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ウエノ ハヤト
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▼ 少年よ、大志を抱け
- ジャンル:釣行記

かつて毎週のようにこの池に通いつめた少年。
少年の夢は十年の時を経て、今実現する。
5日早朝。
ある思い出の地を訪れた。
自分にとっては原点とも言える場所であり、
その後の人生に大きな影響を与えることになった場所だ。
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佇まいは十年以上の時を経過した今も変わらない。
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無心でひたすら釣りを楽しんでいた当時。
釣り上げたブラックバスの数は数千。
この池のブラックバスの性格は誰よりも理解していたつもりだ。
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常にバスをストックする池の角。かつては大きなブッシュがあり、ここでスキッピングの腕を磨いた。
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小学校から高校まで、
釣りでつるむ友達は変わった。
数回で釣りを飽きた者、
ともに喜びを分かち合った者。
ただ、
釣りを始めてから高校を卒業して全員が全国に散るまで、
一貫してこの池に通い続けたのは自分ただ一人しかいない。
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忘れもしない、人生初のブラックバスを釣り上げた場所。当時はサビキ用の振り出し竿でモーグルクランクを投げていた。34cm。
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飽きるわけがなかった。
何十回、
何百回と行こうと、
必ず毎回新たな発見がある。
今日編み出した釣り方で、次回はバス達がどのような反応を見せるか。
魚との駆け引きが待っている。
新鮮な一瞬一瞬にいつも駆り立てられた。
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春から秋までオイカワが群れるシャロー。時折、一段下に潜んでいたバスたちがボイルを起こすが、その数も今では少なくなった。
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そしていつしか感じるようになる。
「将来は釣りに関わる仕事がしたい。」と。
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今回持ってきたタックルたち。
道具は変わった。でもスピリットは変わらない。
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それから十年以上の月日が経つ。
忘れもしない。
“今年4月某日”。
辛く、
そして長かった就職活動。
ついにこの日をもって全日程を終了した。
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当時は何を投げても届かなかった池の対岸。今では道具の進化で容易に狙うことが可能になった。
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昔から両親はいつも、
「将来は好きなことをやれ。」
ずっとそう言ってきた。
公言はしなかったが自分の腹はその当初から既に決まっていたのかもしれない。
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当時はクランクベイトを必死に投げ込んでいたオーバーハング。今ではジョイクロを投げ込む。40cmくらいのバスが口を使ったが、惜しくもフッキングには至らなかった。
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夢を叶えるためのレールなんてのは誰も敷いてはくれない。
前例は自分でつくるものだ。
高校では迷わず理系を選択。
そして希望する国立大学に合格した。
工学部、機械系。
序々に思い描いてきたシナリオが現実味を帯びる。
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池を奥に進むにつれて道は険しくなり、生い茂る木々が釣り人の侵入を拒む。昔このポイントでは自作の木製ペンシルでバスを3匹釣った。
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講義でギアやベアリングの設計を習うだけでワクワクした。
CADを操作するだけで色々な想像が膨らんだ。
研究室は迷わず摩擦系の研究をしているところを選んだ。
そのまま大学院へ進学。
そして、
昨年冬。
いよいよこれまでの人生の集大成とも言うべき、
就職活動が始まる。
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池の大半はうっそうと茂る樹木に覆われている。これがバスのサンクチュアリを形成し、釣り続けても常にフレッシュな魚が供給される。
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釣り業界への就職。
誰がどう考えても狭き門だった。
志す者の数に対し、
会社の数は圧倒的に少ない。
やる前から勝機の少ない戦いを強いられることは明白だった。
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数年前の台風後に突如出現した冠水ブッシュ。水面上に出ているのは極一部で、水中では複雑に入り組んだ枝葉を伸ばす。今では多くのバスをストックするストラクチャーになった。
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そして、
人は誰かが決めたかのようにこう言う。
「趣味を仕事にしないほうがいい。」と。
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池には今もオイカワをはじめとした多くの小魚が生息している。今ではバスの数も減少し、食物連鎖のバランスが整いつつあるのかもしれない。
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理解はできる。
好きな分野からかけ離れた業種を選択すれば、
その分、
余暇も休日も心から楽しめるかもしれない。
結果、
満足度の高い人生だったと納得できるかもしれない。
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この場所にはかつてバスが沸くように釣れたスポットがある。友達と“バスの家”と名付けた。驚くべきことに、今でも機能している。
