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狩る (前編)



あの日、僕は経験不足からの失敗で悔しい思いをした。
それも2回連続で。
 
 
あのファイト。必死なファイト。
腕・足・背中・手の筋肉を結集し、そしてその先にある 弓なりに曲がったロッド。
全てはあの時に始まった。
 
 
 
 
数週間経ち、未だに全く忘れられない感覚。
 
暴力的な引き。
「ジーーーーーーーーーーー!!!!」とスプールが空転しているかのような音。
 
ラインの先は・・・・・ブリだった。
 
 
 
ベタ凪の海。そこから突如として沸いたナブラ。
まさかと思いキャストし、すぐさまHITした。
 
1発目。ラインブレイク。
2発目。焦り震える手で組んだノットが・・・・抜けた。死を意味する処理ミス。
 
3発目。
慎重にやりとりし、ランディング。

 
70手前のブルーランナー。
 
 
 
横には、仕留められた90cmのブリも居る。
 
 
くっそ!!
 
 
忌々しい日だった。
責めるのは自分の準備不足と心構え不足。ただ、それだけしか無かったからだ。



 
 
タックル
テンリュウ パワーマスター100MK
ダイワ カルディアKIX4000
PE1.5号
リーダー30lb
ムーチョルチア60g
 
 
 


 
 
 
その後、リベンジをしたくて、仕事前でも無理してサーフへ向かいチャンスを伺ったこともあった。
日が昇り、カモメたちがゆっくり飛んでいるのを眺めて過ごした。
何もHITすることも無く、諦めた、その時
 
鳥達が突如として集まり、それは鳥の竜巻のような様相にも見え、海へ特攻隊のごとく突っ込んでいった。


※イメージ画像



 
海面には水柱。
 
上からは特攻。
 
ベイトからしたら地獄絵図だろう。
 
それが岸から250m。
 
「来い!こっちへ来い!」と願えば願うほど遠ざかり、虚しく肩を落とし仕事へ行った日。
 
 
 
 
 
 
 
 
もう、あんな偶然は無いのか・・・?
余程運がよかったんだろうな。
 
そう思うようにしても、、、、グリップを腹に押し当て、腕を伸ばし、奴の走りを体で受け止めていた感覚だけは、消えることがなかった。
 
 

 
 
 
 
 
 
潮の流れと、当日の風と、ベイト及びフィッシュイーターは、この数週間でどういうルートを通るのか。
 
 
当たるはずもない予想をして、向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今日は十分に時間がある、満潮からのスタートをすればいい
珍しく釣りの前に喫茶店へ入った。

釣りの日は食事もまともに取らないのに、今日はあえて、逆の行動をとった。
「期待して向かっても、期待しなくても、どうせ結果は変わらないだろう?」
 
 
ホットコーヒーを飲みながら、海を眺める。
 
さて、行くか。
 
「ご馳走様でした」と作り笑いをし、お金を手渡す。
 
お金を受け取った、小太りで愛想の無い50代の女性は怪訝な顔で僕を見ていた。
 
 
 
 
そりゃそうだ。
家を出た時からウェーダーを履いて、防寒服も着ているんだから・・・。
 
 
 
 
エンジンをかけ、シフトをDへ。
 
さっきまで時間悠々で過ごす朝を演出したクセに、車の速度はいつもより速い。
 
 
 
やっぱり磯がいいな。
 
 
そそくさと準備をする。
もうあんな後悔はしたくない!
いつチャンスが来るのかわからない。
 
コルトスナイパーBB S1000Hを選んだ。
 
 

 
 
 
まだ、疲労の無い僕の体は、いつものどん臭さとは違い軽快に岩を渡りあるいた。



さあて。まずは潮のぶつかる あのあたりを流すか。
ブルーランナーを狙うと言っておきながら、僕はBKF140を装着した。
 







ナブラも鳥も無いのにいきなりジグを投げるようなことはできない。
 
そりゃ磯鱸も好きだから。
 
 
 
 
さあ、今日の釣りの開始だ!







 
行って来-い!とBKF140をキャスト。
 
「ゴン」
 
え?
 
 
何だ?
 
 
一見何も障害物も無いような場所だ。
まさか、いきなりのバイトは無いだろう。
まぁ、いいか。と、気にせず
 
 
キャスト
 
 
「ドン!!!!!!」
 
 
な・・・・
 
 
完璧に準備できてなかった。
こんなすぐにヒットするだなんて思っても居ない。
 
なんだか狐につままれたような感じだったのは覚えているが、とにかく巻いて巻いて
そして、MAX100gまで背負えるロッドで一気にぶっこ抜いた。
 
 
 
・・・・・え? もう?




 
 
「こんなに何も感じず釣れてしまうのだったら、まだ釣れなくてよかったのに」、と思いつつ、「これで今日は気が楽になった」と思う自分も居る。
 

 
なぜだか、間抜けに見えた鱸をストリンガーへキープ。


73cm
 
 







 
同じ磯を何度も打っても面白くない、確率も低い。
 
磯をランガンする。
 
1時間経過
 
タバコに火をつけ、ぷかぁ~と煙を吐いては 海を眺めた。
 
風速10m 水面は白波立ち、下げもあいまって状況がいまいちわからない。
ベイトが居たとしても表層には居られない・・・かぁ~???
  
その時だ。
 
気づいた。
 
あそこに何か居る!!!!!
 
 
「ボン!!!」
 
 
「バシャ!!」
 
白波に混ざって あそこでボイルがある!
 
