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上宮則幸

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砂塩鱗 その姿

それはもう半ば無理矢理。
アポは一軒消えはしたが、そう易々と三連続で羽根を伸ばせるはずもない。
なんとはなく理由をつけて仕事を人任せにしたとしても、既に二日も穴を空けている。
釣り帰り、夜中に会社に出向いて翌日以降の段取りもつける。
そう、今年一発目のビッグイベント、フィッシングショー横浜は二日後からなのだから。
詳細な申し送りをシタタメてデスクに置いて自宅に帰った。

心苦しい気分を抱えながらも翌日の釣具の支度に掛かる。
竿はやはり一本でなくては都合が悪い。
いくら移動がしやすいサーフとは言え、二本もゴツいタックルを抱えて歩き回るのは、行動の妨げになる。

磯ベイトのボツにしたプロト106XHと、リールはWM60に決めた。
ただし、ラインを見直す。
大型シンペンだけではなく、トレイシー25gのキャストも考慮してPEを4号に落とすと同時に、リーダーもナイロン16号から同14号に。
この道具仕立てでキャストした事はないが、なんとなく、なんとかなりそうな気がする。
だが、どうだろう?もし投げれなかったら?いや、フルキャストしなきゃいいだけだろ…もしトレイシーで飛距離が得られないなら?フォルテン40gなら大丈夫…PE3号ならどうなる?手持ち在庫の3号を2連結で使ってみては?その連結方法はどうすればいいんだろう…
布団の中で、考えるほどに眠れない。

隣の妻子を見る。
ぐっすり眠っている。
とりあえずだ、今日で一段落だ。
どうせ明日は横浜に発つからこの狂った釣行も強制的に中断となる。
何故かホッとする。
何故?
このまま狂うままに狂い果ててしまいそうな予感があるからだ。

その時、スマホのアラームが鳴り出した。




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3時間のドライブの後に浜に着いた。
おや?川端君がいる。
「ヒデさん今朝もまたやりましたよ!また140オーバー」
驚かないわけがない。
「他にも数本デカいオオニベがマヅメにキャッチされてます!」
が、おれは平静を装おって支度をする。
のんびり浜に向かう。
ここ二日で自分なりにグチの溜まる場所も見えてきて、タックルのセッティングの方向性も理解できている。
自分の釣りをやるだけだ。

そう思った刹那、目に異様な光景が。
二人並んで堤防をアングラーが歩いて来る。
一人が女性?子供?判然としないが、小柄な人をお姫様抱っこして歩いて来る。
いや、女子供は見間違いだ。
巨大なオオニベを抱えてんだ!
性格の拗れた人間のおれは現場で釣られた他人の釣果は極力見ないようにしている。
無理に笑顔を作り、抱えているアングラーにだけ視線を当てる。
「すっげー!おめでとうございます!」
それは、全く本心からの言葉。
相手は重さに喘ぎながらも笑顔を弾けさせて応えてくれた。

すげーな!おいマジで!!
とんでもねー浜だここは!
あー!マジで来て良かったかも

すれ違い、通り過ぎ、振り返らない。
おれも釣りたい。
今日をその日にしたい。







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