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上宮則幸
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▼ 猫と暮らす
- ジャンル:日記/一般
もう35年前のこの時期、おれが8才の頃の話し。
一学年下の弟がウサギの子供を庭の芝生の上で遊ばているのが窓ガラスの向こうに見える。
ウサギは弟が小学校からもらってきた子ウサギ。
子ウサギとは言え、春生まれで体長30cm位には成長していたか、1kgあるかないかの大きさだったように思う。
その日は快晴。
艶々した緑の芝を食んでいる子ウサギの白い綿のような毛を幼い弟がすぐ側で撫でている。
その時だ、地を這う弾丸のように黒い何かが緑の芝生を横切り、白い子ウサギに突き刺さるように突進した!
その弾丸は、猫だった。
我が家の飼い猫で、名前は『マリー』。
全身真っ黒の彼が、突撃を受けてひっくり返った子ウサギの喉笛に噛み付いた。
力強く身震いするような動作でマリーは牙を子ウサギに突き立てた。
後ろ足の筋肉が隆起して、マリーの艶やかな黒い毛がギラリと陽の光を反射するや、子ウサギを捕らえたまま、彼は再び弾丸となり、駆け出した。
全ては一瞬。
躍動する筋肉の動く音が聞こえるような錯覚を、おれは余韻に感じた。
それを打ち消すように弟が大声で泣き出した。
残酷で容赦無い、生の営みを目撃したおれの魂は極度に昂り、弟のそれは恐怖に震えた。
以来、おれは猫が大好きだ。
残酷で、生きるって事に容赦無く、逞しい…猫の姿は眩しく美しい。
もちろん弟の猫に対する印象は真逆、憎しみの対象だ。
今も我が家に2頭、実家に2頭の飼い猫がいる。
我が家の『そうすけ』は我が子のみなもの生来、子育てに積極的だ。
冬の寒い夜に、布団からはみ出して眠るみなもを暖めるようにより添って眠る彼に何度もありがとうと言った。
『ふうたろう』はみなもになつかない。
みなもには極めて無関心なふうたろう。
猫の牙や爪をよく見てみなよ。
できれば腕や背中の骨格や筋肉を触ってみるがいいよ。
路地裏の高い塀に一跳びで登るしなやかさはどうだ。
今の時期に河川敷きでバッタを捕らえて食べる彼等の素早さと言ったら…
その鋭い牙や爪の実力が発揮されたならば…
無防備ならば、ヒトなど致命傷を負わされかねないだろうよ。
ただ、そう言ったニュースは耳にした事など無いが…
夜更けに、ガリガリとふうたろうが寝室の襖をこじ開けて入ってくる。
寝たふりしているおれに気付いてはいない。
うちはダブルとシングルの布団を並べて、家族三人で川の字で眠る。
ふうたろうは先ず、みなもを抱っこしている相方の方に行き相方とみなもの頭のあたりをクンクン。
寝ているのを確認しているのか、みなもの頬の辺りをペロリと舐めた。
35年前にあの白い子ウサギに噛み付いたマリーの姿がフラッシュバックする。
ちょっと心配になり目を開けたコチラの気配を察知したのか?ふうたろうの顔がコチラを向き、彼がこじ開けた襖の隙間から漏れる僅かな光を反射した彼の瞳が金色に光った。
ニャ
短く鳴いてふうたろうがおれの枕もとに駆けて来た。
ゴロゴロと喉を鳴らす彼が、何度も何度も頭をおれの顔に擦り付けるのを感じながら、ホッとしたおれはいつの間にかまた眠りに落ちた。
あぁ、そうだ…
35年前のあの夜に、ちょっとした事件があった。
おれの枕元に血に汚れた白い綿毛の着いた肉片があった。
子ウサギの頭部だった。
非常なショックを受けたのを今も強烈に記憶している。
今もふうたろうが、たま~にだが、ゲジゲジやゴキブリを捕らえて持って来てくれる。
また、おれが風邪ひいて寝込んでいると、ふうたろうとそうすけの、ありがた迷惑な熱烈な看病に逆に辟易する。
うちの中はゴキブリが増えないよう、おれも風邪ひかないようにしようと、思ったり思わなかったり。
まぁ何にせよ、猫との暮らしは少しばかりの緊張感はあるが幸せだ。
写真は先日風邪でダウンした時のおれと、献身的なふうたろう
一学年下の弟がウサギの子供を庭の芝生の上で遊ばているのが窓ガラスの向こうに見える。
ウサギは弟が小学校からもらってきた子ウサギ。
子ウサギとは言え、春生まれで体長30cm位には成長していたか、1kgあるかないかの大きさだったように思う。
その日は快晴。
艶々した緑の芝を食んでいる子ウサギの白い綿のような毛を幼い弟がすぐ側で撫でている。
その時だ、地を這う弾丸のように黒い何かが緑の芝生を横切り、白い子ウサギに突き刺さるように突進した!
