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新 拓也

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紅語:参 第二部-激闘-

 
志国・高知には夢がある
紅語:参 
第二部-激闘-
 
 
 





 
 
DAY4
よしフィッシュ君最終日
旅の時間は早いもので
ついさっき彼と出会ったのに
もう最後を迎えようとしていた…
 

 




PM20:30

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高知名物
「ひろめ市場の塩タタキ」

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最終日の活力と彼の最後のもてなし
両方の意味を兼ねた少し遅めの夕食。

ミーティング中
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そしていつものポイントへと繰り出した。
時合い前、最後の望みを賭けてキャストを続けるヨッシー。
 
一方、いつものように時合いまで話し込む
土佐と薩摩の二人。
話せば話す程彼とは近い物も感じるし
全く違う物も感じる。
自分にとって一番共感と刺激をもらえるのが彼である。
 
 
 
 








1時間以上経っただろうか
「そろそろ行くか・・・」
 
 
 
 
少し痺れた足を引きづりながら
車へと向かいタックルを準備する。
昨日はClover94+ツインパワー4000を使ったが
諸事情でClover85+ツインパワー4000XGを選択。
メインラインはPE2.5号 リーダーは70lb
 



昨日おとといと比べ静かな水面
ただただ重苦しい空気が流れている。
 
岡「今日は何かあるで…。」
彼の口からこぼれた言葉
この状況で何かが起こるとは思えなかったが
不思議と説得力があった。


しかし、1時間ほど振り続けるも
全く反応が無い。
体力と気力の回復を図るため休憩。
3人で座り込み談笑。
 
 
 









不意に、意味も無く足が動いた。
ロッドを取って水辺へと歩んでいた。

 








 
 







 
 



 
それは不意に訪れる。
 











 
ヨロヨロヨロ・・・ジッ
前触れも無くドラグ音が響く。
途端にボラが四方へ散った。




 
ジジジ…
俺(ボラかよ。)
 
 
 


後ろで声がした


岡「やった!やったでそれ!!」
 
俺「ゴメン!ボラやwww」
 
岡「いや、ちゃうで!絶対アカメや!!」

 
 
 
俺(アカメ(ボラ)のくだりかな?)
半信半疑というか8割疑いながらファイトを続ける。


「ファーストランは止められない。行くだけ行かせる」

岡ちゃんからも桜井さんからもそう聞いていたから
なおさら目の前の魚がアカメだとは思えない。
全く走りもしないしエラアライもしない。

 
 












 
10秒程経った
少しずつ様子が違うと気付き始めた

 

止まらない。
ゆっくりではあるが魚は泳ぎ続けている。
まるで自分がフックアップしている事に
気づいていないかのように優雅に左を向いて泳ぎ続ける。
だが、そのトルクは尋常ではなかった。
 





岡「着いていこう」
テンションを掛けながら魚に着いていく。

 
 
 
80m程行った頃
岡「ヤバイ、そっちはロープがある!」
 「逆からテンション掛けて右に行かせて!」

 





魚を追い越す形をとり
進行方向からテンションを掛けて様子を見る。
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ソイツは“違和感”を感じ取り
すんなりと舵を逆方向へと切った。
 



 
岡「コイツデカイぞ!」
  「絶対とるで!!!」

 
岡ちゃんの応援が心強い
彼はアカメを知っている。
足は震え、手は硬直していたが
不思議と安心感があった。
 

 






 
右へと方向を変えたソイツは
ようやく違和感を抵抗と感じ始めた。

 
 
ジ・・ジ・・・
ジィィィィィィィ――――!!!!!!

 
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止まらない
スプールが異常な速さで回転する。
糸が瞬く間に減っていく。
 
指の関節が外れた。
野球でついた癖だ。
だがそれどころではない
目の前には憧れの魚が居るのだ!
 
 
シーバス用のファイトしか知らない筆者は
右腕にグリップを添えて追従しつつ止める事しか知らない。


岡「エンドを腹に当てて!!」

 
テレビでしか見たことが無いスタンディングファイト
ロッドを両手で支え、ソイツが止まるのを待つ…。
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ジィィィィィィィイイイイイ-!!!

 
 
 



岡「ヤバイで。130越えとるかもしれん…」
 
 
 







 
ジィィィィィイイイイイ――――!!!
 








止まれ止まれ
止まれ止まれ止まれ
止まれ止まれ止まれ
止まれ止まれ止まれ止まれッ!!

