【千魚釣探】男たちのヤマト

（山猿さんが以前釣った40アッパーのタナビラ）

インターネットを通じてのコメントのやり取りは、内容によっては、ときに誤解を招くこともあるため積極的にはやらないようにしている。
ただ、山猿さんの並ならぬヤマトイワナ愛、そしてタナビラ愛は私の心に大きく響いた。
かねてから無作為な放流による在来種の枯渇問題を危惧していた私は、同じ考えを持つ人がいることを知り、素直に嬉しかったのだ。
最近ではそういう考えの人が決して少数派ではないということが分かってきたが、当時はそんなことをブログで書いてる人は少なかったように思う。

山猿さんは源流だけでなく、湖や本流、はてはヤマトイワナの飼育まで幅広くやっている。
まさに木曽谷の重鎮。
そんな憧れの釣り人とのコラボ釣行が実現した。

釣れる魚は、ヤマトイワナとタナビラ（木曽ではアマゴのことをタナビラと呼ぶ）それにニッコウイワナが少し混じるとのこと。
鬱蒼とした沢での釣りは久しぶりだ。

サツキマスを求めて１ヶ月以上、本流でロングロッドを振り回していたせいか、細流でのキャストが定まらない。
山猿さんが気を遣って先行させてくれるのだが、良いポイントをミスキャストで潰してしまったり、不用意に遡行したせいでイワナを走らせてしまったり、私は徐々に精神的プレッシャー
に追い詰められていった　笑
ライントラブルが起きると、ここぞとばかりに「先行してください」と何度も申し出てしまった。

山猿さんは自身をキャストが下手と謙遜していたが、さすがに慣れている。
シャローはアヴァロン、水深があるところはジェミー、さらに深いところはディープ系（Dダイレクト？）を使い分けていた。
釣り場で稀にリールのハンドルをなくすそうだが、ハンドルがなくてもスプール手巻きでトラウトは釣れるという。
スプールを手巻きすると必然的にスローリトリーブになり、結果的にルアーをボトムトレース出来る＝釣れる、という脅威のスプール手巻きメソッドを解説してくれた。

やはり並の釣り人ではなかった。
また、「釣りたい」という邪念を消すことが重要だとも。これには私も大いに納得した。

遡行していくうちに少しずつ流れに勾配がつくようになってきた。
それと同時に水深のあるポイントも増えてきて魚影も濃くなってくる。

私もようやく一尾を釣り、プレッシャーから開放される。
久しぶりのヤマトイワナ。
ヤマトイワナも水系によって外観が全然違う。
これはヤマトに限ったことではなく、アマゴなども同じで、これらの渓魚は地域変異性の強い魚だと感じる。
私は釣り人であって、生物学者ではないが、この感覚は山奥で釣りをした者なら分かると思う。
その地域にもともと住んでいる魚。
それを大切にしていきたい。

木曽谷には御岳がある。
御岳の噴火は過去に何度も起きており、その度にヤマトやタナビラは生息域を奪われた。
しかし、長い年月をかけて自然は再生し、現在に至るまでその生命を紡いできた。
人間さえ余計なことをしなければ、自然は永遠に生き続ける。
山猿さんはそんなふうに語ってくれた。

久しぶりの沢での釣りに満足しきっていた私だがこの日はそれで終わらなかった。
更なるサプライズが・・・

それは泣き尺のヤマトイワナだった。
出来過ぎ。
なんもいえね～　笑

2018年6月17日
コメント(2)

コメントを見る

みんなからのコメントコメントする

先日はお疲れ様でした。
ネット上での付き合いは長かったですが、私は同志と思ってました。
７月から激務になるので、６月は一緒に行ける最後のチャンスだと思い、お誘いしました。
私のワガママを受け入れて頂き感謝しています。

仕事が早いですね。そして文章が上手いです。綺麗に表現しすぎです。
後からアップする私のプレッシャーはハンパないです(笑)

良く見てますね。その通りでルアーを使い分けてました。
アバロン、ジェミー、ディープダイレクトと水深で使い分けました。
頂いたアバロンは大活躍でした。貴重なミノーなので大切に使わせて頂きます。ありがとうございました。
しかし、あのヤマト岩魚は素晴らしいです。同じ淵で釣った私のヤマトは餌サイズ。
釣り師としてのレベルを物語っていました。

小難しい話をすれば、釣り事態、魚を傷つける行為です。でも、私達はあらゆる者の命を頂いて生きています。
それが現実です。
おっと、もうすぐ駅に着きます。ではまた！

AAコメントする
2018年6月18日

山猿

sima

岐阜県

>山猿さん
いえいえ、こちらこそ本当にお世話になりました。
同志とはとても有難いお言葉です！
また機会を見つけて是非行きましょう！

そうなんですよね、たしかに釣りをすること自体が魚を傷付けることになりますよね。
魚にとって最大の天敵は人間でしょうから。
ただ、私は最大の天敵であると同時によき理解者でありたいと思ってます。釣りは辞められませんが、その一方で在来種保護とかそういう課題とも向き合っていきたいです。

それにしてもあのヤマトイワナは出来すぎでした笑
あのとき既に満足しきっていたので邪念がまったく無く、それが良い結果につながったのだと思います。

アバロン、使っていただけて嬉しいです。ジェミーほど手間は掛かってませんが、そのぶん気負わずガシガシ使ってください！
壊れたら交換品を送らせていただきます！

コメントする
2018年6月18日

こんばんは。

木曽も素晴らしい渓相に
素晴らしいヤマトイワナ(^^)/
この魚が釣れたら最高でしょう♪

余計なこと、、、考えさせられますね。
釣り自体も余計な事と言えば、、、
しかし潔癖になったら釣り好きとしては
自己矛盾を抱えるのも事実。
自然愛護も大切ですが
そこは釣り好きとしての妥協？
自分なりの最適解を私も探し続けたいと思っています。

AAコメントする
2018年6月17日

keen

神奈川県

sima

岐阜県

>keenさん
そうなんですよね、１番の解決策は釣りをしない、全面禁漁にすることです。私の知る水系でも在来種保護の観点から禁漁区に変更された支流がいくつかあります。
でも、それでは寂しすぎますよね。

自然に任せるのが理想ではありますが、自然繁殖する魚の絶対数はしれたものです。
釣り人の比率が大きすぎる。
遊漁目的の放流は、やはり必要です。
それによって川が保たれている側面もあるでしょう。

このジレンマは釣りをする限り続きますが、目を背けてはならない問題だと思います。

一つ言いたいことは、経費の問題とか色々あるとは思うんですがヘンな魚を入れないでくれということです。

サクラマスで有名な某川の源流域ではヤマメよりもアマゴが優勢になっています。というより、釣れるのはほとんどアマゴです。おそらく自然繁殖してます。

これは人が作った世界です。
私はちっとも良いと思いません。

一つ大事なことを書き忘れました。
魚を守るために釣り人が釣りをしない、という考え方ですが、それは動物が可哀想だから肉を食べないという発想と同じだと思います。
それは生きるという行為を根本的に否定する考え方です。
私達は生きる為に奪うのではなく、頂くのです。
よって、釣り人は釣りをすべきです。