たった10mの範囲だ、距離はここからおよそ60m。
 
 
急げ!!!!早く投げないと!!!
 
ルアーを付け替えろ!
 
手が僅かに震えながら、ルアーボックスを取り出し、プラグをはずす。
 
ジグボックスを取り出し、な・・・何グラムだ!!!
 
45・・・・いや、60gだ!
 
コルトスナイパーを取り出す。アシストフックを! プライヤーでリングを広げる余裕も無い、爪で無理やり広げ取り付け。
 
投げるぞ!!
 
いかん。トリプルも付けるべきだ。
以前のはトリプルに食った!
 
 
焦りは増し、まだそこに居てくれ!と願い急いでフックを探す。

 






内心、どれだけ焦ってるんだ。と面白く思えた。
周りに誰も居ない今日は、この焦りも釣りの醍醐味だと わざと焦りを増幅させて興奮させた。
 




 
 
あの辺りだ。チャンスは少ない。
 
ロッドを垂直に立て、たらしはジグがリールと同じ位置までに調整し テイクバック。
 
足を肩幅に広げ 一気に腰のひねりと、左腕を引き下げ フルキャスト
 
「ブン!!!!!!!!」
 
コルトスナイパーから放たれた弾丸はバランスを崩す事無く暴風を切り裂きかっとんで行った。
 
ズボッ!
 
見事!放物線を描き狙い通りの場所へ着水。

最高だ







 
 
着底
 
巻き106cmで 小刻みにジャーク ジャーク そして大きく煽った その時!
 
 
「ズドン!!!」
 
きた!! 
 
 
ハマチ
 
 
すまんな。
身が傷む前にやらなきゃ。
 
 
刃渡り20cmのナイフを取り出し。
彼の首に突っ込む。






 
いや、これでは血が回る。
 
僕は、左手を彼の背中に
右手を顎にかけた。
 
 
一瞬だからな!
 
左手は背中を押し込み、右腕を一気に持ち上げた
 
「ミシ!!!!」




 
 
首がへし折られ、そこから露出した脊髄から
「ピュッ ピュッ」とまるで射精のように、彼の命が、血液が放出されている。
 
エラの奥を覗くと、小さな小さな。3cmくらいの心の臓が1秒に3回の間隔で鼓動を打っている。
 
なんとも言えない、哀れみと また ぞくっとする興奮を感じながら、鼓動が止まるまで見つめた。

 
 
 
 
 




次だ。
 
 
 
実はここへ到着した当初から、ずっと気になっている場所があるのだ。
そこは、到底簡単には行けないように見える。
 
ただし、そこを越えられたら、先に見える磯は、必ず何かがあるのだろうと見て取れるものなのだ。
 
行くか。


あそこはどうだったんだろうか・・・と必ず後で思い返すのは嫌だ。
 
 
水没した岩。その岩伝いに奥へ進むか?いや・・・・岩を掴んで浮きながら移動だなんて自殺行為だ。
そもそも、ウェットを持ってこなかった。
 
じゃあ、、、、上からアタックするか。
 
僕は磯の上の森 森からの侵入を試みた。



 
 
ウェーダーとライフジャケット、そしてタックルと魚を手に山を登る。
「はぁはぁ・・・・ダメだ・・・重い・・・・」
 
魚を木の陰に隠して、進む。
 
 
そっと、下を見て見る。
 


 
 
あ・・・あかん・・・ちょっとこれはマズイ!
たったの10mの高さ。それが奈落の底に見えた。
 
もっと楽なルートは無いのか。
 
 
 
結論は・・・・楽なルートなんて。無い。
 
 
こうなったら、傾斜45度の山を慎重に慎重に下るしかない。
中腰で左手にロッド、右手で木々を掴み、ゆっくりゆっくり下る。
 
 
「こんな細い木に自分の運命を預けてたまるか!」と心の中でつぶやいた。
 

 
傾斜はきつくなり、枯葉の上を滑りそうになった。
 
ダメか。危険すぎる。
 
落ち着け。
 
 
 
 
次は背中にロッドを刺し、両手をフリーに、そして腹ばいになり ゆっくりゆっくりずり下がっていくことに。
木を掴み、 つまさきは少しでも土を噛むようにして下がっていく。
 
その時だ。
 
まるで子供の頃にやっていた、芝生の坂をダンボールで滑っていたかのように滑った!
 
あああああああ!!!!!!!あああ!
 


距離にしてはたったの1mくらいだったはずだ。
左手に木がちょうど当たり、滑りがとまった。
 
心臓は高鳴り、体中は嫌な汗でぐっしょりだった。
 
何やってんだおれ。
 
 
これは無理だと諦め、さっきの恐怖をひきずったまま戻った。
 
 
 
岩を掴んで浮きながら障害となる壁をやりすごすか・・・?
 
まだ最初の考えを捨て切れてない諦めの悪さ。ほんと俺って・・・。
 
 
そうか!
 
傾斜80度。
 
ここを上って、迂回して進めば辿りつけそうだ!





 
 
アタックルートを発見し、僕はよじ登ることに成功した。
そこには一厘の花。
もちろん、その時は気づきもしなかった。






 
 
 
 
 
 
 
よし
 
辿りついたぞ!!


誰に聞かせるわけでもなく、肩で息をしながら僕は咆哮した。





「おうらぁ!どうだ!」
 
 
 
 
 




後編へ・・・・・fimoって文字数制限あるのね・・・・後編もくっつけたら
サイズオーバーで前後編書き直しの罠・・・・(怒)




 

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