繋がりをもった」という説に関する部分です。
作ることで大地や動物と繋がりをもった」という説に関する部分です。
"人は物語を通す事で繋がりを持つ事ができる。"
物語とは本だけではないのでしょう。
神話が、歌が、そして人間自身がその役割を果たすのでしょう。
人と世界の接点として物語が在ること。
様々な物語を背負った僕は、より強く世界と繋がっていることを実感しつつ、そしてまた、誰かにとっての物語になっていくのでしょう。
さて、長くなりましたがこれで終わろうと思います。
学生最後の夏にして、とても思い出深い時間を過ごす事が出来ました。
サポート頂いた家族の皆様、
旅先で出会った皆様、
そしてジム一家、
本当にありがとう!!
おまけ
僕の旅日記を読んだことがある方は知っているかもしれないが、僕は飛行機関連トラブルに愛されている。爆
が、前回のアフリカで7回目のトラブルをやらかしたので、さすがの悪運もラッキーセブンで止まるだろうと甘い幻想を抱いていた。
ついでに今回、途中合流したケンゾーさんの荷物が帰国時にロストしたとの事で、僕からは完全に悪運が消えたと思い込んでいた。。。
そう、や ら か し たwww
深夜の空港に到着し早朝のフライトに向けて荷物を整理していたら、なんと財布がない!!!
人生初、財布ロスト。
まあロストはそこまで問題では無い。
現金はほとんど入っていないしクレジットは停止すれば良いだけ。
が、問題が1つ。
自転車の超過代金が払えない。。。
額は150ドル、持ち合わせは日本円で5000円。爆
つーかそもそも午前3時に両替空いてないし、、、
まあ帰れるには帰れるんだが、このままだと自転車を置き去りにして帰るハメになる。
フライトまであと2時間。
いやー何だか楽しくなってきたwww
いやね、今回はあんまり面白トラブルが無いから拍子抜けだったんだよね、実は。
そこにこれが発生したんで内心は
「キタキタキタついにキター!!!」
という感じ。
ちなみにその後、気合いで航空会社のカウンターでネゴし、カード番号と暗証番号だけで支払いを済ませることに成功!
よしよし、ここまで来たら10回トラブル目指すぞ!!!
。。。次は飛行機、落ちないよね?
終わり。
- 2016年9月20日
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