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▼ 悠久の時を泳ぐ癒しのブルックトラウト
Day1はこちらから
さすがにイベントから寝ずに中禅寺湖へ走り、仮眠をとったとはいえ疲労困憊だった我々は、翌日予定より5時間ほど寝坊をした。結局お目あての湯川に着いたのはお昼前ぐらいだったので、午後券を買って釣りをする事にして、それまで漁協のお兄さんと話をしたり、戦場ヶ原のドライブを楽しんだり、券を買った赤沼茶屋で文字どおりのんびりお茶をして12時を待った。

今回のターゲットはブルックトラウト。和名をカワマスと言い、管理釣り場などを除いてワイルドブルックが狙えるのはこの湯ノ湖と中禅寺湖を結ぶ湯川エリアか北海道の一部などと言われる。定期的に放流を行っている湯ノ湖とは違い、湯川ではブルックが自然繁殖により生息していて、サイズはあまり大きくはないけど綺麗なの!と、茶屋のお母さんが教えてくれた。北米から運ばれてきたブルックがここに初めて放たれたのは明治35年のことだそうだ。
渓流とは少し違うチョークストリームの穏やかな流れと、高原植物独特の雰囲気が混ざり合い、まるでフランス絵画を切り取った様なロケーションに、釣りをする前からとにかく気持ちがいい。さらに最近すっかりオッサンになったせいか、遊歩道を歩く中学生たちを見てまたノスタルジックな気持ちになる。中学2年の頃、全く同じこの道を校外学習で歩いた記憶が鮮やかに蘇る。フォークダンスで好きな子と踊る順番が近づいてくると相当ドキドキしたものだ。おっと、そんな話はどうでもいいか(笑)

湯ノ湖を車で回った時は釣り人の数が多かったので心配したが、湯川では帰りのフライマンとすれ違うのみだった。おかげでプレッシャーは低いようで、魚の反応はフレッシュ。これでこそ渓流トラウト!!(渓流じゃないけど)といった具合に、めぼしいポイントにルアーを流せればほぼ反応がある。失敗したのはフローティングミノーを用意してこなかったこと。梅花藻の上っ面を、沈めずにヒラッヒラッと誘えればもっと釣れたかもしれないが、一番大きい魚でも尺には届かないフレッシュマンたちを相手に、根こそぎ釣ることもないので、それはそれで良かったのかもしれない。途中セミルアーにアタックがあったり、エキサイティングな釣りも味わえた。

初めて釣る魚はいつも嬉しくて、サイズや色は関係なく忘れられないものなる。逃したからこそ一生の一匹になるというケースもあるけど、いつもいつも逃しているのはちょっと悲しい(笑)皆ワイルドブルックを釣るのは初めてだったので、誰かが釣ると「うわぁ」とか、「綺麗やなぁ」とかそんなため息混じりの言葉を連発しながら興奮気味に川を進む。皆それぞれ釣りのルーツは違えど、魚が大好きで、いつでも子供に帰れる部分で繋がっている。


梅花藻の中や、流木から伸びる藻の下に潜み餌を待つ姿は、小さい頃にポケット図鑑で見たブルックトラウトの姿そのものだった。イワナ族特有の白いストライプの入ったヒレと、黒でふと取られた鮮やかなオレンジとのコントラスト。その色を見てM.T.レイクスのオレチャートBを思い浮かべる自分は、ちょっと病気かもしれない。日本のトラウトとは違い、派手とも違うどこか華やかな色合いは、この美しくのどかな風景によく似合っている気がした。


ゴミらしいゴミは一つもなかった。一般の観光客はスノコの様な遊歩道からは降りることがないことに比べて、釣り人は川に続く獣道を歩き、時にウェーダーで川の中を歩くこともある。その責任は重大だ。しかし、それがきっと特別に許されたことであり、自然のスペシャリストとしてのリスペクトの上に成り立つことを理解しているアングラーだけが、この川で釣りを「楽しませてもっらている」のかもしれない。ベクトルは何でもいい。その答えがたとえ間違っていようが、釣りと真摯に向き合って、時間をかけて何かを見つけたり、求める1匹にたどり着いた経験のあるアングラーなら、誰だって自然への敬意を持っているはずである。愛が魚に向いていれば勝手に。
100年以上も前に、ここにトラウトたちと共にトーマス・グラバーやハンス・ハンターなどのヨーロッパのアングラーが残した紳士の魂は今も、日本の “釣り人” の中に息づいている。


結局夕方まで川を釣り歩き、ちょうど滝の方へ進むか国道へ戻るかの分岐で国道に出て、赤沼茶屋の方まで引き返すことにした。アンケートを書いて回収ボックスに入れて、自販機でジュースを買うペスカトーレといたるさんの表情もどこか清々しい。

特に今僕とペスカトーレは、曲がりなりにも釣り業界という場所にTULALAとして身を置いている訳で、どうしても大好きな釣りと業界の釣りの間で、自分たちも気づかないうちに毒されてしまっている部分があるかもしれない。なんだかそんな付き物を、美しい自然が取り払ってくれた様な気分だった。中禅寺湖のアドレナリン全開の釣りとは一転、癒しのブルック釣行になった。

3人揃っていわゆる「賢者モード」状態。なんだかいろは坂を降りる運転すらいつもより優しく感じる(笑)もともとは2日間で帰る予定だったのだが、釣りの途中で「帰る日に午前中だけもう一回中禅寺湖やっていきません?」という会話を耳にしていた。もちろん断る理由は何もない。このメンツなら何か起きる気がするし、翌日はWILD-1関口とスタッフもう1名も中禅入りをするという連絡までタイミングよく入ってきた。どうやら数時間後にはまたこの坂道を登ることになりそうだ。
続く

ROD: Prototype 6.3ft class, Harmonix
REEL: CERTATE 2004 FINESSE CUSTOM, Daiwa
LINE: PE(0.6)+Shock Leader 4lb
LURE: D-Contact, Smith etc.
- 2016年6月3日
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