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加藤義朗@食べる!

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連載第14回 『雷鳴~長い長いトンネルの出口で見えたもの~』

  • カテゴリー:日記/一般
  • (小説)
第八章 終焉

全く会えない日々が続いて約三ヶ月が経った六月下旬、清水課長の支援もあって、ボクは、なんとか課長代理の仕事に慣れ、時間的にも精神的にも余裕が出てきた。
清夏に会いたい気持ちが、再びボクの心の多くを占め始めていた。しかし、それに反比例するように、清夏からのLINEがみるみる減っていった。食事に誘っても、「用事があるから」とか「疲れているから」というつれない返事ばかりだった。いつしか、清夏のLINEから絵文字やスタンプが消えていった。
清夏がボクのロッカーに入れてくれる物もなくなった。二人の秘密の受け渡し場所は、本来の機能を取り戻していた。
清夏の態度の大きな変容に、ボクはひどく戸惑っていた。仕事が忙しくて全く会えなかったし、LINEの返信も滞った。こうした事実の積み重ねが清夏を傷つけ、ボクの元から離れていくきっかけを作ったに違いない。
それでも、ボクは、清夏を愛していた。身勝手な言い分だということは十分に自覚していたが、ボクは清夏を取り戻したかった。
 

ある夜、ボクは清夏を明石町のレストランLに誘った。清夏はようやくボクの誘いに応じてくれた。その日の清夏からは、オードパルファムの香りがした。
シャンパンで乾杯することもなく、ワインを開けることもなく、ぎこちなく、これといった会話もないまま食事が進んでいった。
ボクは、清夏に、自分の身勝手さを素直に詫びた。仕事にかまけて清夏に会えなかったこと、LINEの返事が滞ったこと、それらの全てについて真摯に謝った。
次の瞬間、清夏の言葉がボクを激しく動揺させた。
「ネクタイ、してくれないんだね」
迂闊だった。久しぶりに会うというのに着けてこなかった。言い訳ができなかった。自分の油断と不注意を呪った。あのネクタイは、清夏にとって、ボクとの繋がりの象徴だったのだ。ボクは押し黙るしかなかった。
しばらくして、清夏の次の言葉が、ボクを打ちのめした。
「付き合って欲しいって言ってくれている人がいるの。谷山さんも知っている人よ。大西さん。A社の。覚えているでしょ?」
覚えていないわけがなかった。彼のおかげで、あの難しいプロジェクトは成功したのだ。彼に対する恩義は忘れていない。しかし、それとこれとは話が別だ。ボクの清夏を奪っていい理由にはならない。やはり、清夏に気があると思われた大西氏の視線は本物だったのだ。
それだけではない。清夏のボクに対する呼び方が「勇輝さん」から「谷山さん」に変わっていたことを、ボクは聞き逃さなかった。
一目惚れがもたらしてくれる「魔法」は、すっかり解けてしまったようだった。ボクは、陰鬱とした気持ちで、明石町を後にした。
 

人生にとって最も大切なことは、タイミングを逃さないことだ。ボクは、清夏を取り戻すタイミングを逃してしまったのかもしれない。
清夏がボクから離れていく流れは、課長代理に昇進した頃から始まっていて、今となっては、もう逆らえないのかもしれない。それは分かっているのに、蜜月期の思い出ばかりが頭の中に充満していた。
ボクは、清夏とのLINEのやり取りを何度も読み返した。未練という言葉で片付けられるほど簡単ではなかった。ボクは、清夏が欲しかった。
毎日LINEを送った。どれだけボクが清夏を愛していて、どれほど清夏を必要としているかを、何度もなんども誠意を込めて綴った。しかし、ボクが清夏にいくらLINEを送ろうとも、それらが既読になることは一度もなかった。
職場での清夏の態度は、不自然に感じられるほど自然だった。そのことが逆にボクを苛立たせた。ボクは、清夏に社内メールを送った。
「何度もLINEを送っているのにどうして読んでくれないのか。ボクの気持ちを知っているくせに、なぜ何の反応も示してくれないのか。ボクは、初めてボク達が結ばれた夜のことを昨日のことのように覚えているのに、君にとってはただの過去にしか過ぎないのか。ボクの心はこんなに揺れているのに、どうして君は平然としていられるのか。大西氏のどこがそれほどいいのか。大西氏とは付き合わないで、ボクの元に戻ってきてくれないか」
ボクがどれだけ想いを込めても、清夏からの返事は来なかった。それでも毎日メールを送り続けた。

第八章 4 に続く

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