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芥河晋
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▼ パーフェクト・ゲーム
ぼくには珍しいことでもなんでもないのだけれど、ちょっとご無沙汰してました(笑)
このあいだ書いたとおり、ここのところで横浜に立て続けに帰って取材をこなしていたのだけれど、さすがに大変だったッス。このときの様子はまた今度機会があれば触れるとして、今回はここまで数回続けて書いてきた最近のライトゲームの様子について、個人的にもっとも満足度の高かったものを完結編として書きましょうか。
詳しくは前回、前々回あたりを見てくれれば分かるかと思うのだけれど、稚鮎、子サバのお陰で随分と楽しい釣りをさせてもらってきたわけで、その中でとりあえずはメジロをある程度納得のいく形で楽しむことができたというのがこれまでのところでしたネ。
そんなメジロを釣った数日後のことが今回のお話しです。
この日は仲間と、釣れるものは何でも釣ってやろう的な流れで朝から釣りを開始。その舞台はというと、堤防といえば堤防なんだけどその際には沈みテトラが入り、ちょっと横には本格的な巨大なテトラが入っているというような、そんな結構厄介なシチュエーション。
朝イチは、それまで好調だったヒラメを狙い、仲間がゲット。
ぼくにもバイトは数回あったものの、全部すっぽ抜け。。。
さすがに日が頭上高くに上ったところで、ヒラメのバイトも出なくなったので、他の釣り物を探すも状況は良くなく、仕方ないので暇つぶしに突入。
溢れんばかりに居る子サバをマイクロメタルジグ(この日は爆釣ジグの3gがメイン)で釣って遊びます。
ちなみに、実はこの子サバ、食べ方によっては結構おいしくて、それを聞いた仲間の1人がお持ち帰りを希望したので、みんなでガンガン釣り上げていのだけれど、そのうちにあることに気がついたんですワ。
何にかって?
それは、足元のシェード居る結構大きな魚にです。
足場がかなりと高いので、良くは見えないんだけど、シチュエーションからしてチヌだと判断。だとすれば年ナシライン(50cm)を軽く超えるようなビッグサイズ。
でも、ボケ~と壁際に漂っているし、別に狙って釣れそうなわけでもないので、そこまで気にも留めずにサバを相手に漁に勤しんでいたわけです。
そんなことを続けること30分くらい。
子サバの大規模な群れが新たに沖から入ってきて、足元近くを帯になって通過し始め、当然、その中にジグを落とし込んで半ばサイトで釣り始めたとき。
いや、正確には、そこで掛けたサバが暴れてシェード近くに寄ったとき。
見えたり、消えたりしていたチヌがスーと出てきて、身を翻す。
「ん???」
ぼくが自然と疑問の声を上げると、横で同じ光景を見ていた仲間も
「アッ!」
という。
そう、チヌにしてはデカイし、反転したときの体形がぜんぜん違う!
「今の、ヒラじゃない???」
ぼくが聞くと、
「尾っぽの付け根が太かったし、チヌとは違うね」
と仲間も答える。
そうなの、チヌと思っていた魚はヒラだったわけ。
で、それを知った子サバ持ち帰り希望者であるもう1人の仲間が叫ぶ
「ヒラ釣ってお願い!食べたい!」
そうなれば、やるしかない。
ちょっと魚を観察したところ、やはりベイトとなる子サバの群れが近くを通ったときにスイッチが入りかけるらしい。
とりあえず、結構テンションは高そうなので、ミニマルで様子を見にかかる。
予定では、若干遠めに投げ込み、一度数回のダートで上昇させてからのフォールを魚に見せ、その次のダート&フォールのフォールで沈みテトラのシェード側に落す。もちろん、想定しているのはこの2度目のフォールでパクリと来るパターン。
このシナリオを早速実行に移す。
チョイと投げ込んで、ミニマルが見えなくなるまでフォール。
そして、チョンチョンとダートさせながら急上昇させ、ミニマルが水面に出る直前でアクションを止めてフォール。
ロッドを送りながらラインテンションを張らず緩めずの状態に保つ。
ゆっくりと落ちていくミニマルが徐々に見えにくくなってくる。。。
ギラッ!
「エッ、マジ!」
予想外の展開に、完全に対応が遅れた。
案の定、一瞬かかりかけた抵抗感があったもののすっぽ抜け。。。
まさか、着き場となっている沈みテトラのシェードから随分とはなれた位置での最初のフォールで食ってくるとは。迂闊にもすっかり油断していた。完全に食ったものの、アワセが遅れたためにルアーを吐き出されるタイミングでしかフッキング動作に入れなかったのよね。
無念。。。
これでスイッチが入ってしまったのは、魚ではなくてぼくの方。
なんとしても釣ってやるモードに入ったぼくは、途中、メタルで子サバを釣って、そいつの泳がせで釣ることまで試みる始末(笑)
ちなみに、時間が経つにつれて沖から入ってくる子サバの群れについてきたのか、見えるヒラの数も増えてきて、こっちのテンションは上がる一方。まぁ、ヒラのテンションはというと、微妙に上がりきらないままなのだけれど。
それでも、一度はライブベイト作戦で完全に食わせるも、またもやスカ。
考えてみれば、小さなフックしかついていないメタルで、そのフックには子サバが掛かっているわけだから、完全に食ってくれたところで掛かるわけがないないのよね。
フックポイントが子サバに埋まって出てこないもの(笑)
そうと気付いたところでライブベイトは完全に諦め、再びルアーで釣ることに集中する。
で、粘ること、最初のバイトから3時間ほど。
よくもまぁ、飽きもせずに頑張ったものだけど、この粘りが奇跡を呼んだ。
メタルのシェイクからのフォールに、反応したヒラがスーッと寄って来た。
胸がドキリとする。
ゆっくりと落ちるジグの目の前数cmのところでピタリと止まる。
1秒、2秒。。。
期待と緊張で何もかもがスローモーションのように感じる。
見えていたメタルが視界から消えた!
