壁の向こう

  • ジャンル:釣行記
どうやっても

変えられない数字。

 
釣りの知識や技術は
 
頑張れば
 
時間をかければ
 
いつかきっと身に付くはず。
 
 
でもね
 
こればかりは仕方が無い。

 
148
 
 
私の身長。
 
女性としても一際小さい。
 
これのおかげで色々な苦労が。

 
基本男性向けのタックルは
 
多分皆さんが想像する以上に

私には合わないトコロが多い。

 
 
とは言え

そこは色々工夫も出来るし

 
技術を磨いてゆけば

道具の扱いだってこなれてゆくはず。

 
それでも。
 
これだけは無理じゃないか
 
と思っていたことが一つ。
 
 
ウェーディング
 
 
フライから釣りを始めた私。

渓流や湖に『立ちこむ』程度なら

一応経験があるけれど

それでも行けないところは多かった。

 
Saltでのウェーディングについては
 
三番瀬に通う釣友や元相方から

その過酷さを散々耳にしていたから
 
この身長では無理、と諦めていた。
 
 
渓流や湖で味わった
 
水との一体感
 
 
それをSaltでも味わえたら
 
どんなに楽しいだろう
 
そう思わないではないけれど
 
同行者の足を引っ張りたくなくて
 
行きたい、とは口に出来なかった。
 
 

 
12. Feb.2011
 
ウェーディング友の会飲み

 
浸かりのエキスパートが集う。

 
各々にスタイルをお持ちだから
 
話を伺っているだけでワクワク。
 

ウェーディングと言っても
 
限界水位まで浸からずに済む

そんなケースもあるのだと

教えて頂いた。
 
 
まずはやれるだけ

やってみよう。

 
これ以上ない程心強い先生

サポートを申し出て下さったのだし。
 

 
13. Feb. 2011
 
名にし負う盤洲干潟へ。
 
アクアライン通行中
 
『この辺りまで入れるよ』
 
との浅川さんの言葉に驚く。
 
 
岸から随分と距離がある。


広大な干潟が広がっているのは

予め分かっていたことなれど

こうして改めて眺めると

信じがたい思いになる。


 
干潟って、やっぱりスゴい。
 

感心している間に

エントリーのポイントに到着。
 
 
さぁ支度支度。
 
 
ウェーダー装着
 
ライジャケ装着
 
アクセあれこれ装着
 
 
低身長に
 
ごついアレコレ。

 
なんともバランスが悪くて

よろよろ歩く私の影法師は
 
まるでコレのミニチュア
 
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巨神兵
 
 
見た目で釣りする訳じゃなし

と気を取り直して、いざ入水。
 
 
月明かりが照らすのみの闇の中では

空と海との区別も曖昧に感じる。


 
冬の澄んだ空にオリオン座が

一際大きく輝いている。


明るい夜空に慣れた身には

とても贅沢に感じる空の下

摺り足でそろそろと歩いていく。


生身で泳ぐ時とは一味違う

水の抵抗が心地よい。


 
エイがいる季節ではないけれど
 
足元の安全確保の為にも

(恐れ多くも)浅川さんを先追いに。
 
 
程なくして、浅川さんが足を止める。
 
『この辺りからやってみようか』
 
 
いよいよ干潟で実釣。
 
 
支度中に浅川さんが口にした
 
『ウェーディングデビューの人を
 
凸らせたことは一度も無い』
 
という言葉が頭をよぎる。
 

私が初めての凸になってしまうかも。

 
いや、むしろ私の腕では
 
凸る方が自然じゃないのか。
 
 
不安な気持ちはあるけれど
 
投げなきゃ釣れないのである。
 
 
風もなく穏やかな夜
 
月齢10日
 
ゆるやかに上げていく潮の中
 
少しずつ移動しながら
 
無心にキャストを続ける。
 
 
隣からの風切音以外
 
無音の世界。

 
闇に溶けていくような感覚は
 
トラウトのウェーディングとは違って

とても新鮮。



 
光と音が限られた世界で

触覚が鋭くなっているのか

見えない潮の流れが

手元に伝わってくる気がする。

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これは・・・面白い。


 
そんな風につらつらと考えていた時

 
え?
 
アタリ?
 
嘘!?
 
ホントにサカナ!?
 
 
 
・・
 
・・・サカナだよーっっ
 
 
まごうことなき
シーバスさんだよーっっっ

 
私の目線にごく近い高さで
 
エラ洗いしようとする気配がする。

 
バラしちゃ、ダメ。
 
 
慌ててロッドを寝かせて
 
なんとかやり過ごす。
 
 
『ゆっくりで良いから!』

 
そう、焦っちゃダメだ。


とは言っても、

バラさぬうちに寄せてしまいたい。


きっと1分にも満たない時間だけれど

目の前にその姿が現れるまで

とても長く感じられた。


気が付いたら

浅川さんがボガグリップで

しっかりキャッチしてくれていた。


水中でなかったら

へたり込んでしまいたいくらい

緊張感が緩んだ瞬間。



Get出来た。


ウェーディングで

釣れた。

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久方ぶりに出会うことが出来た

陸っぱりシーバスに感激したのは

ほんの2日前のこと。


そしてまた。


初めてのウェーディングで


私には無理だと諦めていた

干潟でのウェーディングで


釣ることが出来たなんて。


嬉しい。


嬉しいんだけれど

信じられない。


目の前のシーバスさんを見ても

なかなか実感が湧かない。



人より視線が低い分

暗い水の中のシーバスさんを

とても近くに感じる。


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低身長でも

良いこと、あるじゃん。



またまた

浅川先生に助けられ

一つ

夢が叶った晩でした。





Tackle Data

Abu Garcia SEADRIVER SDS-86ML
Daiwa  EXIST 2508
YGKよつあみ WX8 1.2号
VARIVAS Seabass Shock Leader Fluoro 22lb

 

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