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ジィィィ…ジッ…ジジ…
 
 
 



 
・・・止まった。
少しずつ少しずつ寄せに入る。
一巻き、また一巻き
少しではあるが徐々にソイツとの距離が詰まっていく。
 

岡「ヨッシー!グリップとストリンガー持って来て!!」
ヨ「どこ!?」

岡「ベストに着いてる!!」
ヨ「わかった!!!」

 
 


コレは俺だけの魚じゃない。
3人のチームとして1匹と闘っている。
 
 
 
 
 
 
残り30m
最初の勝負に打って出る。
ドラグを5回程締め、寄せに入る。

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20m…
 
 
 
15m…
 
 
 
その時は近い。
 
10m
 ・

9m


8m






 
 
ソイツを照らした
 
「デカイっ!!!!」


2人してそう叫んだ。
青白く照らされた魚体が翻り
蹴られた水が行き場を失い水面を割る。
水を打った尾がこちらへ手を振るかのように
反転し再び走り出す!
 

 
 


 








ジィィィィイイイイイイイイイ――――――――!!!!
 
 
ヤバイ!
とっさにドラグを緩め
ひたすら願い続けながら止まるのを待つ。
一度走ればこちらはなすすべなく
鎮まる事を只々願うのみ。
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ガコッ!!

 
嫌な感触。
針が外れた
最悪折れてしまった
相手が相手だけに折れている事は容易に想像が出来る。
 
 
 



 
なおもソイツは走り続ける。
 

 
 
ジィィィイイイ―――――――――――!
 
 
 
 
 
ヨッシーがランディングギアを取って帰ってきた。
ヨ「こんなに走ったの!?」
 
 
掛けた位置から既に400m
左右だけトータルしても500mは超えていた。

 
 



 
岡「これ以上右に行くと杭があるぞ!」
 
全力で走り、ソイツを追い越して
逆からテンションを掛けた

 
 
 



クンクンっ!

首を振ったのが分かる。
 



フッ。
 
 
左を向いた。
もう一度左へ行かせれば勝てる!!
 

 






 
だが、ソイツは頭が良かった。
一度左へ振った体をもう一度翻し
全力で右へと走り出した。

フェイントをかまされた
俺より一枚も二枚もうわ手だ。
 
 
 
残りのライン
推定30m
つまりソイツは140m沖に居る事になる。
 






 
もうヤバイ
ラインが無くなる!


岡「行ける時に勝負掛けや」
 「後は新君の判断に任せる」

 
 
 





 
 
4ノッチ程締めたドラグ
そしてハンドドラグ

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ソイツは…
 
 
 


























 
 
止まった。
 
 




 
 
 
 



 
しかし、岡ちゃんが異変に気付く。

 
岡「なんか擦れてないか?」

岡ちゃんがブランクスを触って確認する。
 
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岡「ヤバイ、杭に当たっとる!」
一度ベールを返してフリーにし
魚が逆に動くのを待った…
 
しかし、ライン残量からして
この戦法は得策とは言えない。
 
 
水辺を離れ
高台からやり取りをする事にした。
全体を見渡せ杭をかわす事が出来る。
もうこれしか残っていなかった…
 
 
ラインテンションを保ちつつ
高台へ駆け上がる
魚は止まったまま。
走られる前に昇り切らなければ!

 
昇り切ったところに障害物
協力プレーでかわす。















かわしたところでテンションが消えた。

格闘20分アイツに軍配は上がった。
 
 
 
 
























 
 
沈黙。
 
 
彼は、岡ちゃんは泣いてくれた。
自分は、頭が真っ白になった。
「マジかー、マジかー」
何か言葉を発せなければおかしくなってしまいそうだった。
気持ちが悪い、吐きそう。
震えが止まらない。
そして、恐怖。
8m沖で翻した青白い魚体
それが静止画となって頭に焼き付いている。
何度も何度もフラッシュバックをする。
恐らく一生忘れない強い記憶。
この海にはあんな魚がいる。
舐めていた?そうじゃない。
予想を、想像をはるかに超えていた。
結局は甘く見ていたのか…。
 
 
 
 
だが、そこには
スズキをバラシた時の悔しさではなく
不思議な清々しさも会った。
完敗
まさに言葉通りである。
一度も主導権を握れなかった。
アイツにしてやられた。
 
心に大きな足跡と
右手に傷を残して行ったアイツは
同様に傷ついては居ないだろうか?
アイツはちゃんとフックを外しただろうか?
あのまま死んでしまいはしないだろうか?
 
 
対戦相手を、アイツを称えたい。
ありがとう。そしてまたいつか…
 
 
 
 
 
火が着いたヨッシーは
その後もキャストを続けた。
自分は到底竿を振る気もしなかったし
今のままで闘うのは失礼な気さえした。
俺と岡ちゃんは半ば放心状態で
夜明けを迎えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 







 
焼き付いたドラグ
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ぶち切られたライン
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後日、病院を訪れると
軽度のはく離骨折と診断された。
 
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紅語:参 
第三部 -夏色-
につづく

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