その弾丸は、猫だった。
我が家の飼い猫で、名前は『マリー』。
全身真っ黒の彼が、突撃を受けてひっくり返った子ウサギの喉笛に噛み付いた。
力強く身震いするような動作でマリーは牙を子ウサギに突き立てた。
後ろ足の筋肉が隆起して、マリーの艶やかな黒い毛がギラリと陽の光を反射するや、子ウサギを捕らえたまま、彼は再び弾丸となり、駆け出した。
全ては一瞬。
躍動する筋肉の動く音が聞こえるような錯覚を、おれは余韻に感じた。
それを打ち消すように弟が大声で泣き出した。
残酷で容赦無い、生の営みを目撃したおれの魂は極度に昂り、弟のそれは恐怖に震えた。
以来、おれは猫が大好きだ。
残酷で、生きるって事に容赦無く、逞しい…猫の姿は眩しく美しい。
もちろん弟の猫に対する印象は真逆、憎しみの対象だ。
今も我が家に2頭、実家に2頭の飼い猫がいる。
我が家の『そうすけ』は我が子のみなもの生来、子育てに積極的だ。
冬の寒い夜に、布団からはみ出して眠るみなもを暖めるようにより添って眠る彼に何度もありがとうと言った。
『ふうたろう』はみなもになつかない。
みなもには極めて無関心なふうたろう。
猫の牙や爪をよく見てみなよ。
できれば腕や背中の骨格や筋肉を触ってみるがいいよ。
路地裏の高い塀に一跳びで登るしなやかさはどうだ。
今の時期に河川敷きでバッタを捕らえて食べる彼等の素早さと言ったら…
その鋭い牙や爪の実力が発揮されたならば…
無防備ならば、ヒトなど致命傷を負わされかねないだろうよ。
ただ、そう言ったニュースは耳にした事など無いが…
夜更けに、ガリガリとふうたろうが寝室の襖をこじ開けて入ってくる。
寝たふりしているおれに気付いてはいない。
うちはダブルとシングルの布団を並べて、家族三人で川の字で眠る。
ふうたろうは先ず、みなもを抱っこしている相方の方に行き相方とみなもの頭のあたりをクンクン。
寝ているのを確認しているのか、みなもの頬の辺りをペロリと舐めた。
35年前にあの白い子ウサギに噛み付いたマリーの姿がフラッシュバックする。
ちょっと心配になり目を開けたコチラの気配を察知したのか?ふうたろうの顔がコチラを向き、彼がこじ開けた襖の隙間から漏れる僅かな光を反射した彼の瞳が金色に光った。
ニャ
短く鳴いてふうたろうがおれの枕もとに駆けて来た。
ゴロゴロと喉を鳴らす彼が、何度も何度も頭をおれの顔に擦り付けるのを感じながら、ホッとしたおれはいつの間にかまた眠りに落ちた。
あぁ、そうだ…
35年前のあの夜に、ちょっとした事件があった。
おれの枕元に血に汚れた白い綿毛の着いた肉片があった。
子ウサギの頭部だった。
非常なショックを受けたのを今も強烈に記憶している。
今もふうたろうが、たま~にだが、ゲジゲジやゴキブリを捕らえて持って来てくれる。
また、おれが風邪ひいて寝込んでいると、ふうたろうとそうすけの、ありがた迷惑な熱烈な看病に逆に辟易する。
うちの中はゴキブリが増えないよう、おれも風邪ひかないようにしようと、思ったり思わなかったり。
まぁ何にせよ、猫との暮らしは少しばかりの緊張感はあるが幸せだ。
写真は先日風邪でダウンした時のおれと、献身的なふうたろう
- 2017年10月16日
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