北海道知床遠征記 part 1


8月13日。僕達は広島空港を離陸し、北海道は知床半島を目指した。
 
新千歳空港まで約2時間+道内便で約40のフライト経て女満別空港へ降り立つ。そこからレンタカーを3時間程走らせた所に目的の相泊漁港がある。その漁港から知床行きの渡船が出るのだが、渡船を予約してあるのは14日の朝4時。13日の朝広島を出発して漁港に付いたのが夜の8時だ。朝まではまだ時間がある。
広島を出てから何も食べていなかった僕達はそこで夕飯をとる事にした。もちろん食材はその場で調達だ。この旅には北海道を全身で感じて可能な限りサバイバルは生活をし、楽しみながら成長した自分を手に入れるという目的がある。
 
まず僕らが狙ったのは「エゾメバル」だ。情報など全くと言って良いほど持ち合わせていないので本州でメバルを釣る時と同様に小型プラグやジグヘッドを投げてみたが…これが面白い程釣れる。

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1キャスト1バイトは普通で、途中でばらすと別の個体がバイトしてくる。やり方次第ではずっと釣れ続くのだがお腹の方が限界だったので食料分だけ確保し、調理に入る。
 
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この日はエゾメバルのしゃぶしゃぶにした。頭や骨も捨てずにあら汁風に。初日にしては上出来なスタートだった。この漁港でレインジャケットを紛失した事を除けば…。
 
2日目は朝から雨。本降りではなかったが前述した通りレインジャケットを噴出しているのでもちろん濡れる。夏の北海道は思いの他寒かった。午前4時に港を出てペキンの鼻へ向かう。ターゲットは「カラフトマス」。

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船上から見える陸地は人の気配が一切無く緑一色だ。船頭が運が良ければ熊が見えると言うのだが、その姿は何処にも無くただただ知床の雄大な自然に心を引き込まれていった。

ようやく到着した釣り場「ペキンの鼻」には番屋が2つ。

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今夜はここで過ごす事になる。もちろん電気や水道は通っていないが、漁師さんの計らいでガスコンロや発電機が常備させているので生活に困る事はなさそうだ。電子レンジもあるのだか、それを使うには一度全ての電気を落としてからでなければならない為あまり出番はない。普段の生活から一度離れてみると日常生活の快適さを実感するものだが、この不便さが何とも言えない心地よさに感じてしまう。

さて、肝心な釣りの方だがこの日は風が強く前日からの泊まり組もあまり釣果は思わしくないようだ。僕らが到着したのが午前4時半。泊まり組は10時の船で帰るようになっているのでとりあえず釣りをしながら情報収集だ。何せ初めての釣りなので全くイメージ出来ていない部分がある。実際釣らなければ分からないものだとは思うが、出来る限りの情報は頭に入れておきたい性格なのだ。
釣り人の多くが北海道出身で50代以上の方だった。若い僕らは珍しがられた。ここでも魚を食べて生活するつもりだったので米と酒と調味料位しか持っていなかったのだが、その事を話すと食料や酒等、3日間は食いつなげるんじゃないかという程の量を譲ってもらった。「若いんだから食わんと釣りにならんぞ」だそうだ。北海道の優しさが身にしみた。

話し込んでいるとすぐに時間は過ぎるもので、気が付くと泊まり組の帰りの時間になっていた。彼らと別れてからとりあえずお腹を満たす為にオショロコマ釣りに出かけた。カラフトマスは淡水が注ぎ込む場所に産卵の為に集まるので、釣り場の近くには多くの場合川が流れている。その川を河口から50mも登れば沢山の魚が遊んでくれた。

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写真をあまり撮っていないのだが、オショロコマは愛想良く相手をしてくれる。川を登ると熊と出会う危険が高くなるので長居は禁物。食べる分だけキープしたらさっさと番屋に戻った。
 
 
番屋で昼食をとり知床に乾杯した後、死んだように寝た。

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そして夕まずめと共に起きてフィールドへ。カラフトの回遊は朝夕に集中する。新しい群れが入るタイミングがチャンスだ。日が沈むまでの1時間勝負。相変わらずの風の中投げ続けると突然ルアーが引ったくられた。と共に見た事の無い魚が空中を舞った。シーバスのそれとは全くタイプの違う力強く速い走りに全く対応しきなかった。気付けばルアーの先の魚は海藻に変わっていた…。
これが僕とカラフトマスの最初の出会いである。突然の出来事に体が全く付いて行けなかったのだ。それでも回遊してきたのならまだチャンスはある、とキャストを繰り返すと2度目のアタリが。魚は見事なジャンプと共に走り出す。今度は瀬に巻かれた。この時はTULALAのグリッサンド72を使っていたのだが、正直獲れる気がしなかった。3度目のアタリが海藻に変わった所で辺りが暗くなり始めたので番屋に戻り翌日に備える事にした。番屋に戻っても興奮は冷めなかった。カラフトでいっぱいになってしまった頭の中をほぐすように酒を飲み、先ほどのファイトについて考えた。カラフトマスは回遊さえあれば食わせるのは簡単だ。問題はそこからどう取り込むか。先の写真にあるように沢山の障害物の隙間を縫って寄せてこなければならない。しかも手前から15mの浅いエリアには水面までびっしり海藻で埋め尽くされている。

明日はzeleだな。

そう呟いて眠りについた。


part2に続く…
 

 

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