湿原河川への挑戦②

冷え込む中、フィールドに立ちポイントを探りながらキャストをする。
周りの木々や草が邪魔になりうまくロッドの特性を生かせない。
「くそっ」と一言ぼやきがでてしまう。

川底には倒木も無数にあるのか殉職したルアーがちらほら見える。

このフィールドに立つだけで気がきゅっと引き締まる。
寒さを忘れて無心でキャスト。

「グン!!」

一瞬だけ強い当たりを感じた。ただそのあとは何もなかったかのように感触がない。
ひらひらとスプーンだけが見える。

その時くすっとガイドしてくれた仲間が笑った。

「それがこの季節のイトウの当たりだよ。ロッド入ってたでしょ」

一瞬すぎてそれが読み取れなかった。
アメマスがかかるとすぐ合わせることができたのに、あまりにも早い吐き出し。
その後も小さいアメマスは釣れるがさっきのような息をのむようなあたりはない。

少しイライラしてしまい油断した時だった。
底からぐわっと魚体が見えて「イトウだ!」と思いすぐさまフッキングを決める。

かけた!!

ファイトになる瞬間フッキングが甘かったのかバレてしまった。
水中に戻る優雅な魚体をただ立ち尽くしながら眺めていた。

集中力が切れてなおさらキャストが決まらない。

休憩をはさみ冷静さを取り戻そうと帽子を脱ぐと冷えきった風が身を刺す。
目が醒めるどころか、痛みさえ感じる。

ポイントを変えて川を一瞬みたとき波紋が。
「あれはイトウだ!いるのは間違いない。」

仲間達と確認しキャストする。

その時、わたしの手には明確な感触が。全力でフッキングしファイトを開始する。
イトウでありますように・・・心でそう願うほどの強い当たりで魚体がギラリ。夕日に染まったように淡いピンクが見えた。

「あれ?」

岸に寄せてくると歓喜してる仲間達も無言になる。



ナイスサイズのアメマスだった。
だが私の地元では見たことないレベルの獰猛な顔。そして魚体。

色もほんのり赤く美しい。湿原河川ならではの色。
イトウではないにしろ、このサイズは嬉しい。

そしてこのまま日暮れを迎える事になった。



反省会をしながら仲間とイトウのサイズの話になったが、本当にそんなメーターサイズがいるのか・・・と思いながらビールを飲んでいた。

まさか次の日に思い知らされることも知らずに。
 


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