そう、ヒラがメタルを吸い込んだのだ。
今度は遅れることなく、フッキング動作に入る。
「すっぽ抜けるなよ」と祈りながらもきっちりとアワセのストロークを取ると、ドスンと良い手ごたえが右手にかかる。
「Yes! 掛かったヨ!」
半ば諦めムードだった仲間にヒットを告げる。
いきなり色めき立つ仲間たち(笑)
ぼくとしては、これで仕事は90%は終了なのだけど、掛けたのは足元には沈みテトラが並び、ちょっと横にずれると本格的なテトラ帯へと続くなかなかに難儀な場所であったりする。
そして、タックルはというと、いつもの74エレクトロ。
ただし、ここはオープンウォーターの釣りではないので、ラインはいつもよりも太いフロロの3lbクラス(先リーダーにフロロの3号が40cmほどつけてある)。
とりあえず、魚を引っ張りすぎると本気になってテトラに突っ込まれる可能性が高いのだけれど、この3ポンドというフロロが絶妙で、エレクトロの曲がりとあいまって、魚が驚きすぎるようなピーキーなテンションをうまいこと逃がしてマイルドなものにしてくれている。
この釣りのキモはまさにココにあるのよね。
前にも書いたかもしれないけど、例えば、同じロッドでも、ラインをPEで組んでしまうと魚の暴れる度合いは確実に増す。そして、その増えた「暴れ」の負荷はこのシステムで最も強度的に弱いフックが受け止めることになり。。。
大抵の場合、ファイト中に次々とフックが伸びてしまって・・・、経験上、最終的にはフックオフに繋がるか確率が非常に高い。これ、どんなにドラグをズルズルにしても起こってしまうので、やはりドラグがすべるまでのあいだのフックに掛かる負荷がPEとフロロでは格段にちがうんだよね、きっと。
というか、そもそも、フロロを使っていると、PEでの緩めのドラグテンションでセッティングしていても、ファイト中にドラグが出ること自体が少ないわけで、これは魚が感じる違和感の量がPEとフロロでかなり違うということを裏付けていると考えているんだけど、どうなのかなぁ。。。
何はともあれ、魚の動きを読みつつ、できるだけ先手を打つ感じで対応する。
ヒラは、まさにテトラの際を右に左に動くのだけど、ぼくが引っ張っているテンションが「超えてはいけない一線」を超えていないので、本気で突っ込むということはない。
このやり取りの感覚は、慣れるしかないのかもしれないけれど、感覚的には、「ある程度は魚の自由にさせつつも、ここ一番の時にはほんの少し強引に行く」といったらいいのかな。その強引に行くというのも、基本的は先手を打っているからこそ「ほんの少し強引に」対処するだけで済んでいる感覚。このやり取りの感覚が、このゲームの鍵であり、また醍醐味でもある。
きっと、側から見た魚との引っ張りっこの様子は、別に危なげがあるようなものでもないし、そこまでスリルに満ちたものでもないのだけれど、やり取りをしているぼくとしては、先手先手を読みながら対処しているという点がとてもスリリングなわけ。
この先手を取るというのは、魚の次の動きを予測するということなんだけど、その読みが外れると、対処が後手に回るので本来必要だった以上のラインテンションを掛けなければいけない場面が出てきてしまい、そうなると魚がますます暴れてコントロール不能な状態になってしまうわけで、そうなると「冷や冷や」を通り越して「ヤバい」状態に突入することは必至。
そうした事態に入らないためにも、しっかりと魚の意図を事前に察知して、先手を打ちながら難なくかわして行くというところにこのゲームの本当のスリルがあるとぼくは思っているのね。
ちょっと、ややこしい話しかもしれないけど、魚に対してかなりライトなタックルセッティングで望む場合には、こんな考え方を避けては通れないと思うし、ライトなタックルで臨んだ挙句に魚に主導権を撮られてしまい、本当の意味で「冷や冷や」するというのは、思うに、スリリングという状態とはちょっと違うかなと個人的には感じるのです。この「冷や冷や」は、もうアングラーとしてどうすることもできない状態で、基本的には運に頼っている状態なわけだものね。
とまぁ、そんな、見た目には淡々としたファイトかもしれないけれど、やりとりをしているぼくとしては結構なスリル感を味わいながら、獲った魚はというと。。。
ついでにもう一枚(笑)
サイズ的には60台半ばとたいしたことないかもしれないけど、この魚との攻防戦は終始沈みテトラの際20~30cmで展開し、その最中に一度も本気で「危ない!」と思うフェーズがなかったのだから、ぼくとしては限りなくパーフェクトなゲームだったなと思えるわけ。
間違いなく、記憶に残る魚です♪
ちょっと、いや随分と長々と書いてしまったけど、まぁ、ぼくはこんな感じのライトゲームが好きなんです、ハイ。
ファイトについても感覚的な部分が多いのでなかなか上手くは説明できないのだけれど、興味のある人は参考にしてみて下さいネ。
掛けてからはゴリ巻き一辺倒のラフファイトという釣りもそれはそれで良いけど(実際ぼくもこれも嫌いではないのだけど;笑)、考え抜いたタックルバランスを駆使しての頭脳戦を楽しむのもまた面白いもんですヨ!
- 2011年6月15日
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