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帰蘇川

  • ジャンル:釣行記

先の御嶽山噴火から一ヶ月半。

自然の脅威を前に、我々人間はただただひれ伏す事しか出来なかった。


噴火から間もなくして、TOMMYがホームとしている清流“木曽川”では、遥か上流より流れて来る火山灰によって、川が死んだ。

落ち鮎シーズンに突入したばかりの十月頭の出来事だった。


木曽川に通うようになってから十年余り。

これまでに見た事のない白濁。

雨による濁りとは明らかに違う、有酸素の少ない水色。

魚の姿が消え、底石や辺りのゴロタにはびっしりと火山灰が張り付いた。



それでも、自然の回復力を信じ木曽川に通い続けた。

長良川や揖斐川に場所を変えれば、魚は釣れたであろう。
しかし、TOMMYは木曽川にこだわった。


ベイトの姿も見えず、ボラもまったく跳ねないノーバイトの日。

ベイトの姿がちらほら、鳥が水面で群れをなし、目の前をヌートリアが泳いでいた日。

遠くから来てくれた友人達と共に竿を振った日。


何も反応が得られない、そんな日を繰り返す日々。


しかし、日々着実に水が回復していくのは目に見えた。


邪道から新しく発売されたGraver Hi115S、そして来春に発売予定のEnvy105も試さなければならない。


(川を変えるか・・・)

一時はそう考えた事もあった。


なぜここまで木曽川にこだわっているのか、自分でもわからなかった。

釣りがしたい。魚を釣りたい。
人一倍そう感じているはずなのに。

がしかし、
『目を背けてはいけない。』 そんな思いがそうさせた。



ログも書かず、他人の釣果さえ目に触れず、数週間を過ごした。

その間に南紀のヒラズズキにも逢いに行った。
結果は4ヒット、4バラシ・・・。(笑)



そうこうしている内に、赤とんぼの姿が消え、風からは香りが消えた。
水温もかなり冷たくなって、いよいよ冬の足音が聞こえ始めた。


そんな折、いつもの様にポイントに向かう途中、パチャ!パチャ!とベイトが跳ねる音がした。

そしてボラが体を打つ音まで。

(帰って来た!)


いる!きっとシーバスもいる。


もっとも信頼を置く、ERDA86(ドラゴン)でゆっくり流れの中を這わせると、ゴン!と待望のバイト!

惜しくも針掛かりしなかったが、たしかにシーバスのアタリであった。


この日は満潮からの入川。
本来、このポイントの時合いは下げ4分から8分まで。
しかしこの日は、下げはじめてからすぐにバイトがあり、しかもそれ以降はボラも消え、まったく反応がなくなってしまった。


しばらく川の様子を見て考察。

どうやらこいつも、火山灰による『時合いの変動』だとTOMMYは感じた。

本来、上げで海からさしてきた塩水クサビは、下げと共にまた海へとかえる。

そのクサビが下げの4分から8分に一番効く川の流れと相まって、魚の活性を上げているのがこれまでのこのポイントの特徴だった。


水質も戻りつつあり、魚も戻って来た。

が、いつも釣れるその時合いには下げも効いて50cm程水深も下がってしまう為に、また火山灰による濁りだけが残った水質になってしまうのが今の現状。

だから魚は満潮の、まだ濁りのない水位の高い内に捕食しているのだと考察した。



そして、一昨日。


この満潮から下げはじめる時間を狙ってポイントへ。


答えは数投で出た。


流れの先にEnvy105を投げ入れ、水面直下を引いて来ると、ガボッ!とルアーが吸い込まれた。

すぐさまエラ荒いを数回!

腰まで立ち込んでいた為、慎重にやり取りして何とか魚を手にした。

サイズは68cm。

いや、サイズなんてどうでもいい。

蘇りつつある木曽川に帰って来てくれた魚。

数十キロも、この濁り残る川を昇って来た魚。

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太く逞しい魚体と、青く澄んだ眼。
その姿からは神々しさと共に、敬意すら感じた。


(おかえり。)

これまでも幾度となく涙しそうな魚と出会って来たが、今回のはそれとは違う涙だった気がした。


本来の木曽川の姿に戻るにはまだまだ時間が掛かるかもしれない。

それでも、確実に蘇りつつある清流“木曽川”。

春に御嶽山の雪が溶ける頃、また今回の様な辛い状況になる事も想像出来る。

稚鮎が昇らないかもしれない。


しかし、自然は必ず蘇る。

ひれ伏してばかりいたんじゃ何も見えやしねぇ。


この魚の様に強く逞しく在りたい。



ただ、こんな時に限ってデジカメを忘れた自分にも、涙しそうであった・・・。
 

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