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ショータ・ジェンキンスです。 ようやくfimoの触り方を理解してきました。 皆様よろしくお願い致します。

北海道イトウ それぞれのイッピキ

ようやく初めての北海道旅の時差ぼけ、ある意味カルチャーショック?から抜け出せそうな感覚。自然の迫力も、魚との出会いも全てが衝撃だった。それなりに色々な場所での釣りをやったつもりでいたけど、やっぱり知らないことだらけなことを痛感して、全部認めた。そして自分に牙をむいているとしか思えない厳しい自然に、なんか寒さで感覚が麻痺して感謝すら感じ始めるぐらい、まともな判断が出来なさそうな時に、イトウは突然僕の竿を曲げる。
 

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北海道に着いた翌日、体調を崩してしまい朝マズメを捨てることになった僕はとにかく焦った。でもこんな時こそ余裕を持たないといけないのことも短い経験から学んでいた。しかしそれでも焦る。日本三大浪漫魚とも呼べるこの魚を相手にすると、きっと釣り人なら誰でも欲張ってしまうと思うのだ。
 

初日から同行する菅井さんのキャッチを目の当たりにしていたし、魚のいるイメージは掴んでいたけど、初めての場所で、しかも地形を把握しながら狙うなんていう芸当僕には無理。精神論みたいになってしまって嫌だけど、こういう時こそ今まで自分がやってきた釣りを反芻して信じる他ないので、ただ淡々とキャストを繰り返す。寒くて手の感覚がなくなりそうでも、ラインから伝わる情報を少しでも多く感じようとする。今まで起きた、諦めそうな時や最後の1投で起きたドラマを思い出す。
 

濡れてふやけて、そして冷えた人差し指。キャスト時に深くラインがかかり過ぎて、パックリと切れてしまった。北海道まで来て、冷たい向かい風の中水に浸かり、なかなか固まらない血を他人事の様に見ながら、『いったいここまで何しに来たんだろう?』そんなことも考えた。それぐらい僕には過酷だった。春の中禅寺湖よりも、真冬のロンドンでコンクエストを握るよりも過酷で、冷たい釣りだった。
 

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夕マズメ最後のポイント。少し上流に投げたルアーの軌道は、ゆっくりと巻いてくるにつれて今度は自分よりも少し下流で弧を描く。そして完全に川の流れに逆らう様に泳ぎだすので、あまりブリブリと泳がないように、巻くスピードを少し落とす。活性が高いとトップでも連発するとも聞いていたので、少なくともこの日はそうではないと判断出来た。そしてただイメージする。イメージというか、お願い事に近い。追いかけてきたと仮定した魚が、ルアーを追うのをやめない様にと祈るかのごとく丁寧なリトリーブ。そしてリップがそこを叩くのとは違う感触にゾクっとなる。ようやく想いが通じたのだろうか?半信半疑、でもまるで予定していたように自然とロッドを煽りフッキングする。これまで見たことないぐらい、89が曲がっていた。
 

空気を吸うまで全く弱る素振りのないイトウ。89をしっかり曲げて寄せてくるだけで大抵の魚は結構余裕でランディング出来ていたけど、この魚は違った。とにかく疲れない。この最後まで諦めない闘志のこもったファイトのせいか、釣れた後は細心のケアを必要とする魚でもある。大袈裟だな?うるさいな?なんて思っている人も、いつかこの魚を釣ればわかると思う。イトウに関して冗談は効かない。
 

突然僕の前に現れたのか、ずっとそこに潜んでいたのか、そのpasserby(通りすがり)は確かに僕のルアーに食いついた。幻から奇跡になったイトウ。
 

本当は、「初めてのイトウが釣れたら」のストーリーには色々なシナリオの用意があったのだけど、興奮と驚き、焦りと恍惚、そしてほんの僅かな達成感の入り混じった喜びの中で、写真を撮ってもらうことよりも、僕の頭は魚を元気に返したい事でいっぱいになっていた。後から思い返すと毎回そうだ。これが釣り人のエゴや奇麗事だとしても、初めてのイッピキはイッピキ。誰の考えを否定する気もまったくない。ただただ僕は、そうしたかった。



写真をお願いしておいてとっとと逃がそうとするものだから、カメラを構えるチャリさんと自身のカメラを手の取る菅井さん達からしたら謎だったかもしれない。でもきっと分かってくれていると思った。手もかじかみまともにカバンを開けられない僕に、プライヤーやメジャーを素早く貸してくれた指出さんは、本当に良かったねと言わんばかりに微笑んでくれた。皆貴重な夕方の時間を、ある意味僕の魚の祝福に使ってくれた。正直はっきり覚えているのはそれぐらいだ。魚のサイズ感や引き味すらもう曖昧。でも、そんなイッピキでいいもんな。よく泣かなかったと思う(笑)
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結果的には、今回同じ日程で北海道に入った4人全員が魚をキャッチ出来るという、本当に恵まれた旅だった。帰り道、去年初めてレイクトラウトを釣った時に、イトウを釣ったこともないのに僕と相棒は「イトウみたいだな!」と叫んでいたのを思い出して、一人で笑いそうになった。今度は少年時代に同じ夢を見たあいつにも、寒さと喜びで震えるような釣りをさせたい。僕の釣りをする理由なんて未だにそんな小さな喜びや願いの集まりだ。そこだけは、業界?にも汚されてないし全くブレない。良い魚に出会うたびにそれを確かめる。やっぱり釣りが大好きだ。つまらない釣りなんて一つもない。また次の通りすがりを待っている。
 

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Where is my next passerby?

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