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就職活動で真摯に自分と向き合ったとき、
揺れに揺れた。
勝機の少ない戦いに多大なエネルギーを費やすべきか。
やはり趣味を仕事にしようという考え自体が間違っているか。
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気心を知れたバスたちが今も変わらず受け入れてくれたことが嬉しかった。
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事実、
就職活動序盤では、
釣りとは全く縁もゆかりもない業界を中心にエントリーしていた。
鉄道、
電気・ガス、
高速道路…
インフラの発展を通して人々の生活の発展に貢献したい。
そう思い始めていた。
いや、
思うようにしていたという表現の方が合っているかもしれない。
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この池のバスの性格・特徴は理解している。最近のテクニック、そして今の自分の腕前はどれほどなのか。昔と共通のものさしで測ることができる。
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実際、
“それっぽく”書き上げたうわべだけのエントリーシートはすぐに見破られた。
某電力会社から不合格通知を受け取ったとき、
今一度冷静になる。
「本当に自分のやりたいことは何か。」
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どの魚もコンディションは良い。でも釣れ方が変わってきているのも事実。少なからず時代の移ろいは感じる。
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本当に色々な業種の説明会に参加した。
本当に色々な会社の見学に行った。
その結果、
冷静になって思う。
自分にはどうしても、
“釣りに勝る魅力を持つものがなかった”
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釣り上げたバスの口には大概傷があった。この池もまた、次世代アングラーたちのプレッシャーにさらされているようだ。
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思ってもみなかった会社にエントリーし、
いかにそれっぽくエントリーシートを書き、
いかに優秀な学生を演じて面接をこなすか。
いつしか感じるようになる。
「それは逃げだ」
今、
自分の目の前には今後の人生をいかようにも切り開けるだけの選択肢が転がっている。
可能性は無限大だと思っている。
その状況下、
“敢えて自分の好きなことから遠ざかる”という選択。
本当に冷静になったとき、
自分にはこの選択肢が一切なかった。
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見えている魚にライトリグを投入してもすぐに見切られる。しかし通常のラバージグやジョイクロを入れてやると激しく反応した。まるで今日の日本のバスフィッシングの縮図を見ているかのようだ。
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満を持して応募した。
世界でトップのシェアを誇る釣具の総合メーカー。
採用ステップを次々にクリアし、
やがて面接まで進む。
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かつて一世を風靡したルアーや釣り方がある。しかし今反応が良いのはむしろスタンダードなジグヘッドリグやノーシンカーリグ。常に発見しかない。
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一次面接で知らされた。
今年度は採用枠15名前後に対し、
ゆうに1000人を越える応募があったという事実。
倍率は100倍にも迫るという。
100人中、平気で99人が落ちるという世界。
「ご期待に添えない場合は申し訳ありません。」と。
あらためて厳しい現実を思い知る。
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晴天のもと、思い出の地でブラックバスを釣る。当時の思い出がいくつも、鮮明に思い出される。
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とにかく入念に準備を行った。
自分のこれまでの生き様、
思いを余すことなくぶつけたい。
努力は実った。
その後も選考をクリアし、
気づけば最終役員面接を残すのみとなった。
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当時、同じバスを三週連続で釣ったことがある。ラインブレイクしたルアーを後に取り返したこともある。きっと彼らはもういない。世代交代が進んでいるだろう。
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最終面接と言えども、
未だに多くの人数が選考を残っていた。
面接ではすべてをぶつけてきた。
これまでの生き方。
釣りに対する思い。
そして、
最近仲間たちの協力のおかげで遂にシーバスの自己記録を更新したこともすべて、
余すことなくぶつけた。
そして一週間後。
鮮明に覚えている。
今年4月某日。
一本の朗報が届く。
この日を持って、
自分は就職活動の全日程を終了した。
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平均サイズが小さく、小バスの割合が圧倒的に多い。どうやらこの池もそういうバイオリズムに突入したらしい。
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“Constant dropping wears away the stone”
雨垂れ岩をも穿つ。
些細な力であっても、
続けることでそれは大きな力となり、
やがて岩をも貫く。
その思いを胸にこのブログのタイトルをつけた。
継続を厭わなければ人は大きな成功を得ることが出来る。
今後もその信念は揺らぐことは無いだろう。
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ヘビーなロングロッドと飛距離の出るリールでダイレクトに池の対岸を打つ。これまで試さなかった斬新な釣り方で多くのバスが反応した。
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今後。
好きな釣りのことで幻滅することだって多々あるかもしれない。
出る杭は打たれるかもしれない。
でも、
そんな時。
いつでも帰ってこようと思う。
純粋な少年の心で釣りを楽しめるこの場所に。

- 2014年9月10日
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